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【徹底解説】白チャート(数研出版)のレベルや難易度と使い方

2022年06月02日 | 数学

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数学は昔からどうしても苦手で、極力勉強したくない。

でも学校でやらないといけない。

そんな人は多いのではないだろうか?

少なくとも慶早進学塾の生徒では毎年そのような生徒が多くいる。

受験という面だけを考えると、数学がどうしても苦手で出来ないのであれば、世界史や日本史など社会を受験科目として私立大学を受験すれば良いのだが、受験だけではなく、日頃の学習や定期試験で数学を勉強しないといけなかったりするのが数学嫌いの人からしたら悲しいところだ。

そこで、今回は数学が苦手な人のための参考書、白チャートをご紹介しよう。

白チャートの基本情報

  • ジャンル…数学の網羅系参考書
  • 目的…数学の基礎固め
  • 対象者…数学が苦手な理系の人
  • 使用時期…学校の定期考査対策、または数学の受験勉強の最初の1冊として
  • 問題数…800問以上
  • おすすめ度…★★★☆☆

数学のチャート式シリーズは、白、黄、青、赤と4種類あり、その中でも白チャートは最も難易度が低い参考書となっている。

数学が苦手な人、教科書や共通テストレベルの学習までで十分な人が選ぶべき教材となっている。

白チャートの特徴

白チャートの特徴について説明していこう。

教科書レベルの問題が中心

まず1点目、この本は教科書レベルの基礎的な問題がメインの参考書である。

チャート式シリーズは四冊あり、白・黄・青・赤という順に難しくなっていくのだが、その中で白は一番簡単なところに位置し、問題の難易度も教科書に載っているレベルの問題が大半を占めている。

ただ、一応難しいものとして教科書の章末問題レベルや数学の共通テストからの出典もあるにはある。

この白チャートをしっかりやりこむと、最終的に共通テストでしっかりと得点がとれるというくらいのレベルまでは持っていけるというような位置づけだ。

要点解説が詳しい

2点目の特徴として、要点解説が詳しいという事がある。

本書はチャート式シリーズ四冊の中でも一番基礎レベルに当たり、1問1問の基礎理解にフォーカスを当てている参考書だ。

これが黄チャート以降になると、問題をたくさん解くことでざっくりと解き方を学び、その後は類題にて更なる攻略法を身に着けるというような学習法がメインになってくるが、この白チャートではもっと基礎を突っ込んだ内容まで学ぶことが出来る。

まず各単元の要点や公式について最初に何ページも使ってしっかりと説明する構成になっているので、「この公式はどのように導き出されるのか」という細かい部分や定理について数学的理解を深めたい人にはとても良い。

この辺の公式や要点というのは、ある程度丸覚えでも基礎問題レベルなら難なく解けるようにはなるが、応用以上の問題を解く際にはきちんと本質的な部分を理解していないと解けないような問題も出てくる。

よって、この白チャートでしっかりとその大切な基本部分を押さえておいて欲しいところだ。

解き方を一つ一つ解説

3点目の特徴は、解き方を1つ1つ詳しく解説されているという点だ。

要点箇所の説明ももちろん非常に詳しいのだが、それだけではなく1問1問の問題についても非常に詳しい解説が載せてある。

まず「この問題はこういう風に解き始めたら良い」という最初の方針部分の説明、そして答え・解説と続いた後にも「プラスα」という箇所で補足があり、更に加えて説明した方がよい部分については「コラム」「チャートナビ」「数学の扉」という章に別枠でもっと詳しい内容が示してある。

このように、この一冊をしっかりやり込むことでプラスα部分の知識も含めて、膨大に習得することができる作りになっている。

問題の構成ページについてもう少し詳しくお伝えすると、まず各ページに「基礎学習」という名の例題と回答があって、その下に類題がある。

この構成の1ページごとの問題群に加え、各単元の章末には「発展学習」ページがあり、その箇所で少し応用的な内容の学習ができる。

そして最後の部分に付録として「実践編」という箇所があり、これが大学入試共通テスト模擬のような形式になっている。

このように、教科書レベルの基礎問の学習から入っていき、最終的には共通テストレベルまで学ぶことの出来るような構成になっている。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

