慶應義塾大学文学部(慶文)の一般選抜の傾向と対策
2020年07月29日 | 慶應義塾大学
この記事は慶應義塾大学文学部の一般入試の対策に関してだ。
慶應義塾大学の文学部は私立大学の文学部の中でも最高峰であると言える。
英語の出題形式をはじめ、歴史の出題もユニークで、語句をたくさん書かなければならないといった特徴がある。また、小論文の出題があるため、慶應内の他学部はもちろんのこと、早稲田、上智、MARCHなどの大学と比べてもかなり独特な出題形式になっている。そのため、専用の対策が必要不可欠な学部の一つになっている。
ぜひ今回の記事を詳細に読み、慶應文学部対策をどのように行えば良いか理解した上で勉強を進めてほしい。
慶應文学部の合格実績
過去に慶應文学部は複数の合格者を輩出している。そちらを紹介させていただこう。
- 2017年度
慶應文学部一般入試1名(世界史受験) - 2020年度
慶應文学部一般入試1名(世界史受験)
慶應文学部自主応募推薦1名
一般入試、自主応募推薦共に合格者を輩出することができている。今回はその中でも一般入試の全体像を確認することができたらと思う。
慶應文学部一般入試の制度
まずは慶應文学部の入試の制度に関して確認していこう。
科目
英語・小論文・歴史(日本史・世界史)
英語と小論文が必須であり、歴史の日本史と世界史はどちらか選択という形になっている。
配点
英語:150点 小論文:100点 歴史:100点 合計350点
英語がやや配点が高いが、どの科目も満遍なく配点が与えられている印象だ。
合格最低点
直近5年間の慶應文学部の合格最低点と科目別平均点だ。
英語が易化した2020年を除けば、いずれも230点前後といったところか。特に英語は記述式の問題が中心のため、出来不出来の差が非常に激しくなりそうだ。
年度 | 英語 | 小論文 | 世界史 | 日本史 | 合格最低点 |
2020 | 99.38 | 56.17 | 63.91 | 55.94 | 250 |
2019 | 88.46 | 53.63 | 52.28 | 58.54 | 233 |
2018 | 80.11 | 55.70 | 58.08 | 46.47 | 228 |
2017 | 85.68 | 54.23 | 53.31 | 51.15 | 231 |
2016 | 92.69 | 54.31 | 56.56 | 46.13 | 233 |
慶應文学部の受験者数と合格者数
実質倍率は4~5倍。比較的低めではあるが、東大京大を始めとした最難関国公立大学を受験する人が多いため、その分レベルは上がると考えて良いだろう。
年度 | 募集人数 | 志願者数 | 合格者数 |
2020年度 | 580名 | 4351名 | 1022名 |
2019年度 | 580名 | 4720名 | 1033名 |
2018年度 | 580名 | 4820名 | 1023名 |
偏差値 65.0(文学部人文社会学科)
選択科目の得点調整
慶應義塾大学文学部の入試では募集要項に「地理歴史(日本史・世界史)」の科目間の難易度の違いから生じる不公平をなくすため、統計的処理により得点の補正を行う。」と明記されている。そのため、世界史と日本史の平均点に差が生じた場合は得点調整が行われる。
また、大学で公表されている日本史と世界史の平均点は補正前のものなので注意が必要だ。ただし、毎年得点調整が行われるわけではないため、日本史と世界史のどちらが有利ということはない。
慶應文学部の一般入試の特徴
英語の記述問題
例えば早稲田の文学部やMARCH、関関同立などの一般的な私立大学の場合、大半がマーク式の問題になっており、長文の大問数が複数あったり、文法問題などが問われる。たまに英作文もあったりするが、基本的にはマーク型の問題が中心になっていて、多くの問題をスピーディーに解くことを求められる出題形式になっている。
しかし、慶應の文学部は一般的な私立大学の出題形式と真逆の出題になっている。大問数は基本的に一問で、かなり長い長文が一つ出題され、設問数は10問前後と非常に少ない設問数になっている。設問に関してはマーク型の問題が数問あるが、和訳や内容説明、最後に簡単な英作文と非常に記述色の強い出題となっている。
ちなみに、例年の傾向としては、記号問題が2〜3問程度、本文中の英文和訳問題が2〜3問、内容要約問題(例年100文字〜150文字程度)の問題が1問、和文英訳問題が1問という出題が多い。
前提として、記号問題は正解しなければ厳しいと思ってほしい。その上で、日頃からポレポレなどの参考書を使用して英文和訳の精度を高めていこう。なお、和文英訳に関しては「英借文」と言われるように本文中の文章をそのまま利用すれば正解できるため、このあたりも把握しておくとよいだろう。
英語において辞書持ち込み可
これも英語の試験についての特徴だが、辞書が二冊まで持ち込み可となっている。一般的な英語の紙辞書であれば組み合わせは何でも可である(例:英和辞書と和英辞書の組み合わせなど)。慶應文学部以外ではなかなか聞かないため、特筆すべき特徴といえる。そのため、すごく細かい知識を全部覚えてアウトプットするという試験形式ではない。「最悪、細かい知識は辞書で調べてその都度確認してください。」という大学側の意思表示だろう。
