2020年度、センター試験から達成度テストへ!

 

「達成度テスト」だ!   2020年度以降の受験生は、この大きな変革にうまく対応する必要がある。 試験の形式自体も従来のセンター試験と同一ではないし、問われる能力も変わる。 将来受けることになる「達成度テスト」について、一刻も早く詳細を知っておこうではないか。

「達成度テスト」実現のきっかけ

  ことの始まりは、文部科学省の諮問機関である中央教育審議会(中教審)が平成26年12月22日に出した答申であった。   〜新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について(答申)(中教審第177号):文部科学省」〜   この答申の中で語られているのは、高大接続の考え方である。ここでは高校教育と大学の教育をつなぐ役割である、大学入試をどのように実施していくのか、その方針が語られている。 学校教育のあり方とはつまり、国、文科省が今後どの様な子供を育てていきたいのかという指針でもある。   いくつかの方針があり ・全ての高校生に最低限の基礎知識を身につけさせる。 ・「思考力・判断力・表現力」といった能力の育成により、これまで重要視され続けてきた、知識、技能とは違う能力の育成。 ・英語については、従来の「読み聞く」+新しく「書く話す」を追加し、国際社会で活躍できる人材を育てる。   といった大きく3つの方針にもとに、これを実行するために以下の4点が決められた。

1. 大学入試センター試験に変わる試験の導入 2. 大学に進学しない生徒向けに別の試験を用意 3. 上記2つの新テスト実施に伴い、高等学校の指導要領も変更する 4. 大学も達成度テストの導入後、入学者受け入れ条件を変更する

つまりは、高大接続をより円滑に進めるためには、入試制度を変えるだけではなく、高等学校の教育と、大学の教育そのものを変える必要があるということである。   大学入試センター試験に変わって導入される試験とは 2020年度からセンター試験は徐々に改定され、2024年度には完全に変更されることが概ね決定している。 新しく導入されるテストは、「大学入学希望者学力評価テスト」があり、このテストがセンター試験の代わりに実施される大学入学者向けテストと言ってもよい。 現在もまだ、議論が行われており、まだ完全に情報が確定した訳ではないが、センター試験との変更点として次の点がある。


・解答方法に記述が追加される ・従来のセンター試験では、「知識・技能」中心だったが、達成度テストから、 「知識・技能」+「思考力・判断力・表現力」などPISA型試験的な、生きるための知識と技能を図るものも追加される。 ・英語は「読み聞き」に「書く話す」も追加される。民間の試験や検定の活用も検討される。 ・各科目の試験から、複合型の問題も追加される。


これらの変更が2020年度から順次実施されることになる。

大学受験をしない生徒も無関係ではない!

  また、大学進学を希望しない生徒はテストを受けなくてもよいかというと、それは違う。 この「大学入学希望者学力評価テスト」とは別に、「高校基礎学力テスト」というテストも用意されているのだ。 このテストは、中教審の答申に語られていた、教育方針の「全ての高校生に最低限の基礎知識を身につけさせること」を遂行するためのものであり、大学入学希望者学力評価テストが発展的な内容だとしたら、このテストは基礎学力を図る目的で実施される。   文部科学省の達成度テスト(基礎レベル)案では、この試験の目的を次のように定めている。 「高校教育の質の確保・向上に向け、生徒が自ら高校教育における基礎的な学習の達成度の把握及び自らの学力を証明することができるようにし、それらを通じて生徒の学習意欲の喚起、学習の改善を図ることを目的とする高校教育の達成度テスト」と定義した。 また、目的・実施方法は以下である、


・試験の結果を高等学校の指導に活かすこと、またAO・推薦入試・就職等に基礎学力証明の一つとして用いること。 ・高校生の個人単位での受験、学校単位での受験を可能とする。また、できるだけ多くの生徒が参加できるように、在学中一回は受験が可能となるよう、学校単位での受験実施を支援する。 ・マークシートを原則としつつ、一部記述を実施する。またCBTと呼ばれるコンピュータを用いた試験実施も検討する。 ・高校2年〜3年生を対象とする。また、各学年で2〜3回程度実施する。 ・試験科目は国語や数学、英語など必須科目から選択式である。 ・2019年度から段階的に実施を予定している。


