総合的研究(旺文社)を使用し、数学の思考力を鍛える方法
2022年06月28日 | 数学
あなたは数学が得意だろうか?それとも苦手だろうか?
これまで数多くの生徒を指導させていただき、やはり数学を苦手科目としている人は非常に多い。
数学が苦手になってしまう最も大きな原因は、【数学の考え方が分からない】という点にあるのではないだろうか?
この数学の考え方は、数学学習には必要不可欠である。
ここでは旺文社の総合的研究を紹介しよう。
非常に分厚い教材のため、使う人を選んでしまうものの、じっくり数学に取り組みたい人、また数学の考え方を理解し、思考力を強化したい人はぜひこの記事を読んでみてほしい。
総合的研究の基本情報
まずは「総合的研究 数学」の基本情報についてまとめておこう。
- ジャンル…数学の参考書
- 目的…数学の基礎から応用レベルまで幅広く学習する。
- 対象者…受験科目として数学を使う全ての人
- 使用時期…数学の受験勉強を始める最初の1冊として。
- 問題数…1000問以上
- おすすめ度…★★★☆☆
じっくり時間を使って数学の学習を進めていきたい人に適した一冊である。
使う人は人を選ぶだろうが、相性が合う人にとっては、まさにバイブルとなりうる教材であるといえる。
総合的研究数学の特徴
「総合的研究 数学」の特徴について説明していこう。
講義系参考書
まず1つ目の特徴は、講義系参考書だというところだ。
この参考書は非常にボリュームがあり、網羅系参考書の1つとも言える。
その網羅系参考書の中でも「総合的研究 数学」は、読んで理解を深めることができる講義とも言える内容がとても充実している。
いきなり問題を解いていくような形ではなく、その講義とも言える内容をじっくりと読み込むことによって、数学の基礎を固めていくことができるだろう。
非常に詳しい解説
総合的研究の最も優れている部分はその懇切丁寧な解説にある。旺文社の公式HPに以下のような記述がある。
教科書や従来の参考書では、いろいろ書かれているわりに、読者が一番知りたい肝心なことは省かれている傾向があります。本書は、ここを重点的に丁寧に解説しました。ですから、しっかり読んでもらえばスムーズに理解してもらえるはずです。本書は気楽に読めて即効的な力がつくことを謳うものではありません。しっかり読む人に、数学的な心と考えること理解することの喜びと力を伝えるものです。
旺文社公式HPより引用
あまり考えずに学習を進めている人は、定義や公式の意味合いを全く理解することなく、そのまま覚えてしまっている人が多いのではないだろうか?
また、理解しようと意識していても、いまいち理屈を理解することができないことも多いのではないだろうか?
こういった部分に関して、この教材は非常に丁寧に解説をしてくれている教材である。
分量が非常に多いので時間はかかるかもしれないが、理解すべき内容を正しく理解することができれば、数学への苦手意識はなくなるどころか、これ以降の数学の学習をスムーズに進めていくことができるだろう。
分厚さに対して問題数は少ない
何度もお伝えしているが、総合的研究の分厚さは尋常ではない。
しかし、問題数が大量に収録されているかといえば、意外とそうではない。あくまでも数学の大事な部分を理解するための解説に重きが置かれているからである。
そのため、分厚さの割に問題数はやや少なめだ。そのためこの1冊で難関大レベルまでの数学の学習が完了するということではなく、演習のための他の教材を用意する必要があるということは理解しておこう。
総合的研究数学の使い方
では、「総合的研究 数学」の使い方について解説していこう。
講義内容を読み理解する
まずは、講義内容を読み理解を深めよう。
一般的な網羅系参考書では、各単元の冒頭で公式や要点がまとめられており、その説明も簡略化されて数ページでまとめられていることが多い。
しかし、今回紹介している「総合的研究 数学」では、そこの理解を深めるための内容が何ページにもわたって載っている。
例えば、1つの公式について“なぜこの公式が成り立つのか”というところまで解説されている。
他にも、“関数とはどういうものなのか”ということや、一次関数と二次関数のそれぞれの性質など、重要な要素の基本的な情報について非常に詳しく解説されている。
以上のような内容が、講義のような形で読み込むことで理解できるようになっているため、これを読む込むことで、基礎の部分はしっかりと理解することができるだろう。
まずはしっかりと読み込むことで理解し、基礎固めをしていこう。
この教材の最大の特徴が解説部分にあるわけですから、ここをじっくり読み込み、内容を理解することが何よりも大事ですね。しっかりと時間を使ってください。
例題を自力で解く
講義内容をしっかりと読み今度理解できたら、次は例題を解いてみよう。
この例題については、まず何よりも自力で解いてみることが一番重要だ。
自力で解こうとすると、なかなか時間がかかったり、頭をものすごく使って労力がかかるかもしれない。
しかし、実はその時間がとても重要で、自力でなんとかして解こうすることでアウトプット力が鍛えられていく。
