5ステップで入試問題へ!『標準問題精講(数学)』
2019年04月28日 | 参考書・問題集徹底解析
参考書選びには、だれもが迷うものだ。
ことごとく簡単な問題集もあれば、難問揃いの問題集もある。
多くの人は、「簡単な問題から難しい問題までバランスよく揃っている問題集はないのかなぁ」と悩むことになる。
教科書レベルの問題集ばかりやっていても実力がつかないだろうし、難しすぎると全然解けず、やる気が落ちてしまう。
解ける範囲の問題から始めて、少しずつステップアップできる参考書はないものか。
そうしたニーズに応えるのが、「標問」こと「標準問題精講 数学」である。
今回は、標問の概要とそのメリットなどを紹介しようと思う。
標問に取り組めば、簡単な問題からハイレベルなものまでバランスよくカバーできるため、実力アップに大きく貢献するはずだ。
標問の概要
最初に、標問の主な特徴である概要や構成、問題集を使うべき対象の人について述べていく。
まずは、標問がどういう問題集なのか理解しておこう。
精講シリーズと標問について
標問は、旺文社のいわゆる「精講シリーズ」の一つだ。
数学以外には、英語や理科にも精講シリーズは存在する。
中にはかなり昔から続いているものもあり、有名なシリーズだ。
数学では、基礎問題精講、標準問題精講、それに上級問題精講がある。
名前の通り難易度が異なり、ここで紹介するのは中間の難易度の標準問題精講だ。
数学1A、2B、3が存在し、価格は順に1,296円、1555円、1620円。
他の参考書と比較するとやや高く感じるかもしれないが、内容の豊富さを考えると我慢できるレベルだ。
標問の構成
標問は、まず「標問」という名前の例題がある。
その次に「精講」というパートがある。これは標問の大きな特徴だ。
どういう風に考えればこの問題は解けるのか、なぜこの解法で解けるのかという仕組みを解説している。
解説の前に、解き方の方針を示しているのだ。
そのあとに、通常の問題集同様の解説が展開されている。
解説が一通り終わった後、標問と似た内容の演習問題が標問1つにつき2題程度用意されている、という構成だ。
チャート式を思い出した受験生がいるかもしれない。
大まかなイメージはそれで正しい。演習問題が平均して2題あるという程度の違いだ。
何を目的とした参考書か
構成を紹介されただけでは、どういう参考書なのかわかりにくいだろう。
そこで、標問が何のための参考書か理解しておく必要がある。
標問は、なぜこの解法で解けるのか、またどういう問題に応用できるのかといういわば「方針立て」をする力を育てるのが目的だ。
「精講」の部分には、各問題に応じて解答の指針が示されている。
こういう風に計算すれば答えがでるよ、ということではない。
なぜこの解法で解けるのか。またそれは他のどういう問題に応用できるのか。
そうした方法論的な部分に焦点を当てているのが標問の強みだ。
実際、旺文社の商品紹介ページにはこのように記されている。
難関校突破のための演習書です。受験指導の第一線で活躍する著者が、合否の分かれ目となる101題を「標問」として選びました。
頻出の代表的な良問を「わかって解けるようになる」ために「標問→精講→解法のプロセス→研究」と多段階に考え方や解き方のコツを詳しく解説しました。問題のどこに着目をし、どう考えるか、その上でどんな解法が組み立てられるかなど問題を通して学びとれます。
さらに、類題の演習でその「標問」の解答力が確実になります。
ここからもわかるように、問題の考え方・解き方を徹底的に追求しているのだ。
難しい問題でも、いま持っている知識の組み合わせで問題を解決できる。
だが、その「どう組み合わせるか」が難しい。
標問は、そこを鍛えられるよう設計されている。
対象とする受験生
上の商品紹介文中にもあるように、「難関校突破」を目指している受験生が主な対象だ。
しかし、初めから高い学力は要求されていない。
目安としては、教科書の章末問題レベルがスムーズに解けるようになってきたら着手するのが良いだろう。
標問に取り組むことをお勧めするのは、
- 教科書や定期試験では安定して高得点を取れるようになった人
- 入試本番に向けてトレーニングしたいが、本番レベルの実力にはまだまだ届かない人
- 模試の対策をしたい人
などである。
共通しているのは、ある程度の内容は十分理解しているが、難問になると通用しない、という点だ。
標問は、そのレベルの受験生に向いている。
標問のメリット
標問は、昔から長く続いているシリーズだ。
長きにわたって愛されているのは、それなりの理由がある。
