参考書徹底解析シリーズ 数学問題集〜4step〜
2019年04月28日 | 参考書・問題集徹底解析
4stepは、数研出版が出している教科書に対応した数学の問題集である。
そのため学校に対してのみの販売で、店頭販売はされていない。
地方か都市かに関わらず、偏差値60~70程度の多くの進学校で使われているのがこの4stepである。
学校のレベルによっても差異があるかもしれないが、学校の授業や宿題で使用される問題集としてはレベルが高いと評判だ。
では実際のところ、4stepレベルの学力で受験にはどれくらい通用するのか?というのは進学校に通う高一、高二の人にとって気になる疑問ではないだろうか?
今回の記事では、4stepから出題される定期テストの点数別対策法と、一般受験において4stepのレベルはどのくらいなのかという2点についてお話させていただく。
4step使用高校の生徒の方にぜひ読んで頂きたい記事だ。
4stepとは
とりあえず配られたからやっているものの、この問題集がどれほどのレベルなのか、また本当にいい問題集なのかということに疑問を持つ人は少なく無いだろう。
まずは4stepのレベルが実際の一般入試に対してどれくらいのものなのかということについて書いていこうと思う。
4stepと入試問題のレベル差
4stepを販売している数研出版のサイトにはこのように記載されている。
基本から発展まで 4段階でSTEP UP
基本から発展まで幅広く豊富に問題を収録。着実に力が身につきます。
STEP A … 基礎力の養成。教科書の例・例題・問レベル。
STEP B … 応用力の養成。教科書の応用例題・節末・章末レベル。
発展問題 … 発展学習。教科書では取り扱われなかったが重要な問題。
演習問題 … 入試対策。A と B の2段階に分け,章末に収録。
教科書の例題・応用例題と本書の例題で,重要な問題は網羅しています。
さて、ここで一つ疑問が生じてくる。
演習問題では入試対策となっているが、入試問題と一口に言ってもその幅はべらぼうに広い。
それこそSTEP Aの教科書の例題レベルの問題が出題されることもあれば、様々な分野の問題が融合したとんでもなく難しい問題が出題されることもある。
では実際に演習問題 Aがどのようなレベルで構成されているか、解説しながら見ていこう。数学が苦手な人はここは飛ばしてもらっても構わない。
まず、1番は二項定理を応用した問題だ。
{(x^2+2x)+c}^6という形に変形して二項定理を用いるよく見かけるタイプの問題だ。
x^7となるのはx^2が三つとxが一つ、x^2が二つとxが三つ、x^2が一つとxが5つのときとなる。
三つのパターンで出てくる係数を全て足して=-288とすればよい。
センター試験よりは少し上のレベルだが、二次試験では一般的な問題だ。
2番は文字式の問題だ。x^4の係数が1という部分に着目できればある二次式をx^2+cx+dとおくことができる。
この式を二乗して係数を比べれば、x^3とx^2の係数は分かっているためcとdは容易に出すことができ、それらを利用してxの係数と定数も出すことができる。
迷うポイントとしてはx^2の係数を1とおくだけなので、解けて欲しい問題だ。
3-1はそのまま右辺を展開し、左辺-右辺をすればa^2y^2+abxy+b^2y^2≧0となる。
左辺は(ay+bx)^2と因数分解できるので正または0となる。
ここでつまずく人は危険信号だ。
3-2は典型問題だ。3x+2y=1より、y=-3/2x+1/2とおき、x^2+y^2に代入し、二次方程式の最小値を求めるようにして求めれば良い。
ここまでは解けて欲しい。
3-3は少し難しい。まず2x+3y=tとおき、tの最大値を求めていく。
この式を変形するとy=-1/3x+1/3tという式になる。条件をまとめると、
・求めたいものはy=-1/3x+1/3tという式においてtが最も大きくなる時。
・x、yの満たす条件はx^2+y^2=1、つまり原点を中心とした半径1の円周上をy=-1/3x+1/3tが通らなければならない。
y=-1/3x+1/3tが円周上を通りtが最も大きくなる時とはどのような時であろうか?
これは実際に円を書いて定規などを当てて測って貰えば分かるが、方程式が円に接している時である。
よって2x+3y=tに点と直線の距離の公式を用いればtが出せると分かる。
この問題は少し難しいため、地方国立レベルの志望であれば解けなくても問題は無い。
しかし、これもMARCH以上を志す受験生には絶対に解けて欲しい問題だ。
4は超典型問題だ。数学ができる人はa>0、b>0という条件と式を見ただけでこれは相加相乗平均の問題だなと分かる。
与式の左辺を展開するとab+6/ab+5となる。相加相乗平均よりab+6/ab≧2√6となり、最小値は5+2√6となる。
いかがだったであろうか?演習問題には普段手を出さないから全く分からない、なんてことはなかっただろうか?
