数学を得意科目に!「大学への数学」の使い方3パターン

多くの受験生に愛される定番の参考書、というものがある。
かなり昔に作られた参考書がずっと人気であることもあれば、最近有名になった講師の本が売れることもある。
そんな中で、参考書にしては珍しい月刊誌というスタイルをとっているのがこの「大学への数学」、略称「大数」(だいすう)だ。
受験生の中には、難関大入試の対策をどうするか、手段に悩む人も多いことだろう。
大数は、そういう受験生にとって格好の学習教材だ。
今回は、大数を効率的に使う方法を紹介していく。
良質な問題が揃っている本書を正しく使えば、あなたの数学力は確実に伸びることだろう。

「大学への数学」ってどんな本?

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そもそも、大数とはどんな本なのかを知っておこう。
どれくらい難しいのか。どんな構成になっているのか。

大数に関する予備知識

大数は、大学受験における数学の対策を目的とした月刊誌だ。
なんと半世紀以上前、1957年から毎月発行されている。
数研出版から毎月発売されている。価格は1143円+税と少々高いが、後述のように中身が豊富で質も高いので、将来の自分への投資と思えば我慢できよう。

大数の構成

大数は通常の参考書とは異なる独特の構成をしている。
主な内容を列挙すると

  • 解説記事
  • スタンダード演習
  • 日々の演習
  • 学力コンテスト

といった内容だ。順に詳しく見ていこう。

解説記事

解説記事とは、特定の分野を取り上げてそれを初歩から解説する記事だ。
教科書レベルの初歩から、諸々の公式の導出あたりまでを解説している。
月刊誌で紙面も限られているので、内容は教科書と同じだがダイジェスト版といったところだ。
教科書を読んである程度理解してから、復習がてら読むことが想定されている。

スタンダード演習

スタンダード演習は、解説記事の内容に沿った演習問題が用意されている。
難易度は高くなく、教科書の章末問題レベルのものが多い。
解答時間の目安も掲載されており、一人で演習する際は参考になるだろう。

日々の演習

日々の演習は、その月の特定のテーマ(例:確率)の問題を毎日解くコーナーである。
問題番号が日付になっており、1日1題ずつ演習することを目的としている。
1日1題とあって、難易度はかなり高い。
大まかにいうと、どれもMARCHの入試問題以上の難しさだ。
かなりやり応えのあるコーナーと言えるだろう。

学力コンテスト

最後に学力コンテスト。これは月刊誌である大数ならではのシステムである。
毎月6題問題が用意されており、巻末についている解答用紙に答えを記入して提出すると、大数のスタッフたちが有料で採点してくれるというシステムだ。
問題のレベルはどれも非常に高い。早慶以上、あるいは医学部といった最難関校の受験者向きといえる。
添削された答案は後日返却され、成績優秀者は誌面に名前が掲載される。
全国のライバルたちと争える、非常にハイレベルな学びの場だ。
上に挙げたものの他に、物理・化学の現場で使われている数学を紹介するコーナーや、超難問の解答を募集する「宿題」コーナーなど、数学好きにはたまらない内容が揃っている

大数の思想

作成陣は、どんなことを考えて大数を作成しているのか。
一言で言うと、「数学的思考とセンスを重視した受験勉強」にある。
典型問題をひたすら暗記して試験を乗り切ろうとする受験生も世の中には存在するが、大数が目指している姿はそうではない。
数学的思考の育成を徹底し、決して楽な方法(に見えるもの)に頼らない。
わからない問題があった時に、粘って、格闘し、ようやく解けた時の喜びを大切にしているのだ。
実際、大数のHPには東京出版からこういうメッセージが載っている。

