基礎から学ぶ「和文英訳」のコツとは?10のチェックリスト
2019年04月22日 | 英作文
もしあなたが大学入試の2次試験で英語を受験するなら、きっと英作文には「自由英作文」と「和文英訳」の2種類が存在していることは知っているだろう。
最近では、自由英作文を出題する大学が増えてきているが、それでもまだ、地方の国公立大や関西の難関大学では、和文英訳が主な出題形式となっているところも多い。
文字数に規定があり、自分の意見・主張をする「自由英作文」と比べれば、指定された和文を英訳する「和文英訳」は、難易度は低いと言える。
しかし、和文英訳はただ訳すだけ、とタカをくくっていたら大幅に点数を落とすことになるだろう。
そこで今日は、軽視されがちな和文英訳について深く紹介していきたいと思う。
ここで和文英訳の概要と勉強法をしっかり身につけ、英語の入試でしっかり点をとっていこう。
1.和文英訳の概要と理解するコツ
和文英訳とは、指定された和文を正しく英訳する試験だ。
私たちが普段当たり前のように話している日本語を、ノーヒントで正しく英訳することは決して簡単とは言えない。
英単語が分かれば何となく日本語に出来る英文和訳とは違い、和文英訳は語彙と文法力が必須だ。
英文和訳よりよっぽど難易度が高いということは分かるだろう。
また、和文英訳は普段の授業でなかなか触れられていないのが現状だ。
以下に文部科学省発表の外国語に関する調査結果を紹介しよう。
※文部科学省より引用
〇英語の授業の中で出来ていないと思う活動のうち、主なものは以下の通りである。
・和文英訳(約60%)
・自分の意見や考え、感想などを英語で発表すること(スピーチ、プレゼンテーションなど)(約59%)
・ライティング(エッセイなど、ある程度まとまりのある英作文)(約59%)
・ディベート、ディスカッション(約54%)
・教科書以外の教材の英文について、音声CDを通して外国人による朗読を聞くこと(約52%)
このように、和文英訳は難易度が高いうえ授業中にもできていない英語の分野1位に入るくらいみんながしっかりと理解していない分野である。
この章ではまず、和文英訳の概要と正しい理解について説明する。
ここでまず、和文英訳について正しく理解していこう。
1.1 文意を考えているか?
まずは問題文に着目する。
表現を変えても同じ意味になる文章はいくらでもあるだろう。
例えば、次のような和文があるとする。
- 私の飼っている犬は茶色で、名前はボビーと言います。
- ボビーと言う名の茶色い犬は、私が飼っている犬です。
私が飼っている犬、名前はボビー、色は茶色。両文ともこれらの情報が入っている。
表現は違っても、同じ意味の文章だ。
英訳するときも同じだ。文意を考え、発想の転換をすれば良いのだ。
1.2 主語に着目し、動詞を選定する
和文英訳は、主語をどのように表すかによってかなり変わってくる。
先ほどの例題で考えてみよう。
「私の飼っている犬」を主語にするのか、「ボビーという名の茶色い犬」を主語にするのかで文章は変わるだろう。
① My dog is brown, and the name is Bobby.
② A brown dog called Bobby is mine.
どちらも同じ文章だ。このように、主語を変えるだけで文脈の違う同じ意味の文章が出来る。
出題された和文を、文の頭から英訳することだけが和文英訳ではないのだ。
和文英訳は原文の複雑さによって難しく捉えられがちだが、主語を変えれば易しい英単語で英訳しても十分通用するのだ。
また、主語が決まれば、次はそれに合わせて適当な動詞を選ぶ。
動詞には、自動詞と他動詞がある。
他動詞:目的語を必要とする動詞
※目的語:日本語でいう「~を、に」にあたる言葉。
「動詞」は、この2つを区別して選定するようにしてほしい。
区別の仕方は、動詞+前置詞(例えばgo to や、laugh withなど)のセットなら「自動詞」だと認識しよう。
これを踏まえたうえで、下記の問題を解いてみよう。
- The airplane arrived at 9 o’clock.
- My father bought a watch.
- Are you coming with me?
- She is laughing.
【解答】
- 自動詞(前置詞atがあるため)
- 他動詞(時計を、という目的語があるため)
- 自動詞(前置詞withがあるため)
- 自動詞(目的語がないため)
いかがだろうか?