また、全体的に評価が辛口だな、と感じた人もいるかもしれない。
残念なことに、旧帝大、MARCH以上の大学の入試問題からすれば、演習問題Aのレベルはラッキー問題レベルである。
つまり、演習問題Aレベルの問題は旧帝、MARCH以上を狙う受験生であれば絶対に得点しなければならないレベルの問題ということである。
地方国立大や成成明学、南山レベルの中堅校でこのような問題はよく出題される。これらを志望する受験生は演習Aを6割以上は解答できるようにして欲しい。
入試対策と謳っている演習問題 Aのレベルはセンター試験より少し上の、地方国立、有名私立大レベルの問題であった。
では他の問題についても簡単にレベル分けしていこう。
STEP A 基本レベル。入試には出題されない。
STEP B センター試験の基本出題レベル。ここを確実に得点できればセンター試験4~6割は既に得点できる。
発展問題 センター試験標準、一般私大(偏差値50~55)レベル。初見でこれらの問題が解ければセンター5~7割、一般私大合格が期待できる。
演習問題 B MARCH、有名国立大出題レベル。このタイプの問題はこれらの大学や記述模試で頻出である。初見で解ければ記述模試偏差値65、MARCH合格が見えてくる。
簡単に図にするとこんな感じである。
つまり、旧帝大やMARCH上位学部以上の難関大学では、4stepのみの勉強では通用しないのだ。
では、4stepという問題集を勉強する必要は無いのであろうか?
4stepのメリットとデメリット
結論から言えば、そんなことは全く無い。特にstep A、Bは必ず完璧に仕上げて欲しい。
なぜなら入試でほぼ出題されないということは、塾や参考書が受験対策に入った時にほとんど触れられることがない、ということだ。
しかし当たり前のことだが、step A、Bが出来ない人がそれより上の問題を解けるはずがない。
これがどれだけ恐ろしいことか分かるだろうか?
つまり受験対策に入った塾の授業や受験対策の参考書は、私たちがstep A、Bレベルなら解けるという前提のもと話をしてくるのだ。
もちろん、基礎からの~という授業や参考書は数多く存在するし、それらはstep A、Bレベルからの話をしてくれる場合もある。
しかし、その参考書や授業の目次や授業計画を見て欲しい。
ほとんどが最終的に〜レベルまで到達などと書かれているはずだ。
当たり前のことだが、これ一冊で基礎から初めてセンター7割!などといった参考書など売れる訳がない。
つまり受験期に取る(使う)ものはどんな授業にしろ参考書にしろ、最終的にはMARCH、有名国立レベルまで引きあげようとしているのである。
しかし、全ての分野のstep A,B、発展、演習の全てのレベルを網羅した授業などペース的に不可能だ。
ということは、どんなに導入部分が簡単でも、どこかでペースを無理やり上げなければならないということだ。
step Aレベルから始まっていてもstep B、発展問題レベルがまるまる飛んでいたりすることなどはしょっちゅうだ。
仮にあったとしっても、step Aレベルの問題などは一瞬で説明が終わってしまうし、演習問題レベルを納得できるまで詳しく解説するのはほぼ不可能だろう。
つまり4stepのstep A,B問題というのは超基礎の問題を大量に解ける最初で最後のチャンスなのだ。
これは非常に大きなメリットであるということを高一、二年生の人たちには理解してほしい。
受験は甘くない。step Aレベルの問題すら出来ないようでは、授業では容赦なく追いていかれるだろうし、受験までに完璧なレベルに仕上がることはないだろう。
ここまでstep Aレベルの問題を詳しく、大量に出題してくれるのは4stepだけである。
全ての分野で、問題数をこなして脳に定着させることが非常に重要だ。
デメリットとしては、出来る人からすればstep A,Bの問題量は少ししつこく、退屈だということ。基礎を徹底している以上これは仕方ないことだ。
なのでこのレベルであれば余裕、という人は*印のみ解いたり、奇数番号のみ解いてすぐに終わらせてしまい、発展問題や演習問題にどんどん取り組もう。
4stepを中心とした定期テスト対策
4stepを使用している学校では、ほとんどの場合4stepからの出題を中心とした定期テストが作成される。
今回はそのような定期テストでどこまで仕上げれば何割得点できるかということと、またそのための効率的な勉強法を紹介していこうと思う。ぜひ参考にしてほしい。
4step定期テスト対策〜60点、追試回避編〜
進学校の定期テストの構成は大体どこもこのような感じになっている。
ここで気をつけてほしいことは、4stepにstep Aの問題が多いからといって、同じ割合で問題が出題されるわけではないということだ。
進学校の教師は意識が高いことが多く、step Aの問題は簡単すぎるため、あまり出題したくないという心情を持っている(迷惑な話である)。
そのため、step Aのみをどれだけ完璧にしてもせいぜい40点が限界で、60点に届くことはほぼないのだ。
では、どのくらいまで仕上げれば60点、追試回避ラインまで届くのだろうか?