●編集方針●
数学は、結論に至るまでの過程がいろいろとあります。自分の解答より、簡潔で適切な解法を見付けて驚いたことがありませんか。また、難問と格闘の末、やっと答えにたどり着いたときの喜びを味わったことがありませんか。
創刊以来50余年の歴史を誇る月刊「大学への数学」(通称:大数)は、高校数学を常に高い視点から捉え、個々の問題の縦横の関連性を自然な発想で解き明かし、読者をより高いレベルへ導くことをメインテーマとしています。 基礎事項をいかに組み立てて応用問題に対処するか数学的な思考力とセンスをいかにして身につけるかを選び抜いた問題で解説し、有名大学入試にも対応できる実力を養成していきます。

http://www.tokyo-s.jp/products/d_gekkan/index.html

これからもわかるように、大数は「その場しのぎ」ではない勉強を目指している。

努力の末に問題を解決できた喜び、今まで理解できなかったことが理解できる楽しみ。

そういう、勉強することの喜びを重視した、王道の勉強を支えてくれるのが大数だ。

大数のメリット

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昔からある参考書というだけあり、大学への数学は良質な参考書で、今も人気を博している。
多くの人に愛される、その理由を見ていこう。

解説記事と演習問題の連携

大数の記事は、もちろんたくさんの人によって作り上げられている。
こういう本の場合、記事の作成者によって内容の不整合が生じたり主張が一貫しなかったりすることが往々にしてある。
しかし大数は、解説と演習問題の連携が大変上手である。
解説を読んで学んだことが、直ちに演習問題で使えるし、逆に演習問題が解けなければいつでも解説に戻れるようになっているのだ。
この一冊と、あとは教科書があれば学習に困ることはない。

丁寧で妥協しない解説

数学の参考書の中には、説明が簡潔すぎるものや証明が一部省略されているものなど、解説が不十分なものが時々存在する。
しかし大数ではその心配は不要だ。
大数の解説は、受験数学のプロであるスタッフ陣が丁寧に作成しているので、解説を読めば確実に理解できるようになっている。
また、「詳しくは○○ページ参照」のように、該当する解説や関連する問題を指示してくれているので、そこに戻って復習することもできる。
このように、解説で手を抜いておらず、安心して使えるのも大数の長所だ。

様々なレベルの受験生に対応している

上で学力コンテスト等について紹介したので、少々敷居の高さを感じているかもしれない。
しかし実際は、大数は様々な受験者層のニーズに応える。
解説記事は決して難解なものではなく、教科書を無理なく読める段階であれば問題ない。
スタンダード演習は、いわゆる難関校の受験生でなくとも取り組む価値があるシンプルな良問が多い。
数学に自信がない受験生でも、(全部、とまではいかないが)役に立つ内容がたくさん存在する。
力試しに日々の演習や学力コンテストに手を出してみるのも良い経験になるだろう。
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ライバルがいる

参考書を用いての自宅学習の難点は、ライバルがいないということだ。
もちろん、ライバルなど気にせず自分のペースでのんびり学習する時間も大切だ。
しかしそれだけでは足りない。なぜなら受験は競争だからだ。
大数は受験参考書である一方で、学力コンテストという実力を競う場が用意されている。
言ってみれば、毎月ミニ模擬試験が行われているようなものだ。
これに参加すれば、受験生の中で自分の位置を知ることができるし、やる気にも繋がる。
ただ問題を提供するだけではなく、やる気も提供してくれるのだ。

問題の量が多い

単純に問題数が多いというのも魅力だ。
スタンダード演習、日々の演習は各々20問ほど用意されているし、その他の例題や学力コンテストも合わせればかなりの問題数になる。
毎月、その分野の典型問題を網羅できるのだ。
一年間大数で学び続ければ、確実に大きな経験値となる。

発展的内容に富んでいる

大数のもう一つのメリットは、ただの受験参考書ではない点である。
上で挙げたが、実際の科学の研究現場で数学がどのように役立っているかをまとめたコラムなどがある。
たとえば、実際に生物物理学の教授にインタビューをし、高校生でも理解できる数学がどのように応用されているのか説明してもらう、という感じだ。
こういう記事を読むと、自分の勉強がどういうことに役立つのか、具体的なイメージが湧いてくる。
それは最終的に、数学の勉強に対するモチベーションアップに繋がるだろう。