見分け方のコツさえ覚えてしまえばすぐに区別できるようになるだろう。
ぜひ参考にして、和文英訳の主語に着目し、正しい動詞を選定してほしい。
1.3 日本語と英語の言い回しの違いを理解する
日本語は曖昧な表現や、主語や文の一部を省略するという特徴がある。
それに対し英語は、曖昧な表現というものがない。
主語・動詞がはっきりしていて構造が明瞭だ。(但し挨拶文や命令文は除く。)
日本人が海外に行く時にYesかNoかはっきり言わないと相手に伝わらないと言われるのは、その文化と言い回しの違いだ。
つまり和文英訳をする際は、日本語独特の言い回しに惑わされずに、出題された文章の事実を見極め、はっきり言い切る英文で表現することが必要となってくる。
また、英語には日本語のような複雑な敬語はないが、くだけた表現(インフォーマル)とかしこまった表現(フォーマル)はある。
例えば、
「あなたの家族について話してくれませんか?」
→ Please tell me about your family.
→ Would you mind telling me about your family?
これらは同じ意味だが、前者がインフォーマルで後者がフォーマルな表現だということが分かるだろう。
英作する際はどちらでも問題はないが、同じ文中にインフォーマルとフォーマルを混同することは避けてほしい。
ちょうど、日本語でいう「です・ます調」と「だ・である調」を混同している感じだ。
混同していること自体が間違えているわけではないが、見て(読んで)リズムに違和感を覚えるような文章になりかねないため、英作する際は統一感をもたせた方が良いと言える。
1.4 長い和文は短文に分けて英訳する
複雑で長い和文を、見たまま英訳しようとするのは気が遠くなる。
文頭から直訳しようとするのは非常に効率が悪いのだ。
簡単な単語に置き換え、いくつかの短文に分けるのが得策と言える。
元の和文が一つでも、英訳するときに一つの文になっている必要はない。
但し、つなぎ言葉となるThereforeやThenなどは活用してほしい。つなぎ言葉がないと文の流れに一貫性が持てないからだ。
1.5 複数形に注意する
ひとつでも複数形を用いるものには注意してほしい。
例えば、jeans(ジーパン), scissors(はさみ), glasses(メガネ), news(ニュース), times(時制)などだ。
また、量を表す言葉にも注意をしてほしい。
「数」を表すもの(例えば人、動物、物など)と「量」を表すもの(水、時間、お金など)に分かれる。
例えば、manyやmuch、fewなどがそれにあたる。
区別の仕方は「数えられるもの」と「数えられないもの」で区別すると良い。
Many・・・many students, many animals, many flowers など複数形で表す。
Much・・・much time, much money, much love など単数形で表す。
1.6 時制の違いを理解しておく
日本語では「着いた」「思い出した」「分かりました」など、過去的に表現する言葉を、英語では現在形で表現することが多い。
例えば、
学校に着きました。→ Here we are at the school.
思い出しました。→ Now I remember.
4月に雪が降るなんて驚いた。→ I am surprised to have snow in April.
このように、和文が過去形で書かれていても、英訳するときに惑わされないようにしてほしい。
英語には、日本語にはない時制がある。
過去を含んだ現在を表す「現在完了形」と、過去を含んだ過去を表す「過去完了形」、そして未来を基準にしてその経験を表す「未来完了形」がある。
「カリフォルニアに来てからどのくらいですか?」
→ How long have you been in California?
過去完了の例:
「私は彼女にいつから病気なのかと聞いた」
→ I asked her how long she had been ill.
未来完了の例:
「友達が来るまでには宿題は終わっているだろう」
→ I will have finished homework when my friends come.
