【徹底解説】黄チャート(数研出版)のレベル、難易度と効果的な使い方

数学を勉強するにあたって、どの参考書を使って勉強を進めるかは非常に迷いどころだ。

本当に色々な教材があり、自分に合った教材を選ぶことが非常に重要だ。

今回紹介する参考書は、数研出版の出している黄チャートだ。

さっそくその特徴を紐解いていこう。

黄チャートの基本情報

• ジャンル…数学の網羅系参考書
• 目的…数学の基礎から応用レベルまでをしっかり学習するための参考書
• 対象者…大学の個別試験で数学を使う人
• 使用時期…受験勉強で数学を勉強するときの最初の一冊として、最後まで使える網羅系参考書
• 問題数…９００問以上
• おすすめ度…★★★★☆

チャート式シリーズは白、黄、青、赤とあるが、黄チャートは最も万人受けする参考書ではないだろうか。

黄チャートの特徴 

次に「黄チャート」の特徴について説明していこう。

基礎〜応用まで幅広くカバー

１点目としては、「基礎から応用まで幅広くカバーできる参考書」であるという事だ。

チャート式シリーズは白・黄・青・赤と４つのシリーズがあり、この順番に沿って難易度がどんどん上がっていく。

黄チャートと青チャートはその真ん中に位置する難易度になるが、この２冊が非常に似通ったレベルの立ち位置になっているのが特徴だ。

黄チャートについては数学の基礎の学習から入り、最後は私立大学や国公立大学など受験に対応する力を培える１冊になっている。

よって先ほど述べたように、受験勉強で数学に着手するごく最初の段階から、最後の二次対策までを全てこの１冊でしっかりやりきれるような内容の参考書になっている。

青チャートに比べやや基礎寄り

次の特徴として、「青チャートに比べてやや基礎よりのレベル」という事を挙げておこう。

実際この黄チャートと青チャートにはどのような違いがあるのかというところだが、重要例題や章末問題を中心にややレベルが低いのが黄チャート、レベルが高いのが青チャートという点だ。

黄も青も、どちらも同じように基礎から応用レベルまでを１冊で仕上げることができる全網羅型の参考書だ。

チャート式シリーズは学校の方で黄か青どちらかの購入指示をされるところも多いと思うが、このような理由から、黄チャートと青チャートのどちらを購入してもらってもそんなに大差はないだろう。

例えば最初から旧帝大の東大・京大など上位レベルの大学を狙う事を決めている人は青チャートの方を選んで購入すると良いかもしれないが、志望校が今の段階で固まっておらず、そこまで上位大を指せるかどうかもわからないという人は、この段階ではどちらを選んでもらっても良い。

鴨井　拓也(塾長)

全ての学習をチャート式シリーズで行う人もあまりいないと思うので、黄でも青でもどちらでも構いません。ただし基礎固めと割り切ると黄チャートの方が勉強しやすいですね。

解法プロセスが詳しい

三点目の特徴として、「解法プロセスが詳しい」という点がある。

これは黄チャートだけではなくて他のチャート式シリーズ全てに言える事なのだが、このシリーズの特徴として「解法のプロセスをしっかりと学習できる」というところに重点が置かれている。

１つ１つの問題に対し、解き方の方針立てのノウハウをしっかり学習することができる内容になっているので、このチャート式を一通り学習すればどんな問題が出て来ても解く際のプロセスの組み立て方をしっかりとなぞらえることが出来、最終的にいろんな問題に対応できる力が付くのだ。

また、それぞれの単元ごとに体系的に内容を整理して学習ができるという点が、チャート式の大きなメリットがある。まずそれぞれの単元ごとの最初の方に要点のまとめのようなページがついていて、その部分で公式や定理を含めた「どうしてそのようになるのか」というポイント面がしっかりと解説されている。

その後問題に進むのだが、問題は基本問題から難しい問題という風にどんどん難易度を上げながら順番に続く。１ページにもっとも基本的な例題が１つあり、その下に類題が数問あるという形だ。

これが全単元で同じようにレイアウト構成されていて、非常に見やすくて良い。

そしてこの黄チャート・青チャートレベルからは、例題や類題に大学の過去問が使われている箇所も多くなっていて、そういう意味でも大学の入試対策としてしっかり経験値を詰めるような内容になっている。

逆に言うと、類題で過去問などが出てくる形になっているので、例題と類題だけでもなかなか歯ごたえのあるような問題も多く、やりこむのにそれなりの時間がかかることは認識しておく必要がある。

