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慶應義塾大学経済学部(慶経)一般入試の世界史の傾向と対策

2021年05月24日 | 慶應義塾大学

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慶應経済を受験しようと考えている人は多いだろう。その中でもB方式で世界史を使って慶應経済の合格を勝ち取ろうと考えている人向けの記事である。

特に慶早進学塾塾長の私鴨井の出身校である慶應経済には格段の思い入れがあり、塾としても一定数の合格者を輩出している。

今回はそんな慶應義塾大学経済学部の世界史の傾向と対策について実際に受験し、合格を果たした講師の声も交えながら紹介する。

この記事を読んで、慶應経済の世界史で合格点を確実に取れるようにして欲しい。

慶應経済世界史の基本情報

まずは慶應経済の世界史の基本情報について確認していこう。

形式、配点

まずは形式と配点について確認しよう。

試験時間は80分

配点は420点満点中の150点分を占める。

毎年の合格者最低点はブレるものの、世界史を利用するB方式においては安定して6割程度の得点を取れるようにしておきたい。

募集人員は数学受験のA方式と世界史受験のB方式の比が2:1となっており、学部全体では600人程度を定員とする。例年の倍率は4〜5倍である。私立文系最難関の一つであり、やはり厳しい競争が予想される。

第一段階選抜

こちらは世界史に関する話ではないが、慶應経済では第一段階選抜、通称足切りというものが存在する。

B方式の場合、英語の長文部分がマークシート方式になっており、その90点分で一定得点を獲得しないと、英語の他の部分、世界史(日本史)、小論文が採点されないというものである。

足切りは世界史に直接該当するものではない。しかし、足切りにかかってしまうと、どれだけ世界史で高得点を確保できたとしても、採点されないということになってしまう。

よって、世界史だけではなく、英語もしっかりと学習しておく必要があるということだ。

慶應経済の英語を始め、一般選抜全体や他の科目の記事は以下から確認できるため、ぜひ参考にしてもらいたい。

慶應経済世界史の特徴

それでは具体的な慶應経済の世界史の特徴に関して確認していこう。

記述重視の問題構成

毎年数題出題される慶應経済の論述の回答欄は字数制限がなく、横幅約17cm×数行の回答欄に回答するという特徴がある。

そのため問題にはよるが、平均して60〜100字程度の字数が要求される。商学部のように短い言葉で端的に表現する窮屈さはあまり感じられないが、与えられた質問に対して自分で必要十分な量の要素をかき集め、うまくまとめあげる難しさがあると言える。

難易度としては、近年は比較的標準的な難易度のものが多い。

並べ替え問題は必出

慶應経済の世界史には毎必ず並び替え問題が出題される。

形式としてはフローチャートのように時系列で並べられた歴史上の出来事の表の中に3つほど新たに追加するならばどの部分にあたるかを問う形だ。

この並べ替えにおいては比較的細かい知識が問われる場合が多く、なかなか理詰めで正解を導き出すのは困難である。

この手の問題にはやはりある程度の年号暗記で瞬殺するという方法も有効だ。

資料問題(グラフ、文献など)が多い

要項に「基礎的理解並びに体系的理解を問う。」とあるように、経済学部ではただ単に教科書レベルの知識がアウトプットできるだけでなく、その知識をきちんと自分に落とし込んで応用できるかどうかというところまで求めている。

そして、そういった力をはかるために資料問題を多用していると考えられる。

特に経済分野と絡めた問題(Ex.2014年度の円の対ドル為替レート)では、ただ単にドル・ショックやプラザ合意などの個別の出来事の年号と名称を知っているだけでなく、それが世界経済にどのような影響をもたらしたかという部分に対する理解をしっかりと固められていないと正解には辿りつけないようにできている。

近現代史中心の出題

そもそも慶應経済の世界史の出題範囲に関して、入試要項にも「1500年以降を中心とする」と明記されている。

慶應経済の世界史では近現代史の出題がほとんどである。

独学で進めている受験生や学校の授業の進度が遅い受験生には手薄になりがちだが、複雑で体系的な理解が難しいこの時代の対策をしっかりとするようにしよう。

慶應経済世界史の対策

これらの特徴を踏まえた際の慶應経済の世界史の対策をどのように進めればいいのかを順番に確認していこう。

資料集を最大限活用した学習を

前述の通り、経済学部では資料問題が数多くただ単に世界史の単発知識を発揮できる程度では合格ラインに乗るのはなかなか難しい。

様々な切り口から出題される問題に対応するためにも、最低限資料集に記載されているグラフの概形を理解しなぜその形になるのかといったことが説明できるようになる必要がある。

まずは教科書レベルの用語を完璧にアウトプットできる状態にまで仕上げることが最低案件であるが、それが済んだ受験生はできるだけ多くの資料に目を通し文化史、地域史、白地図問題など多様な出題方法に柔軟に対応できる力を身につけていこう。

