4種類をうまく使い分けよう!「やっておきたい英語長文」
2017年03月03日 | 参考書・問題集徹底解析
英語長文の教材は世の中にたくさんある。 それ自体は嬉しいことだが、数が多すぎて何を使えば良いのか迷ってしまう。
また、「長文のココを鍛えたい!」という細かい目的を設定しておらず、「とりあえず長文演習をしたい!」と考えている受験生も多いことだろう。
そういう受験生が望んでいるのは、細かいテーマ設定をした問題集ではなく、良い意味で「普通の」問題集なのだ。
だがその「普通の」問題集が案外少ない。 色々な分野の文章、様々な問題形式を扱ったバランス型の問題集が欲しい。
そうした受験生にオススメなのが、今回紹介する「やっておきたい英語長文」シリーズである。
「やっておきたい」シリーズを使えば、バランスの良い長文演習ができる。
「やっておきたい英語長文」シリーズの概要
シンプルで優秀な問題集として人気な本シリーズ。 まずは「やっておきたい英語長文」の基礎情報を知っておこう。
基礎情報
本シリーズは、河合塾から出ている参考書である。
大きさはA5版で、コンパクトな問題集。 実際の大学入試問題から、シンプルで良い問題を厳選して載せているという形式だ。
文章の語数レベルに応じて、「やっておきたい英語長文300」「500」「700」「1000」と分かれている。
収録されている問題の数は以下の通り。
- 英語長文300:30題
- 英語長文500:20題
- 英語長文700:15題
- 英語長文1000:10題
特に700、1000あたりになると通常の長文問題集よりも収録問題数は少なめになっていることがわかる。
解答解説冊子と別冊の問題冊子に分かれており、問題冊子には文章と問題のみ載っているという形式だ。
解説は大変詳しくなっており、長文300でも各々4ページ、1000では10ページ程度用意されている。
問題そのものの解説のみならず、段落ごとの全訳やその他補足事項も手厚い。
それぞれの難易度
上述の通り、本シリーズは語数に応じて4つのレベルに分かれている。
自分のレベルに応じたものを使いたいところだ。 そこで、各々の問題集の適正レベルについて述べておく。
やっておきたい英語長文300
まず長文300について。 300語というのは想像以上に短く、ページ数でいうと1ページ分くらいである。
センター試験の長文問題はこれよりも語数がずっと多い。
とすると、この問題集はセンター試験よりも平易なものであると考えるのが普通だが、それは誤りだ。
長文の難易度は、その語数のみで決定されるわけではないからである。 長文300は語数の割に読解がやや難しく、適正レベルは「センター試験対策」あたりとなっている。
短いながらも中身が濃いので、効率の良い対策ができるのだ。 実際、河合出版の商品紹介ページでも次のように述べられている。
- 200語~400語までの比較的短めで、やや易しめから標準レベルの、やっておきたい英語長文を30題選びました。
- センター試験レベルの問題まで解ける力をつけたいという人向けです。
- 解説には、入試でねらわれやすいPointも付け、基礎的なものから学習できるように配列しました。
この問題集をこなせれば、センター試験で苦労することはなくなる。
我々慶早進学塾もこの300はセンターの英語長文対策に使用している。
300語程度なのでサクサク、短時間でこなせるのも魅力だ。
やっておきたい英語長文500
上のような理由から、長文500はセンター試験の次のステップを対象としている。
文章そのものの難易度は300語とさほど変わらないが、語数が増えるとそれだけでも大変になる。
長文500は、語数にして400語~600語の文章が選ばれている。
最難関校はさておき、MARCHを中心とした標準レベルの大学入試問題で最も登場頻度が高いのが、このレベルの語数なのだ。
そういう意味で、多くの人におすすめできる教材と言える。
慶早進学塾でもこのやっておきたい英語長文500をMARCHの英語長文対策に使用している。
文章のトピックも人文系のものから科学まで様々で、バランスが取れている。
長文読解の基礎力を鍛えるために、多くの人にとって有用な参考書。 大学入試本番対策としては、MARCHレベルの受験生にオススメだ。
やっておきたい英語長文700
長文700は、600語〜900語の長さである。
大学入試にしては比較的長く、センター試験の最後の大問かそれより少し長い。
だが文章の内容が難しいので、結構ハイレベルな教材となっていることを忘れてはならない。
長文700は、最近の入試によく見られるホットなテーマを取り揃えているのが特徴だ。
近年よく出題されるテーマ(グローバリゼーション、高齢化社会、遺伝子、地球温暖化など)の英文を取り上げ、Topicとして背景知識の解説も加えています。「やっておきたい英語長文」シリーズ紹介ページより
