続報!2020年度、センター試験から達成度テストへ!
2017年12月19日 | センター試験
「2020年度、センター試験から達成度テストへ!」の内容を補足する形でこの大学共通テストについてわかりやすくまとめてみた。 前回の記事はコチラ。さきにこれを読んでも良いだろう。
前回記事の復習
少し前回の記事を振り返ってみよう。 話は、2020年度にセンター試験が廃止されるというなんともインパクトのある内容から始まる。 目的は、これまでのセンター試験にあった負の側面を改善するための改革にあり、平成26年に中央教育審議会が出した答申が発端である。 その改善するべき問題点を具体的に言うなれば以下である。 ・知識や技能中心のテストであり、思考力や判断力を測ることができない。 ・これまでの受験勉強の頑張り(成果)がたった1回のテストで全て決まってしまう。 ・国際社会で活躍できる人間を育てる観点から現在の読みや書きだけで判断する英語のテストは不十分である。 大まかに言えば今回の達成度テストには、この負の側面を解消するという目的がある。 この達成度テストには大きく2つの領域がある。 それは、高校時代に行われる「高校基礎学力テスト」と、大学入学希望者に行われる「大学入学者希望学力評価テスト」だ。 今回の大学入試共通テストの新たな動きとしては、後者に関わる内容が大半を占めるわけで、すなわち、大学入学者を対象としたセンター試験に変わるテストの実施内容等に関わる重要な要項が決定したのである。 さて、本題に移ろう。
「民間試験」
国立大学協議会が11月10日に開かれた。 この協議会の中で、大学入試センター試験が廃止されることで、新しく実施されるようになる「大学入学共通テスト」について英語に関していかに試験を実施するべきか話合われた。 この協議会の中で決定したのが、“20年度〜23年度まで現行のマークシート方式のテストと民間試験を併用する入試を実施する”ということだった。 つまり、センター試験で問われたマーク式の入試方法は継続されながら、追加で民間試験を受ける必要がある。 さて、ここで示されている民間試験とは何をさすのだろうか? 具体的な対象となる試験については明らかになっていない。 協議会の報告によれば「文部科学省は10種類弱の検定や試験を実施する団体の申請を受け付けていて学習指導要領に対応するかなどを審査、今年中に活用する民間試験を決める。」となっている。 しかし、評価基準については明言されており、「高校3年の4~12月に2回まで受験することができ、大学に素点と国際基準規格“CEFR(セファール)”に基づいた6段階の評価が提供される」とある。 つまり、この評価基準に足る試験を実施できる対象が今年中に決定されることになるのである。 また、国立大学協会は今回の英語試験に関して、民間試験の結果によって出願資格の有無の権利を与えることについても言及している。 複合で判断するとなると、あまり現状の試験と変化が感じられないと考えていたが、この決定においてこの考えは誤りであったことが理解できた。 筆者は現状のマーク式の英語テストの比重は一段階下がること、そして大きな役割を持つことになることになる民間のテストを危惧している。 “彼らはこの決定の重さを理解しているのであろうか?” この大学入試出願資格となる民間試験について、受験者が獲得するべき評価基準が確定されておらず、国立大学協会は2つの案を各大学に示した。 ・CEFRの6段階評価で一定水準を満たしていることを各大学の受験資格とする。 ・CEFRの6段階評価を点数化し、マークシート式の英語試験の得点に加算して合否判定に活用する。 大学の受験資格として民間試験が導入されることは確定している。 問題はこの民間試験の内容にある。 あまりに難しくしすぎてしまうと、受験生が志望する大学の受験すら受けられない状況になりかねないし、かといって簡単にしすぎても学生の学力を適正に測ることができず、そもそも民間の試験が不必要とも取れる結果になる恐れもある。 どちらに落ち着くか判断できない状況にあるが、おおよそ理解できるのは民間試験の重さである。 しかし、この民間試験には“曖昧さ”が多分に存在しているである。 例えば民間試験の目的には何があるだろうか? 一例を言えば、ビジネスや海外留学の条件を満たすため、趣味や文化を学び、その知識を高めるためなど、様々な用途があるのではないだろうか。 また民間試験の良いところに幅広い用途に対応される自由な側面がある。 しかし今回の試験ではその自由さは必ずしも良い側面とは言い切れないのだ。 文部科学省では民間の試験について10種類程度の資格試験等を募集すると言及している。 これは10種類の資格試験、ないしは学力試験を評価の基準と定めるということになるが、それには前述の通りの側面とそれぞれに差異があることである。 すなわち、それぞれ個別に良いところがあれど、評価の基準が個別で異なっているということは、テストの公平性に問題が生じるといっても過言ではないのである。 “また、CEFRにおいても果たして正確に学力を判断できるのか疑問視されている。” 記事では東京工芸繊維大学の場合で語られており、入学直後の1年生にCEFRを適応させると、下から2番目にあたる“A2”の評価が全体の7割を占め、その1つ上の“B1”が2〜3割、仮にこの“B1”を受験資格にするとほとんどの学生が不合格となってしまう。 上記大学は国立大学ではないためその限りではないが、仮にこの民間試験の結果が大学出願における絶対条件となった際、この問題は避けては通れないことなのである。 出典:毎日新聞 「民間」評価、出願資格に国大協検討
民間試験になることによる利点・欠点
前述の通り、センター試験が廃止されることで、受験生は新しく民間で実施される試験を受ける必要があるが、果たして、これにはどんな利点があるのだろうか?
