慶應義塾大学商学部(慶商)の地理の傾向と対策
2020年07月31日 | 慶應義塾大学
今回は慶應義塾大学商学部入試の中の、地理に関してだ。
そもそも商学部の社会は、日本史・世界史・地理の3教科の中から一つを選択する形式となっている。
志望の国公立大学入試で地理を使う人であったり、日本史や世界史などの歴史教科をあまりやっていない、またはあまり得意ではない人が地理を選択することが多いのではないかと思う。
地理を私大で受験科目として使用する人はさほど多くはないだろう。その中で慶商の対策に関して、何をどこまで学習すればいいかが分からない人は結構多いのではないだろうか?
そういった人に対して、現実問題どのように慶商の地理を攻略すれば良いのかを書いていこうと思う。この記事を確認して慶商の地理の対策を万全のものとしてほしい。
地理を使わない、他の科目も確認したいという人は以下から確認しよう。
配点
まず配点は以下の通りである。
- 英語 200点
- 数学 100点
- 日本史、世界史、地理から一科目選択 100点
の合計400点である。このうち地理は1/4を占める。また後述するが、日本史と世界史と地理の間では得点調整が行われることも知っておいてもらいたい。
形式
大問が3題あり、いずれも同じような形式になっている。
まず、大問一個の中で見た時に、前半と後半で少し違った出題がなされている。
前半はリード文のような比較的長めの長文が与えられていて、そこに下線が引かれてあったり、空所になっており、その空所の部分をマークで選んでいくという形式である。
後半は、下線部に関連する内容で記述式の問題が出される。これは用語を答えるもあれば、30〜50字ぐらいで内容や理由を簡単に説明するような記述式の問題もあり、一部マーク式の問題もある。この形式の大問が3題分あるような感じだと思ってもらうといい。
出題範囲
次に出題範囲について確認していく。以下が、過去4年分のそれぞれの大問の簡単な内容をまとめた表である。ぜひ目を通しておいてもらいたい。
年度 | 大問1 | 大問2 | 大問3 |
2016 | 鉱物資源と環境エネルギー | 世界人口の動向と歴史 | 東南アジアの工業と地誌 |
2017 | 欧州の地域区分と地誌 | 西・中央アジアの地域区分と地誌 | 米国の地誌 |
2018 | 繊維産業の立地・発達 | 観光の交通・通信 | 環境・エネルギー問題 |
2019 | 自然環境とケッペンの気候区分 | 西・中央アジア、北アフリカの地域区分と地誌 | 世界の交通・通信 |
この表のように、系統地理、地誌の分野がそれぞれ満遍なく出題されている印象である。そのためどちらかに偏った学習を進めることはあまり好ましくないだろう。
特徴
慶商の地理の特徴だが、他大学に比べピンポイントでいくつか存在する。
知識重視
いわゆる共通テストとかセンター試験の問題であれば、知識重視というよりは既に図や表が与えられていており、それをじっくりと読み取って分析していく思考力を問われるような出題になっている。
しかし、慶商の地理にはそういう設問は多くなく、まさにダイレクトに知識が身に付いてるかどうかを聞くような出題になっている。これは私大らしい特徴だと言えるだろう。
比較的平易な出題傾向
では、知識勝負だったらとても難しい内容も覚えていなくてはいけないのではないかという風に思いがちだろう。しかし、慶商の地理は比較的平易な出題傾向になっている。
全体の一割程度は少し難しい、教科書などには載っていないような問題が出題される場合もあるが、大半はかなり平易な出題である。そのため、基礎的な知識をしっかり押さえていれば簡単ににマーク部分は満点に近いレベルで点が取れるうえ、記述式の問題でもかなり戦えるのではないのではないかっていう印象がある。このような点から、かなり平易な出題になっているのが特徴と言える。