たとえば地球温暖化であれば、何も知らないで文章を読むのと前提知識を持ってから読むのとでは読解のしやすさが格段に異なる。
時代背景や知識があれば、少なくとも的外れな読解をする可能性はなくなるからだ。
単に長文読解の練習をできるだけでなく、そうした現代的なテーマに触れられるという意味で価値ある教材である。
難易度としては、早慶やレベルの大学を受ける予定の人が対象だ。
やっておきたい英語長文1000
最後に長文1000。
これは本シリーズで最も高難度で、語数も900語〜1600語(!)とヘビーである。
これほど長い文章が出題されるのは、東大や京大をはじめとした難関国公立大学や私立大学の文・法学部あたり。
ページ数でいうと3~5ページ程度。
1000語レベルになると、文法・単語の力だけではなく長い文章を読み切る体力も要求される。
前に書いてあった内容をちゃんと理解して次へ進まないと、先の内容が見えないことがあるのだ。
その場の理解が不十分だと、先で指示語がさす内容がわからなかったり、登場人物が混同したりする。
新しい力が要求されるのだ。
長文1000で扱われている問題は10題と少ないが、各々の問題を丁寧に扱えば十分な成果を得られるので心配は不要だ。
やっておきたい英語長文の使い方(問題演習編)
ここまで、本シリーズの概要とレベル別の特徴を述べてきた。 良質な英文の数々は、長文力を養うのに大きく貢献してくれる。 次はいよいよ、問題演習の方法について述べる。
制限時間が付いている!
各問題の最初には、語数と目標時間が明記されている。
「○○words、○○mins」といった具合だ。
目標時間は、「この時間で解ければある程度実力がある証拠だね」ではなく、「実際の入試を考慮したらこれくらいの時間で解くべきだ」という値である。
したがって、長文に慣れていない人にとっては正直キツい時間設定になっている。
制限時間内に解くというのも大切だが、実力が不十分な段階で時間に追われて読解しようとするとどうしても読みが荒くなってしまう。
知識だけを単体で答える問題と異なり、読解問題は雑に読んでいると次第に意味がわからなくなり問題が全く解けなくなるのだ。
入試直前期ならまだしも、基礎力を鍛える段階では無理に時間内に解く必要はない。
- 長文読解の力を鍛えたい!という場合は無理に時間を計らない
- 入試本番を意識した練習をしたい!という場合は時間を計る
という方針が良い。
先に問題を見ておこう!
英語の問題の解き方にはいくつかの流儀がある。 自分の好きなスタイルで読んでよいのだが、長文に関しては完全に自由ではない。
文章を読んでから問題を見るか、問題を見てから文章を読むか、ということを悩んだ経験は誰にでもあるだろう。
これについては、「先に問題を見ておく」ことを推奨する。 問題を見ずに文章を読むことのデメリットは何だろうか。
短い英文ならさほど苦労しないが、語数が多くなると困ったことが起こる。 たとえば「下線部1の理由は何か。次のうちから選べ。」という問題があったとしよう。
いきなり文章を読んでからこの問いに出会うと、「あれ、どこに書いてあったっけ?」と悩むことになる。
長い文章だと該当箇所を探すのは簡単な話ではなく、場合によっては結構な時間をロスする。
逆に、あらかじめ問題を見ておけば、どういう内容に着目して読めば良いかがわかるのでラクになる。
上の理由の問題であれば、理由を示す表現に気を配れば良い。 たとえば”It is because ~”、”So ~”などである。
その他意識すべきこと
二点目は「重要箇所に下線を引く」こと。 英語に限らず国語でもやっていることと思うが、文章の中で重要な部分には印をつけておくことが望ましい。
何が重要な内容なのかを判断するのは難しいが、多くの場合
- テーマを提示している
- 疑問を提示している
- 理由を述べている
- 内容のまとめを述べている
部分を重点的に読むのが賢い。 テーマを示す箇所であれば、下線を引くだけでなく「テーマ」をメモしておく。
理由やまとめについても同様だ。 このように自分なりのルールを定めて、メモを効果的に使って欲しい。
三点目は接続詞に着目すること。
小学校や中学校の国語の問題で、「空欄に入る接続詞を次から選べ。ア:しかし イ:そして …」というものをみたことがあるだろう。
接続詞は、文章の流れを理解する上で重要なものだ。 そこで、文章中に接続表現が出てきたらマルで囲っておく。
こうするだけで、内容の整理をしやすくなるのだ。
一旦内容をまとめておこう。
長文問題の解き方は基本的には個人の自由だが、
- 問題を先に読んで、何に着目すべきか理解する
- 重要箇所に下線を引く
- 接続詞に注意する
やっておきたい英語長文の使い方(問題を解いた後)
問題演習のコツについて述べてきたが、これはあくまで「問題の解き方」の話であった。
問題を解き終わった後に何をするかというのも大切だ。 そして、「やっておきたい長文」シリーズの真価が発揮されるのはこの「演習後」なのである!