しかし、試験時間が120分と非常に長いため、その試験時間で内容を一つ一つ精査していく必要がある。解釈が分かれる問題もあるが、一つの文章に対して深く読み解いていき、それを制限字数や指定された行数内で表現するという形の出題がされる。非常に思考力が問われるような出題形式になっているのが慶應文学部の最大の特徴である。そのため、暗記中心の勉強や「考える」ということから逃げてきた人は全く太刀打ちできないような出題になっている。
逆に、思考力がある人は、そこまで膨大な知識量を問われないといった側面があるため、記述することが得意な人や考えることが得意な人は慶應の文学部はとても入りやすいだろう。相性の良し悪しが分かれる学部であると言える。
国公立受験者、記述得意な人が有利
文学部の入試は英語と歴史、小論文(国語の派生と考えていい)が出題されるため、科目としては英国社の私立文系専願の人が問題なく受験できる。しかし、中身を見ると、英語は圧倒的に記述量が多く、そもそも思考力を問われるような設問であること。
また、後述するが小論文は他の大学では基本的には出されない上に小論文は問題文が難しい。そのため、アウトプット中心で勉強しているような国公立受験者や、マークよりも記述に自信がある人が受けやすい、有利な大学になっている。逆に、私立文系の「知識だけたくさん増やしてきました」系の人は大変受かるのが難しい学部と言える。
小論文
小論文は経済学部、総合政策・環境情報のSFC、法学部と慶應の他学部でも出題はされるが、慶應文学部の小論文の重要度はかなり高い。
なぜなら、経済学部よりも配点の比重が大きい上、問題文が長くかなり難しいからだ。また、内容も哲学的な内容の文章から、自然科学、文学、思想など非常に多岐にわたる。そのため、年によって馴染みやすい文章だったり、逆に訳わからないといった文章だったりと、難易度差は結構激しい。いずれにしろ、問題文は長く難しいため、それを要約するためには相当な国語力を求められる上、そもそも読解がちゃんとできてないと何も書けないと言った状況に陥るため、出来にはかなりの差が生まれるのではないかと予想している。
しかし、最初の設問が本文中の内容の要約の問題、その次がなんらかのテーマに則って自分の意見・意思表示を書く問題になっており、設問は非常にシンプルである。そのため、文章さえ読めて内容を整理することができれば記述するところではさほど困らないので、どれだけ難解な文章を読み解く力があるのか、そこがポイントであり、読解力があれば高得点を取ることができる。
歴史は語句記述問題が非常に多い
世界と日本史で傾向が違うため、順に見ていこう。
世界史
世界史はすべての問題が語句の記述問題になっている。そのため、ふわっと歴史の流れがわかっていても、語句を書けないと点にならないというかなりシンプルな出題になっている。
また、例年世界史受験者の中には語句の勘違いやカタカナのミスなどのケアレスミスが散見される。一問の配点もおそらく2点あると思われるため、世界史受験者は1問1問を大切に解いていくことが重要になる。
日本史
日本史は世界史よりもバラエティ豊かで、マーク型の問題や論述の問題もある。例えば論述問題の場合、日本史に関する史料を読み解きながら解くという形式で100〜200字書く問題が出題される。
しかし、割合としてはやはり語句の記述問題が多いため、語句をしっかりと一問一答で潰して、正確に書けるようにしておくことが非常に重要になる。また、語句をただ書けるようにするのではなく、その語句に対する深い洞察力等も必要になる。
世界史の中国史もそうだが、日本史選択者は漢字を正確に書けるようにしておくことが他の大学・学部に比べて重要になる。ただし難易度は英語や小論文と比べると高くない。
慶應文学部一般入試の対策
英語が最重要
慶應の一般入試では英語ができれば合格できると言っても過言ではないため、文学部でも英語は最重要である。
文学部の英語の試験において記述部分に意識が行きがちだが、マークの問題も毎年3〜4問出題され、配点もそこそこ高い。そのため、まずはマークを外さないということが必要な条件だと思っている。これは私がこれまで指導をしてきた上での感覚だが、マークを外さなければ割と形になる印象がある。
マークを外さないようにし、その上で記述で見当はずれな回答をどれだけ防ぐかが次に重要になる。細かい部分、表現上の問題等はあるが、その設問に関して結局何が問われていてどのような内容を盛り込まなければいけないのか、どういうことを答えなければいけないのかというところに意識を向けたときに、本文を正確に読解して「ああ、こういうことだね」「オチってこういうことだよね」と正しく読み解くことが重要になる。ここの部分を外してしまうと、当たり前だがまず点が入らない。要点を掴むという意識が極めて重要になる。