他の私大の地理の例を見ると(年々使えるところは減っているが)、特に早稲田の教育学部などでは、非常に細かい地名なども要求され、答えられないケースがかなりある。しかし、少なくとも慶應商学部の地理は知識勝負と言いつつも細かいことを覚えろということではなく、あくまでも教科書レベルの内容を正確に答えられるかどうかを試しているという印象がある。そのため、基礎的な学習をとにかくしっかり行なっていくといったところが重要になってくる。
得点調整が存在する
世界史、日本史、地理の間では不公平をなくすために得点調整が行われている。
それぞれ科目の特徴として、世界史と日本史は100%勉強して決められている範囲から出題されやすい科目であり、かつそれほど難しくないという点があげられる。一方で地理は主題分野にもよるが、9割を取ることはかなり難しい。8割までは頑張ればいけるかどうかというところだが、8割以上取るのが結構難しい科目になっている。そのため、毎年地理が得点調整で点が上がりやすい。毎年5点から10点ほど上がる傾向にある。
このように得点調整で何点か上がることが非常に多いという点があるため、恩恵を受けやすいのではないだろうか。
初学者でも対応可能
上記のように比較的知識勝負で平易な出題になっている特徴があるため、次に当てはまるタイプの人は、慶商を地理で受験すべきだと思う。
まず1つ目。東大や一橋など国公立を受験する中で、地理をメインの受験科目にしていた人。これは確実に地理で受けるべきだ。
2つ目。二次試験等の勉強はしていないが、センター、共通テスト対策で地理を受験科目に追加している人。文系理系両方いるかもしれないが、センター・共通テストレベルの地理の勉強をしているタイプの人が、プラスアルファで推奨される範囲や語句などの勉強するだけで十分合格点取れるようになる。よってこのような人も受けるべきではないかと思う。
そして3つ目。そもそも社会科目を勉強しておらず、私立の文系を目指して基本的には英数国型で受験する人。これに関してだが、そもそも慶應の商学部は英数国だけだと受けられないという中で、社会を一個追加すればA方式にしろB方式にしろ、どちらでも受けられるようになる。ここで注意が必要なのが、そのタイプの人がB方式を受けるメリットは全くないということだ。英数国を勉強していて、社会を1個追加して勉強し、普通はA方式を受けるであろうという印象だ。
ここでどの社会科目を追加するかと考えたときに、世界史や日本史の問題自体は難しくは無いが、英数国しか勉強していない人にとっては、ある程度要求されるレベルまで仕上げるのが難しいだろう。慶商のためだけに社会科目を追加する場合、地理を追加するという選択肢は大いにアリだと思う。それほどA方式の地理はオイシイものがある。
一方で、英数国を勉強しており他にも文学部や法学部も受験するという人は、日本史や世界史を追加するしかないため、受験する学部によってケースバイケースで対応していくことになる。
対策
では具体的に慶商の地理を攻略する上で必要な対策について話していこう。
センター・共通テストレベルは万全に
どんな人でもまずは基礎的な内容を学習し、簡単な用語などは最低限書けるようにしておこう。その上でセンター・共通テストレベルの過去問演習をしっかり行い、押さえていく必要がある。
慶商の地理とセンター・共通テストレベルの地理は出題の方向性としては異なるものの、後者には基礎的な良い問題が揃っているため、ここの対策を万全にしておくことがまず第一だと思う。
一問一答を一冊潰す
センター・共通テストレベルの演習をしっかり行ったあとは、一問一答を一冊仕上げると良いだろう。なぜなら、先述したが慶商の地理は知識勝負という点があり、自分が覚えている知識を正しくアウトプットできるという状況をここでつくり上げておきたいからだ。
一問一答を一冊潰しておくだけで飛躍的に安定感が増すうえ、一問一答を追加して勉強すること自体はそこまでハードではない。慶商の地理対策には万全を期しておきたいという人はやっておくようにしたいところだ。
系統地理、地誌共に学習しておく