中身

では、「黄チャート」の中身の一部を紹介しよう。先ほど述べたように、例題に続いて類題が１ページに納められて連なる形が見て取れるだろう。

http://kyouzai4u.blog.fc2.com/blog-entry-100.html

どのチャート式を選べばいいか

ここで、特徴を述べる上で参考になるページのリンクを上げておく。

過去、当ブログではこのチャート式シリーズにおける４種類それぞれについて、その違いを比較して述べた記事を載せている。下記URLがそれだ。

チャート式シリーズの中で自分はどれを選んだらよいのか、この解説も参考に見てもらったらよいだろう。

黄チャートの使い方

次に「黄チャート」の使い方について説明していこう。

要点を理解する

まず１点目として、要点を理解しよう。

チャート式シリーズはそれぞれの単元に入った最初の部分で要点の箇所が丁寧に説明されているので、そこでインプットするべきところをしっかりインプットして、かつインプットした内容を頭の中できちんと整理しておくという事が重要。

例えば三角関数であったら様々な公式が出てくると思うが、出てくる公式についてはそれぞれにこういう特徴があるという様な形で整理して覚えることで、実際に問題を解くときにどの公式をつかったらよいのかをすぐに頭の中から引き出すことができる。

この様にインプットするだけではない、ちゃんと整理して覚えるかどうかというのが、その問題を解くときのスピード感に直結してくる。ここは「整理」というポイントを強く心がけながら取り組んで欲しい。

鴨井　拓也(塾長)

本当に0からチャートで学習するのは難しいですが、公式や初歩の問題ができる状態で黄チャートの要点を確認するとスムーズに知識を整理できると思います。

まずは例題を自力で解く

２点目に、例題を自力で解いてみよう。

要点をしっかり整理して覚えたら次は例題に入っていくと思うが、すべての問題について、まずは自分の頭でしっかりと考えて自力で解くことを心がけて欲しい。

ここで、問題を見てもわからないからとすぐに答えを見る癖をつけてしまうと、数学という科目が暗記科目の形式になってしまって、一向にアウトプット力が鍛えられない。

数学のようなアウトプット力が重要な科目において答えの丸暗記ということをやってしまうと、定期テストでは点が取れても模試や入試の問題では一切点が取れないというような状態に陥ってしまう。

もし万が一今そういう状態に陥っている人がいるとしたら、この勉強法をしている可能性が非常に高い。今後は必ず、「自力で解く」というところを徹底して取り組んで欲しい。

それには、わからない問題についても５分から１０分程度はしっかり時間を取って自分一人で考える事。

それでも解き方がわからなかったら少し答えを見る形になるが、これもいきなり全て見るのではなく、まずは「チャート＆ソリューション」という箇所に問題の解き方の方針がまとめてあるのでその部分をヒントにしてやってみる。それでも分からなければ徐々に回答部分を見ていって、

途中でも「ここまでヒントをもらったらあとは自分で解けそうだ」と感じたところで答えを見るのをやめ、にそこからは自力で解く。

この様なやり方で、自力で解く時間をなるべく最大化して欲しい。自力で解こうとすると労力もかかるし、１問解くごとに時間もかかると思うが、実はこの時間をかける事が数学に必要なアウトプット力を鍛える１番大切な要素である。ここを絶対に省かないで行う事。

逆に言うとここは効率化せず時間を最大限にかけてよい部分だ。しっかりと自力で解こうとする姿勢、これこそが数学学習において最も重要視してもらいたいポイントである。

鴨井　拓也(塾長)

手が止まったら解答を見ても大丈夫ですが、最初にやはり自力で問題を解いてみることは非常に重要ですね。

解説で解き方を学習

３点目、問題を解いたら解説で解き方の学習をしよう。

スムーズに解けたにしろ難しくて途中で躓いたにしろ、問題を解き終えたらどのみち解説は見るだろう。その際には、答えが合っているかどうかだけをチェックするのではなくて、答えに至るまでの計算プロセスが正しいかどうかというのをきちんとその都度確認するようにして欲しい。

入試で問題を解く時、特にこの数学という科目は、答えそのものよりも自力でしっかり答えに至るまでのプロセスを組み立ててたどり着けたかどうかという事が一番重要だ。

たとえ答えが合っていたとしても方針が間違っていたり遠回りの計算をしていたりする場合もあるので、まずは回答の模範プロセスが自分の解き方と一致しているのかどうかを確認すること。

もしそこで一致していないのならその時点できちんと修正を加え、演習を通して解法プロセスを洗練させていくというのが効率的な勉強法である。

このプロセス部分の説明については、チャート式シリーズの参考書が一番力を入れている箇所でもあり、いろいろと多岐にわたって詳しく解説してあるので、ここでしっかりとこのチャート式ならではの学習を積んでもらいたい。