利点
1. 比較的自由なタイミングで試験を受けることができる これは現在発表されている情報から筆者が勝手に推測した内容だが、年2回受験する必要があるとして、おそらく年に何回か試験を受けるチャンスが用意されることになるだろう。 全国に受験生は約50万人と言われているから、最低でも月に1回以上試験が開かれることになるだろう。 また、民間試験の対象となる試験は10種類になると言われているので、単純計算で1ヶ月に10回以上のチャンスに恵まれる訳である。 年に2回の試験を受ける必要があるということは、2回のチャンスがあるということになる。 例えば4月に試験を受けてその結果があまりよくなかったとしても、残りの数ヶ月しっかりと勉強し、再度試験を受け直せる訳だ。 ただこれは、良い点数の方を申告できるという条件下での話であって、2回の平均から受験に得点とする場合ではこの限りではないため注意が必要である。 2. 対策が立てやすい 先ほどの内容にも類似するところだが、特に資格試験の場合では良書とさる参考書や、出やすい問題の系統をまとめた過去問や参考書が多く書店などに存在している。 こうした言わば攻略本に近い書籍の利用や、資格試験専門のスクールの利用などで比較的簡単に得点をあげることができるのではないだろうか。 3. 少ない勉強量 これまでの試験では多くの内容や、科目で結果を求められる傾向にあったが、資格試験であれば1科目ないしは、1試験単位の話になるので、単純に勉強に当てることができる時間が多くなる。 これは特に記憶系の試験科目でより有利に働く条件だと筆者は考える。 例えば英語であれば、長文を読むために、文法・単語や熟語表現の勉強が必須になるが、特に抜けやすいのが単語である。 日々受験生は反復を重ね記憶を定着していく必要がある。 しかし、日々の勉強は英語だけではないので、単純に満足な時間、単語を覚えることに使うのは難しいという現状がある。 仮に受ける民間試験が1科目であれば、より多くの時間をその専門の勉強に充てることができ、より理解が深まった状態で試験に臨めるので有利と考える。
欠点
1. コストの面 これは受験生自身というよりかは、その親御さんへの話である。 民間の試験を受ける必要があるということは、その都度、受験料金の支払いが求められることを意味している。 特に年2回程度としても、それまで払う必要がなかったお金を学費として用意する必要があり、家計への負担は避けれない。 また、資格試験の受験料金がそれぞれいくらになるのか、まだ明確に受験必須資格の発表がない中で費用を算定することが難しいというのも、頭を悩ますところであろう。 2. 地域格差 はじまってしまわないと全く検討もできない話であるが、筆者はおそらく地域間で試験を受けやすいか否かの格差が生まれるものと推測している。 それは、実施会場が多い・少ない、実施日が多い・少ないとする地方と都市部との格差のことである。 例えば、今メジャーな民間資格に簿記検定があるが、これには大きく、商工会に所属しているスクールでの小規模実施や、大きな公民館などでの大規模な実施がある。 筆者が住んでいる岐阜では、公民館での実施が主で、小規模実施はほぼない。 しかし、名古屋などでは大きな会場での実施と並行して、小規模実施も行われている。 もちろん名古屋で受験する人数が多いだろうから、それに関しては間違っていない。 だが、こうした地域の格差はこの大学希望者試験で改善されるのだろうか。 年に2回受験する必要があり、月に複数回受けるチャンスがあると言っても、地方では受験者も少なく、毎月コンスタントに実施されるとは考えづらい。 つまり、地方の受験生は決められた数少ないチャンスに向けての勉強を強いられる訳であり、これではアンフェアである。 あくまで予想の範囲であるから決定事項ではないが、こうした懸念もある。 3. 