大数のデメリットと注意点

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このように「大数」は、問題数が豊富で質も良い優れた参考書だ。
しかし、使用するにあたって幾つかデメリットと注意点がある。

デメリット:数学に対するやる気が要求される

すでに紹介した通り、大数はスタンダード演習はまだしもそれ以降の難易度が高い。
またその他のコラムなども、数学に関連する高度な・発展的な話題ばかりだ。
数学が好きでもっと力を伸ばしたい、という人であれば自分でどんどん成長していける本だ。
しかし、裏を返せばデメリットにもなりうるのだ。
逆に言えば、大数という参考書は数学に対する好奇心・やる気が要求されているのだ。
数学が嫌いな受験生が、数学の克服のために大数を購入することはおすすめしない。
そういう人が取り組むと逆に数学が嫌になってしまうだろう。
数学に対する興味があまりない人にとって、大数はかなりの苦痛になる可能性がある。

注意点1:問題の消化に追われないように

先述の通り、大数はとにかく量が多く質も高い。
だからこそ、それが注意点となる。
通常の問題集と異なり、一題に割く時間が長いので、問題を消化すること自体がそれなりに大変である。
解き切ることばかりを意識して、一問一問にかける時間を少なくしてしまうと、せっかくの良問の価値が半減してしまうだろう。
せっかく良い題材が用意されているのだから、焦らずじっくり問題を解くようにしよう。
丁寧に取り組むと、一冊すべて終えるのは困難かもしれないが、それでも構わない。
どの問題も有意義であるから、たとえ一部分であってもしっかり成果は生まれている。
「完走」にこだわらない、というのが大切だ。

注意点2:問題によっては難易度が高い

大数の問題はそれなりにレベルが高い。
スタンダード演習はお手頃の問題が多いが、日々の演習にもなるとかなりヘビーで、時には超難問も潜んでいる。
これは長所であると同時に、気をつけるべきポイントでもある。
たとえば、教科書レベルの内容が理解できていないのに「日々の演習」に手を出したらどうなるだろうか。
自分の力で解ける問題はごくわずか。分からない問題の答えを写すに留まってしまう。
しかも、その解説の意味も完全には理解できていない。
こんな状態では、学習効果はほとんど見られないはずだ。
「日々の演習」くらいのレベルの問題に手をつけるには、最低限期待される理解度というものがある。
目安としては、教科書の解説を問題なく読めるという程度だ。
これができていない場合、いきなり大数の難問に着手するのは愚策といえる。
そういう時は、焦らず教科書の理解から始めたり、スタンダード演習から地道に解いたりしてみよう。
日々の演習や学力コンテストは、ある程度基本を理解した上で挑戦するのが賢い方法だ。

大数の効率的な使い方3パターン

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大数はレベルも内容も豊富なので、多彩な使い方が可能だ。
あなたのレベルに合わせて、幾つか使い方のパターンが考えられる。
自分に合ったやり方を探してみてほしい。

パターン1:定期試験・模試対策に

大学入試というよりかは、まずは目先の定期試験や模試の対策をしたい、と思っている受験生も多いことだろう。
そういう場合、解説記事とスタンダード演習のコラボが最適だ。
まず、教科書のある分野をざっと読み直す。基本が備わっているか確認するのが目的。
大きな抜けがなかったら、今度は大数の解説記事を読む。
解説記事は、先述の通りダイジェスト版で、教科書よりは行間が広くなっている。それでスラスラ読めるかチェックするのだ。
もし「おや?」と思う箇所があったら、そこの理解が不十分であることを意味している。
じっくり考えて、疑問を解消してから先へ読み進めていこう。
解説記事も読み終わったら、次にスタンダード演習を解いてみよう。
大数のスタンダード演習は、全国レベルの模試よりも若干簡単な程度の問題が載っている。
定期試験対策には最適だし、模試にも応用可能だ。
数問解いて見て、なかなか正解できなかったら解説をよく読もう。
自分がなぜ解けなかったのか。解法のポイントはどこか。それを分析してみるのだ。
原因が判明したら、その後の問題で活かせば良い。
手こずらずに解けるならば、どんどん先に進んでしまって良い。
定期試験や模試対策で大切なのは、疑問点や自分の理解不足を洗い出してそれを潰していくことだ。
数をこなすことに必死にならずに、自分に足りないものを分析することを忘れずに。