日本語にはない時制なだけに、基礎をしっかり学んでおかないと使い分けが難しいだろう。
次章からは和文英訳の勉強法について説明していくが、しっかり概要を理解したうえで進んでほしい。
2.和文英訳の勉強法
与えられたテーマで自分の意見や主張を英語で書く自由英作文に対し、和文英訳は指定された和文を英語に訳す。
一見、自分で文章を考えなくてはならない自由英作文の方が難しく感じるが、実は勉強法は同じだ。
ここでは英語の基礎力を上げることにフォーカスし、和文英訳を攻略するための勉強法を紹介しよう。
英語の基礎力を上げることが結果として和文英訳でも通用するようになるのだ。
2.1 単語と文法力はとにかく復習あるのみ
大学入試は高3までのレベルで通用する。
難しい単語を使う必要はないのだ。
難しく書いてスペルミスや文法間違いをしてしまうより、易しい英語でも出題された和文と同じ意味になる英文にした方が点数は取れる。
中学から高校レベルの単語や文法問題は何度も反復するようにしてほしい。
参考書を使う場合も、一度解いたくらいでは脳に定着しないため、何度も反復することがポイントだ。
さらに英文を音読することでリスニング対策も同時に行えるため、一石二鳥だ。
2.2 英語の型を覚える
英語は基本文を覚えれば、主語や目的語を変えるだけでそのまま使える。
簡単な例を挙げれば、
I go to school every day. → 私は毎日学校へ行く。
Iを三人称単数(HeやShe)に変える場合、動詞をgoesに変えればそのまま使える。
目的語をschoolからparkに変えても使えるし、このように変化させやすい基本文を覚えておけば必要に応じて沢山の英文を作ることが出来る。
英語の型を覚え、簡単な英文で良いから沢山の英文を作ることが、和文英訳の基礎だ。
単語と文法力が身に着いたら、簡単な英文を量産することを始めてほしい。
また、先行する名刺と、後述する代名詞の数を合わせることも忘れないようにしてほしい。
例えば、
「私の祖父は若い時よく働いていた」→ My grandfather worked very hard when he was young.
Grandfatherは単数扱いになるため、それを受ける代名詞はheとなる。
また、動詞にも単数と複数の区別をしなくてはならない。
Heだったらis, was, goesなど、theyだったらare, were, goなどだ。
文中で動詞が主語の人称・数と一致させなければならないのは、日本語にはない語法の一つなので基礎的なことではあるが、英作する際にうっかりミスを防ぐために注意してほしい。
2.3 難しい和文を簡単な和文へ
入試で出題される和文は難しい表現で書かれていることが多い。
それをそのまま英訳しようとするのではなく、まずは出題された和文をもっと簡単な和文に置き換えられないか考えてみてほしい。
元の和文から情報が欠落しない範囲で、英訳しやすい簡単な和文に置き換えよう。
必要なパーツ(単語)を集めたら、それを用いて英文を作ってみる。
原文をそのまま英訳しようとするより、はるかに簡単に思えることだろう。
2.4 原文の主語を変えてしまう
原文が複雑であればあるほど、どこから手をつければ良いか分からなくなるだろう。
そこで、視点を変えてみてほしい。
例えば、
「この本が先週おすすめしたものです。」
→ The book which I recommended is this last week.
「私の姉はこの写真に写っています。」
→ My sister appears in this picture.
これらの原文(和文)の補語を主語に変えると、下記のようになる。
→ This is the book I recommended to you last week. (先週おすすめした本がこれです。)
→ A woman appearing in this picture is my sister. (この写真に写っているのは私の姉です。)
主語を変えても同じ意味になる英文になっているのが分かるだろう。
これは簡単な例題だが、複雑な英文になってもやることは同じだ。視点を変えて取り組んでみてほしい。
2.5 添削してもらう
和文英訳も自由英作文もそうだが、自分で英作していると「これで合っているのか分からない…」と悩むだろう。
書いた英文が正しいのか分からないのだ。
こればかりは自分一人ではどうしようも出来ない。
そこで、英語の先生に見てもらうようにしてほしい。
学校の先生でも、予備校の講師でも構わない。英語の出来る人に添削してもらい、自分では気づかない間違いを客観的に見てもらおう。
添削してもらった英文はよく見直し、それを基本文として応用していくと効果的だ。
3.仕上げのポイント
最後の仕上げとして、あなたが書いた英文を下記のチェックリストで確認してほしい。
□ 主語は明確か?
□ 主語に対する動詞は適切か?
□ 動詞の人称(三人称単数)などは間違えていないか?
□ 動詞の時制(現在完了・過去完了形など)は適切か?
□ 動詞では自動詞・他動詞の区別がはっきりされているか?
□ 目的語・補語は正しく書かれているか?
□ 形容詞・副詞の使い方は合っているか?
□ 前置詞・接続詞は適切か?
□ スペルに間違いはないか?
□ ロジカル(文章に矛盾がない)か?
これらをチェックし、あなたが書いた英文を確かなものにしてほしい。
4.まとめ
いかがだっただろうか?
日本語と英語は文化の違いから表現方法が異なる。
基礎を身につけておかないと正しい英文が書けない、ということを理解しておいてほしい。
最初は文として成り立たない英文になってしまっても仕方がない。
しかし経験を積めば必ず正しい英文が書けるようになる。
ぜひ自信を持って取り組んで欲しい。
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