つまり、達成度テストとは高等教育の基礎学力を確かめる「高校基礎学力テスト」と、大学受験を希望する生徒が受ける「大学入学希望者学力評価テスト」の2つのことを指している。 この達成度テストの実施に際し、高校、大学側では学校指導要領が変更されることになる。 共通して言えることに、生徒が受け身ではなく主体的に学んでいく方針を目指すことがある。 その案には ・社会生活を営むための力を取り入れさせる ・「思考力・判断力・表現力」を図ることができる新たな教科の導入 ・自ら議題を発見させ、それを解決する能力を身につけさせる学習と指導方法を充足させる といったものが挙げられる。   また大学側ではアドミッションポリシー、入学希望者の受け入れ方針の見直しが検討されている。 これまでは、大学入試センター試験を受けたその結果と、その大学で用意されたテストを受ける必要があった。 いずれも学力を問う試験ではあったが、達成度テスト導入後は、面接やグループディスカッションなど、人物を評価する試験が導入されることも考えられる。 また高校在学中に実施される「高校基礎学力テスト」において、基礎学力を判断し、大学進学希望者に実施される 「大学入学希望者学力評価テスト」において基礎を発展させた学力・思考力を評価できるため、推薦入試・AO入試といった区分が廃止されることも考えられるのだ。

達成度テストのメリット・デメリット

ここまで、達成度テストの概要について紹介してきた。 次に、達成度テストのメリット・デメリットについて考える。

達成度テストが導入されるメリットとは

大学入試センター試験では、3年間の勉強の成果がたった2日に集約されそこで、全てが決まってしまうというある種残酷とも言える側面があった。 達成度テスト導入後は、高校在学中に複数回、基礎学力を図るテストに挑戦でき、 大学希望者テストと合わせて評価されるため、その生徒のベストが発揮できるというメリットが考えられる。   また、高校基礎学力テストにおいては、大学入試のみならず、就職にも活用することが可能なため、大学進学を希望しない生徒の学力向上も必然的に約束されていると言える。 あらためて、これまでの学力試験の汚点とも言える知識詰め込み型の教育が、今回の達成度テスト導入により見直され、子ども達の将来の仕事、人生に活かせる「判断力」を育成するものになり、「生きる力」を育成するという教育の使命を達成することができるということも言えるといっても過言ではない。

一方、達成度テストが導入されるデメリットとしては

まず高校基礎学力テストの複数回実施という点でコストの面が挙げられる。 もちろん試験実施ごとに払う受験料もそうだが、場所の確保やテストを実施する側の人の確保など、大規模に複数回実施するというだけで大変なコストがかかることが予想できる。 また、テストはマーク式+記述式ということで、記述式において採点者ごとに採点にばらつきが出ることも有り得る。 そして、年に複数回実施するということは、毎回その都度、別の問題を用意する必要があるということだ。 別の問題ということは、そのテストごとに難易度も変化すると考えることができる。 そして、採点において段階を用いるためわずか1点が足りないために、評価が一つ下がってしまうといったことも有るかもしれない。   ただメリットの割にデメリットが多い様に見えるが、案外それだけではない。 近年の少子化により、偏差値が低い大学は入学者を集めることが困難になり、運営が危ぶまれている状況にある。 そのため、AO入試などで、ほぼ学力テストを実施せず生徒を獲得している実情があることも無視できない。 この対策として、文部省は高校基礎学力テストを使った、アドミッションポリシーを大学側に取らせるように方針を変えることが想定できる。 つまりはこの生徒を集めるためだけのAO入試といった制度をやめさせ、全く勉強をせずに大学に進学する生徒が減ることも考えられるのだ。 「高校基礎学力テスト」の導入により、全ての高校生が最低限覚えておいて欲しい基礎学力を獲得することができれば、それだけで日本の教育レベルの底上げが達成できるともいえる。   とはいえ、厳格に達成度テストを実施し、教育の最低ラインに生徒たちの学力を強制していくことには、少し疑問と不安がある。 今後実施される達成度テストのテーマとして「思考力・判断力・表現力」を鍛えることがある。 しかし、こうした画一的な基礎を縛る教育では、文部省が目指す「思考力・判断力・表現力」を持つ生徒を育てることができる反面、その生徒個人の自主性、個性は失われてしまうのではないだろうか。 少し偏った考え方かもしれないが、国に都合のいい生徒が育つことで、なんとも頭でっかちな国になるのではという危惧が筆者にはある。 学校教育は、確かに生徒の学力を上げること、そのために教育を施すことが使命ではあるが、しかし、それはまだ教育の中では一つの要素に過ぎない。 学校の役割の中には、集団生活を通して生徒個人の自主性を育てることや、生涯学習のきっかけづくりとして、勉強の習慣を身につけさせることがある。 つまりは生徒個人が自ら考え、学び続けるという「生きる力」を獲得するために、学校教育があるのだ。   今回の達成度テストの中教審答申では、この「生きる力」が少し軽薄になっていると筆者は感じた。   言うなれば、昨今の国際情勢の変化スピードの速さに、我が国が遅れているという負の側面を大げさに語ることで教育の管理がしやすいよう、調整するために達成度テストが導入されたのでは‥というのは考えすぎだろうか。 いずれにしても、入試センター試験が廃止され、達成度テストが導入されることは確定している。