丸つけ・復習だけでは不十分
みなさんは、長文の問題を解いた後に何をするだろうか。 解答解説を読んで答え合わせをする。
これはごく自然な話だ。 やっておきたい長文シリーズに限った話ではない。 解説を読みよく復習する。
時間をおいて再び解き直す。
弱点を見つけて修復するにあたり、受験生が必ずやるべきことである。
だが、「やっておきたい英語長文」シリーズはそれだけでは不十分なのだ。
というのも、本シリーズは収録している問題数が全体的に少ない。 300や500やそこそこの数あるが、700は15題、1000にいたっては10題しかない。
これを単に解いて丸つけ・復習をするだけでは教材としてあっさり終わってしまう。 収録問題数の少なさの悪い面が出ただけだ。
黙読・音読と語彙のチェック!
単に解答解説を読むのみでは不十分。 では、何をすべきなのだろうか。
一つは「黙読・音読」である。 本書に収録されている英語長文は、テーマ的にも文の質の面でも優秀なものが揃っている。
それを、ただ問題を解くだけで終わるのはあまりに勿体無い。 せっかくよい文章が厳選されているのだから、たくさん読んで少しでもご利益を受けたいところだ。
読むといっても黙読と音読があるが、最初は黙読で構わない。
一度解いた問題なので概要は理解していることだろう。 改めて通読し、理解できなかった箇所を点検するのだ。
問題演習も含めて述べ2,3回読めば、たいていの内容は理解できるものである。
黙読を繰り返すうちに、文章をスラスラ読めるようになってくる。 そうしたら音読に移ろう。
黙読をしたあとに音読をするのは意味が薄いのではないか、と疑問に思う受験生は多いだろうが、それは音読の効果を甘く見ている。
確かにただ声を出して読むだけなのだが、効果は絶大なのだ。
黙読は文章を視界に入れてさえいれば可能だが、音読は単語の読み方やアクセントなどがわかっていないと不可能。
逆に音読ができていれば、それらのポイントはクリアしていることを意味する。
そして、発音できるというのは単語を自分の中で認識できていることの裏返しであるため、速読力を高める効果もあるのだ!
小学生と異なり、中学、高校と学年が上がるにつれ音読をする機会は減っていることだろう。
だが上の理由により、たとえ高校生であっても音読は大いに取り組むべきなのだ。
慶早流の音読方法については↓の記事でまとめているので、ぜひ読んでほしい。
第二に、「単語・表現のチェック」がある。
問題演習の際、文章中の全ての単語・表現の意味がわかることは稀である。
難しい文章であるほど、ハイレベルな語が登場する頻度も上がるのだ。
文章中に、自分の知らない語があったらそれをノートや紙にメモしておこう。
「やっておきたい英語長文」シリーズでは、頻出のトピックを扱っていることもあり、覚える価値のある単語・表現が多数登場している。
問題演習の後に、それらをチェックして覚えることで、自然と語彙力も鍛えられるのだ。
自分で探す手間を省きたい場合は、解答解説冊子を読めば難しい表現がリストアップしてあるので、それを用いるのも良い。
とにかく、問題を解いてハイ終わり、ではなく可能な限りたくさんの知識を吸収するのが賢い勉強法。
自分の努力次第で、参考書の価値をどんどん上げることができるわけだ!
まとめ
やっておきたい英語長文シリーズの概要と、それを用いた勉強法について説明してきた。
大学入試対策として最適な、良質な長文。 単に解いて丸つけ、で終わらせてしまうのはあまりに勿体無い。
黙読・音読や表現のチェックをすることで、より多くの成果を引き出せる。
優秀な参考書である「やっておきたい」シリーズで、長文読解の力をグンと引き上げてほしい。
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