白チャートは他のチャート式シリーズよりも途中計算が丁寧だったり、躓きやすい部分の注釈が多い印象ですね。この点は勉強しやすいでしょう。

中身

実際に「白チャート」の中身についてご紹介しよう。

3色刷りになっていて、カラーも2色使ってある。またチャート式シリーズは全種類がそうだが、1ページでの問題構成が全て同様の形式になっていて、このレイアウト構成が特徴の一つでもある。

下図にてその見やすさがお分かりいただけるであろう。

http://kyouzai4u.blog.fc2.com/blog-entry-94.html

どのチャートを選ぶか

先ほども申し上げた通り、チャート式には白、黄、青、赤と4種類ある。

自分が白チャートを選ぶべきなのか、他のチャートを選ぶべきなのかで悩まれる人は非常に多いのではないだろうか?

そのような場合は以下の記事を参考にしてほしい。

自分のレベルに合った適切なチャートを選べることだろう。

白チャートの使い方

次に「チャート式 白」の使い方について説明していこう。

要点を理解する

まずは、要点部分を理解しよう。

この白チャートは最初にも話したが、最初の「要点」の箇所や定理・公式の理解部分に何ページも費やしてその部分に重点がある。

よって、まずは何よりも先にそこをしっかりと読み込んでいくという使い方が良いと思う。

逆にここを飛ばして使うのであれば、白チャートを選んだことの利点がほとんどなくなってしまうので、白チャートを使うからには是非ここにきちんと向き合い、重要な要点をしっかりと理解した上で整理しつつインプットしておこう。

例題を自力で解く

次に要点をインプットしたら、例題を自分で解いてみよう。

この白チャートレベルの問題だと、最初にきちんとインプットさえしておけばある程度自力で解ける内容だと思う。やり方としては、まずは例題を自力で考えてみる。

そしてちょっと難しいと感じた場合は、そのすぐ下に「チャート&ガイド」という箇所があってここに解き方の方針が示してあるので、その部分を見ても良いだろう。

このように少しずつヒントを加えながら、再度自力で解く。時間の目安としては、最低5分は考えるようにしてもらいたいところだ。

万が一ここですぐに答えを見てしまうような習慣がついてしまうと、数学で必要なアウトプット力というのが一切鍛えられないまま丸覚えをする形になってしまう。

この丸覚え方式だと、定期テストでは点がとれたとしても模試や入試になると全く歯が立たないという事態を招くので、これだけは絶対に絶対に辞めて欲しい。

どんな時も、まずは必ず自力で解くことを目標として心がけることが大切だ。それによってしか数学で必要不可欠なアウトプット力は磨かれない。

解説で解き方を学習

問題が解き終わったら、解説で解き方を学習しよう。

白だけではなくチャート式シリーズ全般の特徴として言える事だが、この参考書は1問1問の問題についてきちんと解き方を示してくれていて、解法の要点や解答プロセスについての解説が非常に詳しく載せてある。

せっかくなのでこの利点を生かし、問題を自力で解いた後の答え合わせでは答えが合っているかどうかだけではなく、答えに至るまでのプロセス部分もきちんと検証するつもりでチェックをしてもらいたい。

数学はプロセスの組み立てが非常に重要な科目だ。初見で問題について自力でプロセスを組み立て、いかにして答えを導くか。

これが、解けるか解けないかの分岐点になってくるので、このプロセスを洗練させる必要がある。具体的には、途中の計算・そして方針建てがきちんとあっているのかどうかをひとつひとつ付け合わせて確認し、違っていたらそこでその都度修正していこう。

この作業を通して、自分の知っているプロセスを正しいものに修正していくというのが日々の学習でするべきことだ。是非しっかりと意識して取り組んで欲しい。

反復演習

最後に、反復演習を行おう。1度解いた問題の中でも、初見でプロセスも間違わず答えも正しく導き出せた問題は、おそらく今後同じ問題に挑戦してもすぐに解けると思う。

一方、問題は答えが合っていてもプロセスが違っていた問題や、初見ですぐに解けなかった問題で、これらに関してはあらかじめ印をつけておいてその後何度も繰り返し解きなおすように心がけて欲しい