今後に備えて私達ができることに何があるのか?

今回の達成度テストの初回実施年度は、2019年度「高校基礎学力テスト」、2020年度「大学入学希望者学力評価テストだ。 つまり、現在の中学3年生がこのテストを体験する最初の生徒になる。 また裏を返せば、現在の高校1年生が大学入試センター試験を受ける最後の年代だということになる。   達成度テスト実施初期の頃は、センター試験で用入られているマーク式を主軸に、筆記の試験が追加されると言われている。 センター試験が廃止され達成度テストに変わるが、まだセンターの面影を残した試験になると考えることもできるのだ。 しかし現在判明している達成度テストの情報で、英語単体をみても、「書く・話す」が追加されるといわれており、 単純に難易度や試験の採点基準が変化することが予想されている。 つまりは達成度テストの実施初年度から、大学入試そのものが大きく変化するということが避けられない状況だといえるのだ。   そのため、新テスト実施に備え学校教育も変化することになる。 一部の高等学校では、大学と同じく単位制を導入している学校もあり、生徒が自ら必要な教科を選び教育を受けさせる仕組みを作り、制度的に自主性を育む機会を与えている。 そして、現状わかっている範囲で言える情報ではあるが、英語教育においては、より実践的な教育を施す必要がある。 その他教科においても、複合的な内容が出題されると発表があるため、理系、文系といったこれまでの進学路線の線引きが曖昧になると考えるのが自然だ。 つまりは生徒個人の得意に偏った進路ではなく、平均的にこなせる生徒がより達成度テストでは良い点を収めることができると考えることもできる。 文系でありながらも、必要十分な理系知識を、理系はその逆で、必要十分な文系知識を取り入れる必要があるのだ。   「高校基礎学力テスト」で求められる基礎的な知識がどの程度のものか判然としないが、いずれにしても、文系・理系という縛りで考えることなく、基礎知識を身につけさせる教育が、必要となってくるのではないだろうか。 現在の高校1年は大学入試センター試験を受ける最後の年代となる訳だが、彼らは実質浪人が不可能な状況に置かれている。 教育そのものが、従来の大学入試センターを見据えた受験対策になる訳だから、もし浪人をしてしまったら、翌年受けるのは全く対策していない、達成度テストになってしまう(断言はできないが救済措置のようなものも有るかと考えられる)。 全く対策がないというのは、少し極端な言い方だが、現在の中学3年生より下の年代では、達成度テストに向けた教育を実施していくことになるため、やはり分が悪いと言える。 つまり、現在高校1年生の生徒は、大学入試センター試験で良い点を収めることができるように勉学に励むこと。 現在中学3年生より下の年代は、達成度テストに向け、教科の好き嫌いなく平均的に勉強することが懸命だ。  いずれにしても、評価の方法が変わるだけで、勉強を続けることに絶対的な意味がある。 世の受験を控えた生徒諸君は、日々コツコツと勉強を積み、柔軟な思考力と生きる力を養っていこう。

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