パターン2:模試で上位層を目指す

学校の定期試験は問題なくこなすことができ、模試で上位層に食い込みたいと考えている受験生もいるだろう。
その場合、日々の演習に挑戦してみることをオススメする。
日々の演習は、大数の中でも難易度が高い方だ。
ほとんどが実際の大学入試問題から引用されている。そのため簡単に解ける問題はほとんど存在しない。
問題の難易度は、難しめの全国模試(駿台など)と同じくらいである。
したがって日々の演習に取り組むのが、全国模試の対策には適していよう。
取り組む問題は、得意分野ではなく苦手分野をオススメする。
ある分野に大きな穴がある状態で模試に臨むと、ほとんど0点に近い状態になるからである。
完答とまではいかずとも、ある程度評価される答案を作るためには、苦手分野でもコツを掴みある程度は答えに近づかなければならない。
生半可な実力で模試を受けても、採点官にバレてしまうのだ。
苦手分野の演習を重ねることで、ある程度までは案外解けるようになる。
そうすれば、もうその分野が出ても壊滅的な結果にはならない。
模試は様々な範囲から出題されるのだから、弱点を補強しておくという姿勢が大切だ。
苦手とまではいかなくても、たとえば「何かしら積分の問題を解いておきたいな…」というように点検したい分野があるならば、日々の演習で力試ししてみよう。
そういったときに、分野別で頻出問題をまとめてある大数は便利だ。

パターン3:最難関校の受験者

東大を初めとする国公立大学、それに早慶などの最難関大学を受験しようと考えている場合、さらにハイレベルな演習が要求される。
難易度的に、「日々の演習」と「学力コンテスト」の併用が強力だ。
大数の中でもトップ難易度の箇所をさらうのである。
継続的に演習をしたい場合、日々の演習は文字どおり毎日1題ずつ取り組むべきだ。
他の科目でもそうだが、時間が空くとどうしても感覚が鈍ってしまうためである。
1日に1題だと問題数の少なさに不安を覚えるかもしれない。
そういう時は、他の通常の参考書に取り組んでみるとよいだろう。
これについては、各自の判断で決定して良い。他科目との相談でもある。
そして、月に1度の学力コンテストにも参加してみよう。
学力コンテストは問題も難しいし、参加者も相当レベルが高い。
数学に自信がある受験生たちが集まっている中で、自分の実力を試してみる。
そうすることで、難関大入試で必要とされているものが何なのか、自分の弱点は何なのかが理解できる。
学力コンテストは、東大等の大数OBOGが丁寧に採点してくれるため、よく復習することで効果は倍増だ。
学力コンテストほどの問題が対処できれば、難関大合格も近づいてくるだろう。

まとめ

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大学受験の有名な参考書である「大学への数学」について、メリット・デメリットや使い方を解説した。
繰り返しになるが、この参考書は量・質ともに充実しており、レベルも高い。
だからこそ、大数を扱うにはそれなりの基礎学力が要求されるのだ。
その意味で、心して取り組む必要があるのを忘れないようにしよう。
逆に、数学の基礎力・好奇心があれば、大数は必ずあなたの要求に応えてくれる。
ぜひ大数を有効活用し、数学を誰にも負けない得意科目にしてほしい。

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