地理という科目は、系統地理と地誌という2つの分野で構成される。慶商を受ける場合は、どちらもまんべんなく勉強するのが望ましい。
時間が無く、勉強が追いついていない人は、系統地理の勉強だけで受験本番に挑んでしまいがちだが、地誌も普通に出題されるうえ、少し勉強すれば確実に高得点がとれるテストになっている。また、地誌を理解していないと解けない問題もよく出題されるため、系統地理と地誌、両方とも勉強するということは意識しておいてもらいたい。
おすすめの参考書
センター試験(大学入学共通テスト) 地理Bの点数が面白いほどとれる本
この参考書は、基本的な内容が完全に網羅されており、地理を学習するうえで重要な、「どうしてそうなったのか」という理由や背景を押さえることができる。最近はこれ以外にも良い参考書はちらほら見かけるようになったが、個人的にはこの一冊が一番内容が分かりやすいと思うため、特におすすめしたい。
但し、同様の講義系の参考書はたくさんあるため、これに拘ることなく自分にあったものを一冊完璧に仕上げるという意識で大丈夫だ。
Z会 入試に出る 地理B 一問一答
慶商の地理を受験するためだけにこの一冊を終わらせるのは、正直オーバーワークかなというようにも感じる。しかし、先述のように一問一答をつぶすことはそれほど難しいことではない。基礎的な内容をしっかりと押さえたうえでこの参考書をつぶしておけば一気に地理の勉強が楽になるだけでなく、慶商の地理を不安に感じることなく、どっしりと構えておいてよいという安心感も生まれるだろう。この安心感を得るために一冊終わらせても良いのではないかと思う。ただし、マストではないので他に受験する大学の傾向などもみながら使うかどうか考えて欲しい。
時間があまり無い人、他科目の勉強をもっとしなければならない人に関しては、もっと簡単な内容の一問一答や、ノート式の問題集でも全然大丈夫である。ただ、安心感を得るためにこの一冊を終わらせる、というのを個人的にはおすすめしており、慶商を確実に取りに行きたいという慶早進学塾の生徒にもやらせることはある。
実際に慶應商学部を地理で受験して
何を隠そう、私自身が昔慶應義塾大学商学部をA方式で地理受験で受験したことがある。
元々地理は得意科目の1つで、(当時)センター試験でも安定して9割前後の得点を取ることができており、また志望校の関係で論述対策なども行っていた。
一方で本番の得点は7割前後ほどで思ってたほどは得点できなかった印象だ。
それはセンター試験や他の大学の対策ではそこまで一問一答形式の対策をする必要がないために、それを軽視した状態で試験本番を迎え、各大問数問ずつ取りこぼしてしまっていたからである。
とはいえ、極端に得点が悪いということもなく、また英語の得点が非常によかったため、無事に合格することができた。
余談だが、私は二浪で、慶應商学部の合格が早慶の合格で初めてだったので、携帯で合格を確認した時は本当に安堵したことをつい最近のように思い出す。
合格したら本当に嬉しいので、その時を信じて、成果に繋がる行動を毎日コツコツと積んでいこう!
受験期の反省も受けて、実際にこの仕事を始めるようになってからは、慶應商学部を地理で受験する人には、おすすめ参考書でも紹介した、地理の一問一答は必ず仕上げた状態で本番を受けるように指導している。
その甲斐もあり、過去に多くの人数が地理受験で慶應商学部に合格し、また地理の得点もどの子も皆安定して高得点を取ることができている。
まとめ
以上が、慶應義塾大学商学部入試の地理の特徴と対策である。
A方式を受験したいという人は、地理を勉強しておけば一気に道が開けるという印象なので、すごくありがたい科目である。
また、ずば抜けて高い点数は取りにくいものではあるが、得点調整の存在もあり、勉強していれば誰でもしっかりと点数がとれる問題もある。ぜひ、地理の準備を万全にしてして受験に臨んでもらいたい。
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