反復演習

最後に反復演習を行う事。初見で解けた問題については問題ないのだが、初見でちょっとわからなくて解けなかった問題・またはプロセスや答えが間違っていた問題については、何度も反復する必要がある。

数学においては、定着力を上げるためにはこの反復が必須だ。

やり方としては、１度回答を見て手を使って自力で解く作業をやることはもちろん、その日の最後にもう一度最初から間違えた問題だけを解きなおすということだ。

この様な形で、その日のうちに最低２回は反復して欲しい。

この反復ができるかどうかというのが、数学力が上がっていくかいかないかを決める大きな要素のひとつとなるだろう。往々にして人間の脳というのはすぐに忘れるようにできており、１度は自力で解けてわかったつもりでいたとしても、その類題が出たときに忘れてしまって解けないという事はしょっちゅう起こる。

これを防ぐためには何度も何度も反復し、きちんと「こういう問題が出たときにはこういう解法で解く」という事を無意識下に浸透させる必要がある。このために最低２回は手を使って解いてほしい。

その日以降は、わざわざ手を使って解く必要はないと思うが、時折問題を見ては頭の中で「この問題はこういうところがポイントで、こういう風に解法を組み立てていったらよかったよな」という風に想起によって内容を復習して欲しい。想起だけでも反復の効果があるので、後日以降は想起で効率的に反復を行うことが大事である。

ただこの反復演習をマストとすると、学習にはある程度の時間がかかるようになるだろう。

そしてこのチャート式シリーズは問題数がとてつもなく多いので、反復演習を含めると全ての問題を解くのは少々難しくなってくる。

また全ての問題を反復しようとすると、非常に膨大な量を解かないといけなくなる点に注意だ。そのため、最初は例題だけをしっかり解いておいてくれたらよい。

例題だけで重要な要素をある程度網羅できるようになっている。下に連なる類題については割と解くのに時間がかかるものが多いし、難易度も少々例題より高くなる。

最初のうちはまず例題だけ、次に余裕が出来たら下の類題に手を付け、そこまでもしっかりと仕上げることが出来たら章末問題にも手を伸ばす…という風に、基礎から応用に徐々にシフトしていくというような流れで問題を選んでいくのが良いだろう。

鴨井　拓也(塾長)

まずは例題を完璧に解けるように仕上げましょう。自信のない問題や苦手な分野、暗記になってしまってそうな問題は下の練習問題まで取り組むとより良いでしょう。

黄チャートの注意点

次に「黄チャート」に取り組む際の注意点について説明していこう。

解説の詳しさは、青・赤チャートと同レベル

解説の詳しさは青・赤チャートと同レベルである。

黄チャートは白チャートの次に簡単なレベルに位置するので、その解説もかなり詳しいのだろうと誤解する学生もいるのだが、実は黄チャートの解説は青と赤と比べてあまりその詳しさレベルは変わらないのだ。

ここは黄の解説があまり詳しくないとみるのか、逆に青と赤の解説がそのレベルの参考書としてはすごく詳しいとみるのか、どっちの視点で見るかによって変わる話でもある。

チャート式シリーズのレイアウトとして１ページに例題が１つという構成になっているのでどうしても解説を１ページに納めるように書かれており、その構成上の制約からそれぞれ難易度別の参考書であるはずの解説の詳しさに差が生じないという結果になっている。

なので、黄チャートだから青や赤に比べて特段解説が詳しいというわけでもないので、そのあたりはしっかりと認識しておいた方がよいだろう。

あとは、理由はわからないがこの４冊のうち黄チャートだけが二色刷り構成となっている。二色刷りが苦手な人は青チャートの方を選んだ方がよいかもしれない。

黄チャートの類書との比較

次に「黄チャート」の類書との比較に入っていこう。
ここではチャート式シリーズの上下の難易度である白チャートと青チャートも含めた上で、説明していこう。

数件出版　白チャート

１冊目は白チャートになる。

まず、白チャートと黄チャートには決定的な違いがある。

白チャートは授業のサポートとして使うような内容になっており、大学の入試対策用というよりは学校の定期考査対策のために使うような参考書である。

よって、収録されている問題も教科書に載っているような初歩レベルの問題が多く、章末問題でも教科書の章末問題レベルの簡単な問題だ。

つまり、かなり基本的な問題に重点を置いて作られている参考書だ。そして白チャートで到達できる実力というのが大学の共通テストレベルくらいまでのものになってくるので、これはそういう類の本であると理解した上で購入して欲しい。