1度目は、答えを見てから再度自力で解く。

そしてその日の勉強する範囲が終わった段階で、これらについてもう1度最初から解きなおす。この様に最低でも同じ日のうちに2回は手を使って解いて欲しい。

後日以降については、また手を使って再度解くとなると非常に時間と労力がかかるのでそこまではしなくてよい。

ただ、問題を見て頭の中で解き方やポイントを想起するという形で反復はすること。問題を見たときにすぐに解法が思いつくというレベルまで知識の定着ができていると、模試や入試問題といった初見問題を解くのにかかる時間が格段に短くなるだろう。

必ず反復演習は行って欲しい。

ところでこのチャート式シリーズは掲載されている問題数が非常に多いので、そもそも全問題をやりきるのは少々難しいだろう。

良い方法は、やる問題を最初から絞っておいて一度チャレンジした問題については何度も反復するというような、メリハリの効いた学習方法だ。

あらかじめ最初にやるべき問題を絞っておく作業も必要かもしれない。

白チャートの注意点

次に「チャート式 白」を使う上での注意点について説明しよう。

独学にあまり向いていない

数学はその科目の特徴上、公式や基本問題レベルの学習の導入にあまり向かない科目である。

その公式の言い合い、使い所を理解することが最も重要なのだが、その考え方の部分は先に教わった方が断然理解しやすいからである。

もちろん白チャートも紙面の許す限り、最初の導入部分を解説されているものの、果たして本当に数学が0からの人や苦手な人がこの解説を読んで理解できるかと言われたら正直怪しいところである。

むしろ使い方としては、誰か先生や教えてくれる人にいてもらい、その人に補佐してもらいながら、一問一問順番に進めていくというのが非常に良い使い方だろう。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

数学は最初を乗り越えたら独学しやすい科目なんですが、最初は確実に教わった方がいいですね。もしくは映像授業もありです。

入試対策としては物足りない難易度

一番の注意点は、このチャート白は入試対策の参考書としては物足りない難易度というところだ。

チャート式シリーズは非常に有名で良い参考書シリーズではあるが、この白の立ち位置については微妙なところである。というのは、本書が日々の教科書の学習を補佐するような内容になっていて、この一冊を完成させたところで、共通テストレベルまでにしか学習のレベルが到達しないという事実がある。

文系の学生であれば共通テストレベルまで数学力を上げればそれでよいだろうが、そもそも文系学生だったらここまで数学の基礎理解を行わずとも受験勉強としては十分なので、もう少しコスパのよい参考書で学習をすればよい。

一方理系学生にとってはこの一冊で数学の受験勉強が終わりという形には絶対にならず更に次のステップの本に進んでいく必要がある。

そうなった時に問題数が800問以上もある本書はかなり重たい存在になるのではないだろうか。基礎固めのところでそんなに問題数が多いものを使ってしまうと、その後の勉強時間が少なくなってしまいとても効率的とは言えないだろう。

この様な特徴から白チャートは、かなり時間のある人でなおかつ基礎理解が抜けていて数学が苦手、というような人にしかうまくフィットしない参考書という面があり、そういう意味で微妙な立ち位置の参考書と言えるだろう。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

これは白チャートの特徴考えたら当然かなと思います。入試レベルを考える人はそもそも白を選ぶ理由がないので、あまり問題ないかな?と思います。

白チャートの類書との比較

最期に類書との比較をしておこう。

文英堂 理解しやすい数学

まず1冊目は文英堂の出している「理解しやすい数学」だ。

数学の網羅系参考書は何冊かあって、ほとんどの参考書はその一冊さえあれば基礎の理解から東大・京大レベルの非常に難易度の高い大学レベルの学習まで対応できるというような内容のものが多い。