この「要点を掴む」という感覚を養うために問題演習ををたくさんしていく必要がある。センターレベルを安定して高得点を取れるようになったら、難しめの長文の問題集や、慶應の文学部の過去問をたくさん遡ったほうがいい。また、難関国公立大学の英語の過去問等でたくさん演習していくことがいいと思う。おすすめは一橋大学の前期試験の問題だ。
とにかく英語においては知識を入れるだけの勉強をしている系の人は本当に点が取れないため、実際に内容を読み取って自分の言葉で表現していくということと、記述の練習はたくさん積んでいこう。
歴史で高得点を取りたい
本音を言えばどの科目でも高得点とりたいが、文学部を受験する際は歴史で高得点を取りたい。なぜなら、英語や小論文に比べ、日本史世界史ともにかなり平易と言えるからだ。
人によっては9割くらい点数を取る人もおり、実際に慶早進学塾の生徒でも世界史で9割得点した人がいた(2020年入学のオンラインコースの生徒)。どちらにしろ、歴史で高得点を取ることができたらものすごく安定感が増す。
そのため、先ほど「英語が最重要」と言ったものの、文学部では歴史の方が重要なのではないかという説もあるくらい、実は歴史は重要である。また、英語と小論文は若干外しやすいというところもあるが、歴史は裏切らない。そのため、徹底的に歴史を勉強しよう。一問一答などで主要な用語を書けるようにしておくことが重要になる。
難しい文章を読み解く練習
現代文学習とセットで行って欲しいのだが、日頃から難しい文章、様々なテーマの文章を読んでいってほしい。そして内容を一つ一つ理解していき、適宜要約をするなど、地道な勉強が非常に効いてくる。
というのも、文学部の小論文は設問自体はそこまで難しくないが、上述した通りとにかく文章が長く難解である。過去に出題されたのは異邦人についての文章や能力主義の文章、そのほかには自由について意見を述べることを求めた年度もある。このようにジャンルだけで見ても非常に出題範囲は広く、どれも決して容易ではない。
そのため、背景知識を学んでおくことも重要である。例えば主要な参考書でいうと「現代文のキーワード読解」などがオススメだ。いろんなテーマについて精通しておくことが後から効いてくる印象があるため、難しい文章を日頃から読む練習をとにかくたくさん積むことが重要である。また、その中で要約をしたり、自分の意見を簡潔に表現する練習も必要になる。
また小論文学習においては添削は必須である。慶早進学塾では岐阜校、大垣校、大阪校、オンラインコースにて添削指導を実施しており、その成果によって、年々慶應義塾大学合格者が増加している。小論文の勉強で困っている受験生はぜひ一度相談してほしい。
慶應文学部一般入試の科目別対策
以下に慶應文学部の各科目の対策記事を載せている。より詳細な内容を以下から確認するようにしてほしい。
英語
日本史
世界史
小論文
自主応募推薦
一般入試、一般選抜の内容ではないが、文学部は自主応募推薦という総合型選抜の入試方式が存在する。
そちらの受験を検討している人は、ぜひあわせてご確認いただけたら幸いだ。
慶應文学部一般入試の併願校対策
私立大学ということで、併願校対策は非常に重要である。ここでどのような併願対策を考えればいいかをケース毎に解説しておこう。
国公立志望
国公立第一志望にしている人は上述の通り、慶應文学部との併願相性は非常に良い。ぜひ慶應文学部を受験すべきだ。
特に東大、京大、阪大などの難関国公立大学を考えている人は、慶應文学部以外に早稲田大学文学部、文化構想学部などを視野に入れると良いだろう。MARCH、関関同立レベルは共通テストで合格までもっていきたい。
私立文系志望
慶應文学部は各科目非常に多くの記述を必要とされるため、そもそも慶應文学部が自分にとって相性が良いかどうかは考えておくべきだろう。
その上で、受験するのであれば、やはり早稲田大学文学部、文化構想学部は受験を考えて良いだろう。また明治などMARCHの文学部も十分受験を検討すべきだ。
慶應志望
文学部にこだわるよりも、慶應にこだわるのであれば、他の学部も受験の余地がある。
英語の形式がかなり異なるが、小論文のある経済学部、法学部、総合政策学部、環境情報学部は英語の相性次第で受験を考えていいだろう。
また論文テストさえ問題なければ慶應商学部B方式も視野に入ってくるだろう。
しかしこれら全てを受験するのは連戦となってしまう(13日経済、14日商、15日文、16日法、17日総合政策、18日環境情報)ため、いくつか受験校は絞るべきだろう。
慶應文学部一般入試まとめ
今回は慶應義塾大学の文学部について徹底解説を行った。
慶應文学部を受験しようとしている受験生に役に立てたなら幸いだ。
慶應文学部を受験する受験層はかなりレベルが高い。そのためハイレベルな競争を勝ち抜ける記述力や思考力、そして何より小論文の実力を磨く必要がある。
何としても慶應文学部に合格したいという受験生は、一度慶早進学塾に連絡してほしい。必要な力を身につけ、共に合格しよう。
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