そのため、絶対にその時間を省いてはならない。
一番良くないのは、例題を見た後にほとんど考えることなくすぐに答えを見て、それを丸覚えしてしまうようなやり方だ。
このやり方では、アウトプット力は一切磨かれず、模試や入試での得点につながることは絶対にない。
数学という科目では、“いかに自力で解いてアウトプット力を磨くことができるか”ということが一番大事なところとなるため、このことは絶対に心掛けながら学習を進めていこう。
もしどうしても分からないときには、例題のすぐ下に「アプローチ」という解く方針が記されていてこれがヒントとなるため、まずはそこを読んでから再び解いてみよう。
最善なのは自力で解くことだが、どうしても分からなかったらこのようにヒントを見たり、解答を見る場合でも最初から全て読むのではなく徐々に見たりしていこう。
その中で、“わかる”と思ったら、いったん解答・解説を閉じ、そこから自力で解いていってみよう。
このように、自力で解く時間を最大化することを意識しながら学習を進めていこう。
どうしてもこの教材は読む時間が中心になってしまいますが、問題は必ず自力で解きましょう。そうでないとアウトプット力が育っていきません。
「解法」を理解する
自力で問題を解いたら、次は「解法」を理解しよう。
実際に問題を解き終えたときには答え合わせをすると思うが、その際には自分の解答の最終的な値が合っているかどうかだけを確認するのではなく、解答・解説として記されている解き方のプロセスが自分のものと一致しているかどうか、検証することが非常に重要だ。
数学等のアウトプット力を必要とする科目については、答えというゴールではなく、そこに至るまでの過程を自分で組み立てていくことが一番大切なところだ。
答えが分からない入試問題を目の前にして、そのゴールにたどり着くためには、“こういうプロセスでこういうアプローチをしていったら解ける”というふうに、自分で組み立てていく力が必要だ。
これができるかどうかで最後の答えを導き出せるかどうかが決まってくるため、答えに至るまでのプロセスを意識して学習を進めていこう。
答え合わせのときには解説をしっかりと読み、“どうやって解いたらいいか”という解き方の糸口から、その後の解いていく方針・プロセスまで理解して、自分のものにしていこう。
その理解を蓄積していくことで、次第にいろいろな問題が解けるようになっていくだろう。
大事なのが、実際に自分が解いたアプローチと解答解説で正しいことを行うことができていたかどうかです。できていなかったら、どのような頭の使い方でそのように考えればよかったのかという点を丁寧に検証するようにしましょう。
問・章末問題で反復演習
例題とその解答を使って「解法」を理解できたら、問・章末問題で反復演習を積んでいこう。
問と章末問題は、例題のあとにたくさん掲載されている。
例題で「解法」を身につけたあとに、問・章末問題にある類題をたくさん解いていくことで何度もアウトプットをして、解き方を定着させていこう。
例題だけではもちろん全ての問題には対応できないが、いろいろな問題を解いていくことで、似たような問題を目の前にしたときにも対応できるようないろいろな解き方を習得していくことができる。
可能な限り多くの問題を解いて、解法を自分の中にどんどん蓄積させていこう。
ただし、章末問題についてはかなり難しいものが多いため、いきなり手をつける必要はない。
数学はとにかく基礎レベルの問題をいかにやりこむことができるかが重要なため、例題と問を重点的に使って学習していこう。
最初は章末問題を飛ばして進めていき、最後に二次対策としてたたみかけるときに学習していく形でもいいだろう。
また、章末問題は全ての問題をやりきる必要もなく、苦手な分野や自分が受験する大学の入試問題で、傾向として出題されやすい単元のものだけやるという形で進めていければ十分だろう。
章末問題の部分は、別の教材で演習するという形でも問題ありません。そのあたりは柔軟に対応するようにしてください。
総合的研究数学の注意点
ではここで、「総合的研究 数学」を使用する際の注意点について記しておこう。
学習する人は必ず確認するようにしてほしい。
反復に向かない
あまりにも分厚いため、反復学習を行うのがやりにくいということがある。
もちろん問題だけを抽出して反復するということもできるものの、やはり反復は薄めの教材を活用する方が断然行いやすい。
数学は理解することも、反復し機械的に処理できるようになることのどちらも重要であるといえるため、ここの部分をどのように扱うかは少し考える必要があるといえるだろう。
既に理解できている人には不要
そもそもの目的が数学の重要な部分を理解するという点が目的になっている。
そのため、数学が非常に得意であったり、また学校の授業が優秀で大事な理屈を説明してくれるものがあったり、まそれにあわせて丁寧に学習を進めてきた人には不要である。
また残り時間が限られてきている受験生がこの教材に手を出すのは時間という側面からも危険だろう。