その中でもこの理解しやすい数学は比較的基礎理解に重点を置いて作られている参考書になっていて、そういう意味で今回紹介した白チャートと位置づけが近い。

白チャートに比べると、理解しやすい数学の方が応用レベルの難しい問題が少々多く収められているので、こちらの方が基礎から二次対策の標準レベルまでをより幅広く対応できるだろう。

白チャートよりももう少し裾野が広いイメージだ。ちなみにこちらの参考書についてもカラーがたくさん使ってある印刷構成で、数学が苦手な人にも非常に見やすいものになっている。

旺文社 入門問題精講

類書の2冊目は旺文社の出している入門問題精講を上げよう。

この問題集は今紹介した網羅系参考書とは全く違うジャンルの参考書になり、徐々に難易度を上げて使っていくタイプの参考書だ。問題1問1問についての解説が非常に詳しく人気のある参考書シリーズである。

このシリーズには入門・基礎・標準・上級という風に4段階の難易度があって、そのうちの入門が1番簡単なものであり今回紹介した白チャートと同レベル辺りに位置すると考えられる。

ただ、レベルごとに分かれている上に、数1Aで1冊、ⅡBで1冊、数Ⅲで1冊という形で冊子分けまでもがされているので、一冊ごとの問題数が非常に多くなる。

入門問題精講はレベル的には白チャートの簡単な問題だけを集めたような内容なので、多すぎる問題数の割にはレベルが低すぎるという弱点がある。

よってこの問題精講シリーズで学習を薦めたいという場合は、まずは2つ目の難易度である基礎問題精講から入ろう。

それでどうしても理解ができないような場合のみ、いったん入門問題精講に繰り下げて、自身がわからない箇所のみを勉強するという使い方が良いだろう。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

基礎問題精講は慶早進学塾でも使っている良書です。一方で入門問題精講は正直微妙ですね。分野ないところありますし、最初の解説が堅苦しくて数学苦手な人がスムーズにこれを読めるか?と思ってしまいます。

数件出版 黄チャート

3冊目として同じチャート式シリーズの黄チャートを上げたい。

前述したようにチャート式シリーズは難易度別に白から赤まで4つに分かれている。

それぞれの特徴は「特徴」パート内のリンクで示した記事を参考に見てもらうとして、今回はその一番近い黄チャートと白チャートの難易度比較について重点的に説明をする。

まず、数学の入試対策で基礎から応用までをしっかりと固めたいという人にとっては黄チャートの方が良いだろう。

黄チャートは「基礎問」という箇所でしっかり基礎部分に重点を置きつつ、更に入試の2次の基礎から標準レベルまでのような難しい問題にも対応できる一冊になっているのだ。

この黄チャートでしっかりと学習をすれば、難関大にも対応できるような数学力まで持っていけるだろう。よってどちらかというと入試対策で使うという人には黄チャートの方が圧倒的にお薦めだ。

受験対策で必要な知識としては黄チャートの方が実践的な内容が載っている。一方、もっと日頃の学習のフォローとして使う目的や、基礎の学習を徹底したいという場合には白チャートの方が良いかもしれない。

構成に関しては、黄チャートも白チャートもチャート式シリーズは全てそうなのだが、レイアウトがほぼ同じになっている。

よってレイアウトに寄らず、内容の難易度でどの参考書を選ぶのかを決めることが出来る。ただしチャート式の中で何故か黄チャートのみが3色刷りで無く2色刷りになっているのでやや見づらく、ここだけが欠点。

ちなみに青チャートになるとまた3色刷り構成で、何故か今の段階では黄チャートだけが2色刷りのままだ。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

黄チャートは非常に万人受けしますね。基礎問ほどではないですが、こちらもおすすめです。

白チャートのまとめ

最後白チャートについてまとめよう。

今回紹介した白チャートについては、チャート式シリーズの中でも一番簡単な参考書に当たる。入試対策として使う1冊というより日頃の学習のフォローや定期考査対策として使うような参考書になので、その位置づけだけは忘れないで欲しい。

そして入試対策としてこれを使うとなると、簡単な割にはボリューム感がありすぎるので、その辺りに十分注意した上でこれを選んでもらいたい。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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