そして、白チャートは定期考査対策や共通テスト対策程度に学力を上げるための参考書としてはその簡単さとは裏腹にあまりにもボリュームが多い。この点からも逆に手を付けるメリットとしては少ないかと思う。

もっと他に基礎固め用のコスパのよい参考書が沢山あるので、少々微妙な立ち位置というのが正直なところだ。

鴨井　拓也(塾長)

白チャートの記事は以下から確認できます。

数件出版　青チャート

２冊目に青チャートを上げよう。

これはチャート式シリーズの中で一番人気のある参考書だ。

人気の理由としては、青チャートは基礎から東大京大までのレベルまでを押さえた参考書なので、難易度の網羅性が１番優れているという点だ。

冒頭でも話したが、黄チャートとの違いとしては、黄チャートの方がその中でもやや基礎よりに重点があり、青チャートの方がやや応用よりに重点、という部分のみである。

このため、旧帝大の上位を狙いたい・狙うであろうという事がわかっている人は、最初から青チャートを購入した方が良いだろう。この青チャートさえあれば、それだけでどんな大学の基礎から二次対策までも全て網羅できるので、やっぱり１番人気となる理由はここであろう。

あとは問題数についてもチャート式シリーズの中で最も多く収録されていて１０００問以上載っているので、問題に困ることもなく、さらに難関大の過去問もたくさん収録されているのでしっかりと2次対策ができるというのも魅力の１つかと思う。

ただ学校ですでに黄色チャートを購入させられた人はわざわざこちらを買い直す必要はない。

黄チャートでも網羅されている範囲がほぼ同じだからだ。

黄チャートでも旧帝大未満の国公立大学レベルくらいまでなら章末問題含めて全ての問題を解くことができればちゃんと対応ができるので、その場合はわざわざ青チャートを買い直す必要はなく、黄チャートに集中してもらったら良いだろう。

鴨井　拓也(塾長)

青チャートを使うかどうか悩みますよね。以下に記事を載せておきます。

私も昔青チャートを使っていたので、どのように使ったのかも解説してあります。

旺文社　基礎問題精講

３冊目に旺文社の出している基礎問題精講を上げておこう。

これまで主にチャート式の話をしてきたが、この１冊はチャート式とはまったく毛色の違う参考書である。これは網羅系ではなく、単純に基礎固めをするための入試対策用の参考書となる。

旺文社の問題精講シリーズも４段階の難易度に分かれていて、入門・基礎・標準・上級という形になっておりこの基礎問題精講は２番目の難易度に位置する。

問題精講シリーズの良いところは、１問１問の問題への解説が非常に詳しいというところで、解き方の方針や要点、あとはプラスαの知識などについても１つ１つしっかりと掲載されているので、そういう点で１問解いたことによって得られる・習得できる情報量が多く非常によい参考書になっている。

ちなみにこの問題精講シリーズを使う場合は、基礎固めとして基礎問題精講から入ってもらい、徐々に難易度を上げていくという形になっている。

基礎問題精講でしっかりと基礎固めをし、それで少々難しいという人には入門問題精講に繰り下がって学習をするという形が望ましく、まずは基礎問題精講から入った方がよいだろう。

ただこの基礎問題精講は１A、２B、Ⅲという風に３冊でようやく基礎が固まる形になっていて、それぞれにある程度の問題数もあるため完成に至るまでは時間がかかるだろう。

そして網羅性という点ではチャート式に勝るものはないので、完全に網羅したいという人にとってはチャート式を購入した方がよいかもしれない。

あとは、チャート式はその構成から比較的体系的に整理整頓が出来るが、問題精講シリーズについては単元ごとの内容を若干整理しづらいという部分があるかもしれない。

鴨井　拓也(塾長)

基礎問題精講はチャートの初歩的な問題と章末問題を省いて構成したというイメージです。非常に反復しやすいので、生徒には普段こちらを使ってもらっています。

黄チャートのまとめ

最期に黄チャートの特徴をまとめておこう。黄チャートは青チャートと並んで非常に人気のあるシリーズだ。特に黄チャートは万人受けする非常に使い勝手の良い参考書だ。

まずは黄チャートの例題を完全に仕上げることを考えよう。必要の応じて下の練習問題もこなし、黄チャートで一気にレベルを引き上げたいのであれば、章末問題にトライしていけば良いだろう。

1冊でかなりのレベルに到達するため、辛抱強くこの参考書を使いこなしてもらえたらと思う。

鴨井　拓也(塾長)

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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