そういった意味で、この教材は使う人を非常に選んでくる教材である。自分がこの教材を使うべき人に当てはまるのかどうか、冷静に見極めるようにしてほしい。
演習量の不足
この教材で全ての数学学習を完結することができるかというと、その点は少し怪しいといえるだろう。
この教材の学習が完了後に、演習量を確保するための教材を用意しておこう。
総合的研究数学の類書との比較
次は、「総合的研究 数学」の類書について紹介していこう。
3冊紹介するが、全て網羅系参考書となっている。
文英堂 理解しやすい数学
まず1冊目は、文英堂の「理解しやすい数学」だ。
この参考書は、今回紹介した「総合的研究 数学」と一番似ている形式となっている。
こちらも基礎の理解というところにフォーカスを当てているため、講義のような内容のページが非常に多くなっている。
そのため、今回紹介したものと同じように、講義のページでしっかりと基礎の理解を固めてから問題を解いていくという使い方ができるだろう。
「総合的研究 数学」は黒・赤の2色刷りとなっているが、一方で「理解しやすい数学」は黒・赤・青の3色刷りとなっているため、カラーが多いほうが見やすい人にとってはこちらのほうがいいのかもしれない。
理解しやすい数学の方が分厚さはかなり薄いですね。中身を書店で確認してみてください。
チャート式(青)
2冊目は、「チャート式」シリーズの「青」だ。
チャート式シリーズは、「白」「黄色」「青」「赤」という順にどんどんと難易度が上がっていく。
その中でも「青」は、基礎の理解から旧帝大の東大・京大といった最高峰のレベルまで、この1冊で対応できるくらい難易度が網羅されており、一番人気なものとなっている。
この参考書はいろいろな学校でも配布されていて、とても有名なものだろう。
これのいいところは、各単元がしっかりと体系的に整理されているところと、冒頭に要点や公式がきっちりと整理して載っているため、情報を頭の中ですぐに整理しやすいところだ。
さらに、問題一つひとつについて、解き方の方針や重要なポイントといったような、解説+αの部分があり、各問題についての重要な要素・ポイントをしっかりと把握できるようになっている。
ほとんどの網羅系参考書はこのようになってはいるが、その中でもチャート式シリーズは、これが比較的過不足なく記載されていることが特徴と言えるだろう。
一方、前述した「理解しやすい数学」や今回紹介した「総合的研究 数学」のように、あまり詳しく解説されていないというところはあるが、ある程度授業や教科書で理解ができている人にとっては、省けるところは省いているものを使った方が頭の中を整理しやすい場合もある。
そこは一長一短であり、使う人の好みにもよるところだろう。
問題数についてもほとんど一緒だが、若干チャート式は少なく950問ほどとなっている。
チャート式は、網羅系参考書の中でも、解説の詳しさや問題の難易度の網羅性といったところは一番標準的なところに位置し、一番クセがない参考書とも言え、そこが強みだとも言えるだろう。
また、チャート式は、各単元でどんな問題が出されても解けるように解法が一通り網羅されているため、例題とその下に掲載されている類題を一通りしっかりと解いていくだけで、かなりいろいろな問題に対応できるようになれるだろう。
そういった解法の網羅性は高い参考書となっている。
チャートに関しては以下の記事から内容を確認することができます。教材選びの参考にしてもらえたらと思います!
啓林館 Focus Gold
最後は、啓林館の「Focus Gold」だ。
これも網羅系参考書の中でとても有名な1冊で、形式としてもチャート式の青と同じになっている。
問題のレベルについても、この1冊さえあれば、基礎~東大・京大レベルまですべて対応可能なものとなっている。
良い点は、この参考書の筆者が数学の権威といえる方で、コラムで数学の本質的なことなど、かなり良いことが記載されている点だ。
フォーカスゴールドはチャートと同じタイプの教材ながら、数学のよく躓きやすい部分を中心に理屈を理解するための解説が豊富です。また章末問題も豊富で、これ1冊と過去問で東大に進学した生徒もいるくらいです。
総合的研究数学のまとめ
今回は「総合的研究 数学」についてまとめてみたが、いかがだっただろうか?
この参考書は、網羅系参考書の中でも基礎の理解にフォーカスを当てたものとなっている。
しっかりと土台を固めたいという人にとっては、とても良い1冊となるだろう。
一方で、基礎についてはある程度授業などで理解できている人は、他の参考書を選ぶほうがいいだろう。
使う人は間違いなく選ぶだろうが、実際に正しく使うことができれば、間違いなく数学が得意科目になってくれるだろう。
また、慶早進学塾では無料受験相談も行っているため、勉強の仕方に悩んでいる人は、ぜひ活用していただきたい。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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