ここでは、標問のメリットを見ていこう。
問題の難易度のバランスが良い
先ほども少し述べたが、標問に載っている問題は難しさのバランスがちょうど良い。
最初の方の問題はどれも平易だが、後の方になるにつれ結構難しくなってゆく。
簡単な問題ばかりだと、正解率は高くなるだろうがなかなか発展的な内容に踏み込めず、苛立ちを覚えてしまうことだろう。
逆に難しいものばかりだと、全然正解することができず、これも逆に苛立ちや焦りに直結する。
少し苦労すれば正解できるという着実なステップアップの方がモチベーションを保ちやすい。
積み上げ式の科目である数学では特に重要だ。
標問は、これ一冊で階段を上っていけるよう設計されているので安心だ。
とても役立つ「精講」コーナー
標問の最大の長所は、この「精講」コーナーに集約されているといっても過言ではない。
例題のすぐあとに、考え方のヒントとして「精講」という項目が設けられている。
問題をどのように解けばよいのかを大まかに示してくれているのだ。
見た目は地味だが、実はとても価値がある。
ノーヒントでは解けない問題があったとしても、精講を見れば解法が思いつくことがたびたびある。
いきなり解説を見てしまうと、もう自分が考える余地はなくなってしまう。
しかし、「精講」のように方針だけ示してくれれば、再び自分で考える余地がある。これが大きいのだ。
いきなり解説には入らず、あなたに考える余地を与えている点で、精講がついているのは大きなメリットだ。
丁寧な問題チョイス
標問のさらなる長所は、収録している問題のチョイスだ。。
問題数は、具体的には次のようになっている(ただし、おおよその数)。
- 数学1A : 例題100問、演習200問
- 数学2B : 例題150問、演習300問
- 数学3 : 例題100問、演習200問
チャート式等を始めとする問題集と比較すると、やや問題数が少なくなっている。
すると、この1冊で本当に大丈夫なのかな、と心配に思うこともあるだろう。
しかし、標問を扱う際にその心配はいらない。
本書の問題は、少ない数でも最大限成果があがるよう厳選されているのだ。
1問1問、受験数学のエッセンスが詰まっている。
この1冊を集中してやり遂げれば、いわゆる頻出問題の類は概ねカバーできている。
更に言えば、中堅大学の入試レベルまでは対応できるようになるはずだ。
そのような安心感も、標問の魅力と言えよう。
逆に、あまりに問題数が多いと一通り解き切るのも一苦労なので、やる気の低下を招く可能性もある。
したがって、人によっては案外このくらいがちょうど良い。
標問のデメリット
昔から存在する標問だが、いくつかデメリットもある。
その多くは、標問の長所と表裏一体になっている。
迂闊に使用して痛い目に遭わないためにも、以下に挙げる短所は理解しておいてほしい。
序盤は結構低難度、終盤は結構高難度
「標準問題精講」という名前を見ると、文字どおり「標準レベル」なんだろう、と思うはずだ。
実際、教科書の章末問題レベルの問題が多くを占めている。
しかし、最初の方の問題はかなり簡単になっている。
ハイレベルな演習問題を望んでいる人にとって、各章の序盤は退屈なものとなるだろう。
逆に、終盤の問題はかなり難しい。
平易な問題を求めて標問に取り組むと、最後の方は全然解けないだろう。
色々な難易度の問題を取り揃えているのが長所だと上で述べたが、これは短所にもなるのだ。
つまり、どんなレベルの受験生であっても必ず、やる価値の低い問題が含まれてしまう。
バランスの良さは、逆に「どっちつかず」という欠点を生んでしまっている。
解説が簡潔
幾度か述べてきたように、標問は問題の解決方法に重点を置いている参考書だ。
そのため、細かい計算や式変形にはあまり焦点が当たっていない。
解説を読んで見ると、どういう過程で問題を解けば良いのかはわかりやすいのだが、具体的な計算は結構短くまとまっている。
もちろん紙幅の都合もあるのだろうが、解説が少し粗くなっているのは事実だ。
「細かい計算は不要!概要がわかれば良し!」という受験生にとっては無問題だろうが、丁寧な解説を望んでいる人からすると物足りない気持ちになることは否めない。
実力が不十分な受験生が標問の解説を読むと、計算を追っていくのに苦労することになる。
これも、標問の長所と表裏一体のデメリットと言えよう。
ガンガン解くのには向かない
受験勉強では、「質」が一番大事ではあるが、「量」を追求する人も多い。
良い問題を解いていても、問題数が少ないと身につかないというのは一理ある。