経済分野の歴史や資料・文献には重点的な学習を

やはり学部名の通り出題される分野としては貿易・為替などの経済分野の問題は毎年一定の量が出題されている。

そのため、本気で対策しようとするならば近代の日本も含む世界の経済の動向について高い水準の知識を備え付けておく必要がある。

通史などで一通り世界史の学習が済んだ受験生は世界史上重要な経済事件に関する資料などに目を通し、きちんと自分の言葉でそれぞれの出来事が説明できるようになっているか、また一つの出来事からどれだけ多くのことを芋づる式に連想することができるかを確かめて欲しい。

その部分の最後の詰めが本番で安定して得点できるかどうかに大きく関わることだろう。

先生などと論述の対策を

経済学部のような100字前後の少し長めの論述対策においては独学で進めるよりもやはり何度かは学校の先生などに添削してもらうことをお勧めする。

また、文章表現が未熟だと感じる受験生は教科書や模範回答の表現を参考にし、歴史について述べるにふさわしい、ある程度硬質な文章をかけるようにしておこう。

以上が慶應経済の世界史の具体的な対策に関してであった。

用語レベルとしてはあくまでも教科書レベルでの出題であるが、論述問題や正誤問題などバラエティ豊かな出題がなされるのが、慶應経済の世界史の特徴である。

ただ用語の暗記だけとならないように、世界史の出来事、流れを理解するような学習を重ねていこう。

実際に2020年度慶應経済世界史を受験してみた感触

ここからは2020年度慶應経済をB方式で受験し、正規合格を果たした講師が受験当時について振り返る。

大まかな所見を言うと、各予備校が解答速報で示しているように今年度は世界史は易化したと言って過言では無いだろうと思う。

過去問を解いていて感じることだが、例年の傾向として徐々に標準的な難易度の問題の割合が増え、より受験生の世界史に対する基礎的理解を問う内容に移行してきている。

やはり、問題の中には正答率が著しく低くなることが予想される問題は一定数存在する。そこで差をつけるよりも難易度の低い問題で差をつけられないことに細心の注意を払うべきだ。

受験全般に言えることだが、「確実に取れる問題はとりこぼさない。」このことを念頭において学習を進めていただきたい。

2月13日、日吉キャンパスで受験した時のことを振り返ろう。

慶應の独特のチャイムに戸惑いながらも試験本番では論述問題などそれまで書き慣れていない分野の知識が出てきた際には少々面を喰らうことはあったが、概ね過去問演習通り自分の力を出し切ることができた。

私は当時問題番号に従って順番に解いていたと思うが論述問題に関しては数問、少し後で熟考するために飛ばしてしまった記憶がある。

なんとか自分の制限時間内には自分の最大限の解答を作ることができたが、間に合うかどうか不安で肝を冷やした記憶がある。慶應経済は学部の性質上記述量が多いため時間配分をミスしてしまうと大きな損害になりかねない。普段の学習から、問題の全体像をみてタイムマネジメント能力を訓練することもぜひ意識していただきたい。

また、これは以下のこと余談なのだがもし良ければ読んでいただきたい。

今年度は序盤で徐光啓の『幾何原本』や『崇禎暦書』に関する問題が登場したのだが、私はこれに関する映像を直前に偶然視聴していた。本当に驚きである。

併願校である同志社大学を受験する際に宿泊したホテルで聞き流していたNHKの番組で取り上げられており、それがとても強く印象に残っていておかげで本番ではスムーズに解答することができたのだ。

幸運が味方して合格できたという、今思い出しても不思議な出来事だった。

日頃の行いが良かったのだろうか。

その真相は定かではないが、受験というのは運という不確定要素に大きく左右されるのだということを実感させられた。もしも、あの時テレビをつけていなければ、今こうして合格体験を綴ってはいなかったかもしれない…。笑

慶應経済対策のおすすめの参考書

Z会世界史一問一答

一見ごく普通の世界史一問一答型の参考書に見えるかもしれないが、この参考書には慶應経済の入試を突破するにあたって魅力的な機能が備わっている。それはずばり、テーマ史と白地図だ。なかなか普段の演習では歴史上重要な都市の位置を把握するためのアウトプットをする機会は少ない。

しかし、この参考書ではそうした他の受験生との差が生じそうなポイントに着目し、通史→白地図も含む地域単位の歴史という流れで構成されている。資料問題や多角的な出題が多い慶應経済対策の大きな見方となってくれることだろう。

まとめ

以上が慶應経済の世界史の特徴である。いかがだっただろうか。

慶應経済は全体を通して記述量が多く、国立大学との併願をする受験生の割合も高い。第一志望で合格を掴み取ろうと考えている受験生は東大・京大志望で滑り止めとして受験する学生もライバルであるということを頭の片隅に置き、より一層身を引き締めて日々の学習に取り組んでもらいたい。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

以下から慶應経済の他の科目の対策に関して確認できます。

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