果たして適正な学力なのか より多くの科目を限られた時間勉強し、仕上げ切るということは、学力のみならず時間管理能力や自己管理能力の向上も見込めるのではないだろうか。 また単純に多くのことを問われるのだから、それだけ多くのことを学ぶチャンスがある訳で、より学力は高くなるのではないだろうか。 資格試験をまずクリアすることが求められる今回の新試験では、おそらく一つの資格試験を受験することになるだろう。つまり、単純に勉強する科目が減ることになるのではないだろうか。 もちろん、これまで通り学校での必修科目が大幅に減らされるであったり、内容が薄くなるということは考えづらい。 筆者が言いたいのは、学生個人の勉強に充てる配分が偏ってしまうのではないかという懸念である。 バランスよく勉強することは、単一の教科を勉強し続けることよりもむしろ、単一の教科を勉強する人を凌駕するというのが、筆者の持論である。 英語ばかりを勉強していても、国語をおろそかにしていたのでは、会話力というものは育たないであろうし、地理を勉強するなかで、面積や人口を問われ、その計算は数学の単元である。 物事は何事も循環している。凝り固まった勉強では真に学生個人の成長を促進させることはできない。
まとめ
最後にこの記事の内容を簡単におさらいしていこう。
・国立大学協議会が11月10日に開かれた。 1. この議会によって国立大学の入試に必要な受験内容の基礎が決まった。 2.大学入試センター試験が廃止され新試験になる2020年度〜2023年度の3年間は、従来の大学入試センター試験と 併用して、民間の資格試験や学科試験も評価の対象とされる。 3.受験生は受験学年になると年2回、民間試験を受ける必要が発生し、その点数・評価次第で、国立大学に受験する 資格を得ることができる。 ・評価基準となる資格試験等
- 具体的な発表はまだないが、英語の試験がおそらく必須となる。
- CEFR(セファール)という、欧米を中心に広く使われている国際基準が評価の対象となり、主に英語コミュニケーション能力が重要視される。
- 評定はA1〜C2までの6段階が用意されている。
・新試験のメリット 1. 民間実施なので自由なタイミングで受験が可能。 2. 年2回までのチャンスがあり、再試験も可能。 3. 資格試験の特徴である。対策が立てやすいと言った側面や、1試験のみなので勉強量を集約できる。 ・新試験のデメリット1. 民間試験なのでその都度お金を払って受ける必要があり、家計の圧迫になる。 2. 必ずしも自分が住んでいる地域で、常に試験が行われると言った保証がなく、地域間で格差が生じる。 3. 学生個人の勉強量に偏りが生じ、本当に学力の向上に繋がるのだろうかという懸念がある。
さて、今夏執筆した「2020年度、センター試験から達成度テストへ!」からまだ半年も経過していないなかで、大規模な決定があったことに筆者は少し驚いている。 もちろん、センター試験廃止まであと数年に迫っている状況ではあるが、もう少し議論を重ねてから、大衆へ向けての発表があってもよかったのではないかとも思った。 前回の記事の末尾にも書かせていただいたが、いくら評価の基準が変わろうとも受験生の使命はひとえに勉強することに尽きる。 今後、新試験切り替えに向けて、日々新しい情報が発信されることになるだろう。 受験生諸君は、こうした情報や変化の波に流されることなく、自分を信じて学び続けて欲しい。 その日々の学びの先に、輝かしい未来が待っていると筆者は信じている。 なお、来年(2018年)のセンター試験については、こちらの記事で取り扱っている。 試験日程や持ち物、それに最近の傾向まで1記事で一通りわかるので、受験生やその保護者の方はぜひ読んで欲しい。
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