60点のラインは、step Bまで8割方仕上げれば到達できる。得点イメージとしてはオモテで40~50点、ウラで15~25点といったところだ。
なぜ手を出していないウラで得点が出来るのか?
それは、ウラの最初の部分ではstep Bが出題されることもあるし、step Bまでをほとんど押さえていれば、ウラの発展問題の部分点がかなり見込めるからだ。
逆に言ってしまうと、step Bが全然仕上がっていないのに60点以上を得点できることはほとんど無いということだ。
このことを分かっておらず、追試に引っかかってしまう高校生が非常に多い。
ではstep Bは難しいのかというと、全然そんなことはない。
頭をひねる部分というのはほとんどなく、step Aがしっかりと理解できていれば、たとえ初見で解けなくとも解答やノートを一度しっかりと
見れば覚えれてしまうレベルの問題だ。
分からないところは飛ばして解答を読み(質問し)、出来るようになるまで解き直す、という正しい勉強を一分野につき2~3時間ほどすれば、十分60点は見えてくる。
学校の先生も鬼では無い。常識的なテスト勉強さえしていれば、ちゃんと追試を回避出来るように作られているのだ。
ありがちなミスとしては、質問して理解したものの解き直しをせず、実力になっておらず本番に出来なかったというものがある。
質問して納得してもそこで終わらず、ちゃんと一人で解けるかどうかを確認して次に進もう。
4step定期テスト対策〜80点、発展編〜
80点以上を狙う優秀な学生はstep Bを完璧にした上で発展問題にも触れておく必要がある。
オモテをほぼ満点で通過した上で、ウラで30~40点を取るイメージだ。
発展問題はなかなかにレベルが高く、発想が重要な問題が多い。
ただし、これもstep Bと同じように分からなくとも解説や先生をつかって理解し、一人で解けるようになるまで解き直せば良い。
定期テストの範囲は非常に狭く、演習問題はそれほど量もないので、出題範囲の演習問題全てをこのようにこなしても4時間もかからないだろう。
つまり、60点レベルまで仕上げてしまえば、あと4時間ほどの頑張りで80点まで到達できるということだ。
60~80点までは意外に簡単に到達できるため、是非皆に目指して欲しいラインだ。
4step定期テスト対策〜100点、満点奪取編〜
逆に言ってしまえば、90〜満点を取るのは非常に困難だということだ。
図にもあるように、定期テストの最後の問題には演習問題や先生が選んだ入試問題などのチャレンジ問題が出題されることが多い。
つまり、4stepの内容を超えた問題や、演習問題の類題が出題されるということである。
このタイプの問題を解くためには、青チャートなどを用いてもう1ランク高い問題に慣れておく必要がある。
青チャートなど、と言ってもそれを全て解く必要は無い。
序盤の部分は4stepの学習で完成されているので、分野ごとの後ろの方に収録されている、レベルの高い発展問題などのみ学習しよう。
まとめ
4stepがいかに重要な問題集であるかということを理解していただけただろうか?
この問題集で学ぶことの多くは受験において最低限の知識である。
ここで安易に手を抜いてしまえば、受験生になってから必ず痛い目を見ることになるだろう。
受験期になれば応用レベルの問題は自然と多く触れるので、他の教科を犠牲にしてまで難しい問題に手を出し、満点を取る必要はない。
しかし、定期テストで60~80点のラインを切る高校生は危険信号である。
受験期に触れられない常識レベルの問題を理解出来ていない可能性があり、最悪の場合受験で数学が使い物にならないというおそれがある。
受験生になってから後悔しないよう、日頃から最低限の勉強は欠かさないようにしよう。
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