標問は、良問を集めているという点は評価できるのだが、問題数は他の参考書に劣ってしまう。
夏休みなどの長期休暇にガンガン問題演習をしたいと考えているような受験生には、不向きなボリュームとなっている。
少ない問題数で、必要事項を効率良くさらっていくことができるのが標問の長所だが、裏を返せば徹底的に手を動かして練習するための教材としては不適切といえる。
標問を用いた勉強法
以上のような長所・短所を踏まえた上で、標問を使った数学の勉強法を考えていこう。
最大の長所は「精講」にあるのだから、これをどう使うかがキーだ。
ここで述べた勉強法を用いて上手に標問を使いこなしていこう。
ステップ1 例題を解いて見る
まずは、ノーヒントで例題を解いてみよう。
専用のノートを用意し、計算式だけでなく日本語もちゃんと書くなど、試験答案同様丁寧に書くことに気をつけると良い。
すぐ下に精講や解説があるので、それを隠して例題を考えてみるのだ。
解ければそのまま演習問題(ステップ4)に進んで良し。解けなかった場合は、次のステップ2に移ろう。
ステップ2 精講を読んでみよう
いよいよ「精講」の出番だ。例題をノーヒントで解けなければ、下にある精講を読んでみよう。
ここにいは、解答の指針が示されているのであった。
これを読んで、例題をもう一度考えてみるのだ。
精講はよく作り込まれているので、ノーヒントでは解けなくてもこれを読めば解けるケースが多い。
精講を読んで解くというのも立派な勉強法だ。
解いた後によく解法を復習し、次同じような問題に出会った時に自力で解ければ良い。
それでも解けなければ、ステップ3へ。
ステップ3 解説を読もう
どうしても例題を解くことができなければ、解説を読んでみよう。
精講で掲げられている方針と照らし合わせて、問題の解き方を大局的に理解するのだ。
細かい式変形にこだわるのは得策ではない。
細かいところに固執するほど、全体の流れは見えにくくなるので注意しよう。
重要なのは、あくまでどういう道筋で解いているかだ。
解説を読んで納得したら、その解説を自分の言葉でノートに描いてみよう。
丸写しするのも悪くはないのだが、それだと本当に写しただけで終わってしまう可能性がある。
自分の言葉に翻訳して書けば理解が深まり、次回以降自分でも同様のものを書けるようになる。
例題の勉強が終わったら、ステップ4へGO。
ステップ4 演習問題を解こう
例題を済ませたら、次はいよいよ演習問題。
例題で学んだ解法をなるべく生かして問題を解いてみよう。
例題よりは少しだけ難しくなっている場合がほとんどだ。
そのため、すぐに解けないこともあるかもしれない。
だが、基本的に使用する解法は一緒であるから、諦めずに考え続ければ答えにたどり着ける見込みは大きい。
楽では無いだろうが、粘り強く考えてみてみよう。
演習問題の場合も、解説を読むなどして復習は忘れないようにしたい。
ステップ5 反復学習をしよう
標問の演習問題は数がさほど多くない。そのため、「2周目」に取り組みやすいのだ。
演習問題の中には、1周目ではノーヒントで解けず解説を読んでしまったものがあるにちがいない。
一通り解き終わったら、次は解けなかった問題だけを拾って2周目を始めよう普通の参考書だと問題数が多くてやってられないのだが、標問ではやりやすくなっている。
一度解けなかった問題にもう一度チャレンジするのは大きな価値がある。
2回目で解けたら、成長している証拠だ。
2回でも解けなかったら、再び解説を読んで、理解に徹しよう。
その後、2周目でも解けなかった問題を3周目でやり…という風に何度もふるいにかけていく。
こうすれば、全ての問題を着実に勉強していくことができるのだ。
完全制覇する頃には、あなたの成績は飛躍的に進歩しているに違い無い。
まとめ
標問こと「標準問題精講 数学」の長所・短所や勉強法について扱ってきた。
本書の核心は「精講」にあるといっても過言では無い。
これを最大限活用することで、問題解決能力がグングン伸びるはずだ。
逆に、細かい計算や式変形ばかりに熱中し、解法の流れを見失ってしまうと、標問の価値は圧倒的に下落する。
解法の大きな流れを忘れないようにしよう。
諦めずに真剣に取り組めば、標問はあなたのニーズに必ず答えてくれる。
様々な頻出問題に対する効率的で明快なアプローチを、標問は提示してくれる。
それを応用すれば、少々難しい問題だって解けるものだ。
ぜひ標問によって、定期試験レベルの数学力を大学入試レベルに引き上げてほしい。
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