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物理のエッセンス(河合出版)で物理を独学で得意科目にする方法

2022年06月02日 | 物理

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あなたは物理を受験科目として使う人だろうか?

物理は数学同様、苦手に感じる人が多い科目である。

その理由として、暗記項目は他の科目ほど多くはないが、その分だけ物理の現象を正確に理解することが求められる科目であり、勉強を理解しながら進めていく癖のない人はどうしても苦手科目になってしまうのだろう。

また、物理はそういった観点からもやや独学がしにくい科目である。

教科書だけではなかなか理解することが難しいと感じている人も多いだろう。

そこで、今回は物理の教材である、河合塾の物理のエッセンスについて説明したい。

物理を受験科目として使用する人はかならずこの教材を学習しておきたい。でははじめよう。

物理のエッセンスの基本情報

まずは基本情報から説明していこう。

  • ジャンル…物理の問題集
  • 目的…基礎問題を解くための頭をつくる
  • 対象者…受験で物理を使う受験生全員
  • 使用時期…物理の受験勉強を開始した最初の1冊として
  • 問題数…1冊180問程度
  • おすすめ度…★★★★★

物理を受験科目として使用する人は間違いなくやっておきたい教材である。

物理のエッセンスの特徴

次に本書の特徴について説明していこう。

各単元の重要事項を網羅

本書はその「エッセンス」という名のとおり、それぞれの単元の重要事項や、問題を解く上での重要ポイントを重点的に詳しく解説している参考書である。

そこまで重要ではない部分については数行でまとめてある程度に対し、本当に重要なところは数ページにわたってしっかり解説してあるので、ポイントだけを確実におさえて学習ができる。

本書を仕上げておけば、要所となる問題はきちんと解けるようになるだろう。

教科書では、全ての内容が濃度にばらつきなく書かれているので、どこがポイントなのかがわかりづらかったりする面もあるが、本書はきちんと重要度と内容の豊富さが比例している。

これが「エッセンス」の1点目の長所である。

質の良い問題を厳選

本書は1冊で180問、2冊で全単元がそろう形式になっている。

そして1問ごとの説明がかなり詳しいことから、必然的に収録されている問題数が少なくなっている。

問題集では多いものだと1冊に800問程度入っているような参考書もあるが、本書は180問なので、それに比べるとかなり少ない問題量になる。

その分重要で大切な問題だけをピックアップしており、その問題については解説を非常に詳しくするというスタンスだ。

前項での説明とも被るが、重要な項目についてのみ非常に詳しく、問題も同様に重要な要素が含まれているものだけをピックアップしてある。ほんとうに大事なポイントだけを抽出した内容なのだ。

問題については、その難易度が米印にて記されていて、これが多いほど難しい問題とされる。

このように難易度もわかるように表記されているので、最初の1周目は米印が1つのものまでをやり、2周目はそれより難しい問題をやる、といった使い方もできる。

そして構成は、それぞれの単元でまず重要事項の解説があり、そのあとに問題が掲載されている形式だ。

本書では、最初の重要項目の解説でしっかり単元について理解した後に問題を解くという流れが、きちんと本の中で作られている。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

問題量が足りない、苦手分野などはリードαやセミナーで演習量を増やしてもいいと思います。

詳しくわかりやすい解説

上の項目でも軽くお伝えしたとおり、1問1問の問題解説が非常に詳しいことがこの「エッセンス」の最も大きな特徴だ。

1つの問題について、それを解くための方針や、問題を解くための理解の方法、そして途中計算をどうやったらいいのか…といったポイントまでもが詳しく載っていて、それもグラフや図やイラストをふんだんに使っているので非常に読みやすい。

そしてプラスアルファで必要になる知識や、もっと本質的で高レベルな解説が付随されている問題もあるので、1問解くだけで、いろいろな角度からの多面的な理解が進み、非常に能率よく勉強ができる。

また別解がたくさん用意されていて、その結果さまざまな解き方を身につけられ、また自分のアプローチ方法を生かした解き方で進められることもある。

このように、解説面が充実していることが本書を使う何よりもの利点である。

物理のエッセンスの使い方

では次に、本書の具体的な使い方を見ていこう。

物理のエッセンスのみで学習できるかの確認

まずは実際に物理のエッセンスの中身を確認していき、この教材だけで内容を理解し、問題を解くことができるかどうかを確認するのがいいだろう。

物理のエッセンスは物理の学習内容を0から10まで全て解説しているという趣旨の教材ではなく、物理を学習して躓きやすいポイントや学習上重要な内容をより重点的に解説している教材である。

そのため、本当に0からの学習となると、物理のエッセンスだけでは少し厳しいかもしれない。

その場合は後述する、類書の「漆原の物理が面白いほどわかる本」とセットで取り組むことをおすすめしたい。

重要事項を読み込む

では、ここからは実際の物理のエッセンスの使い方だ。

まずは重要事項を読み込もう。

それぞれの単元の冒頭の部分に、その項での重要な現象や性質について、詳しくグラフや図を使って説明してあるので、まずはその部分をしっかり読み込んで理解することを心がけよう。

物理についてはとにかく現象や性質の理解が非常に重要で、その理解が出来ていないと、簡単な問題は解けても応用問題が全く解けないといった事態に陥ってしまう。

ここには時間をかけても良いので、書かれていることが理解できるまで、しっかり一字一句読み込んで欲しい。

レイアウトと共に、具体的にどの部分が読むべきポイントになるかを解説しておくと、赤枠で囲いがしてある部分が、その項目の最も大きなポイント部分である。

赤囲い部には2種類があり、A、Bの符号をつけて、いろいろな解き方を紹介しているところと、また1,2,3といった数字の符号で書かれているものは、問題に当たった時の思考のアプローチ法がまとめてある。

この赤枠部分を復習するだけでも、問題を解くための重要な要素をしっかり復習できる。

自力で問題を解く

次に、問題は自力で解いてみよう。

解説の理解が出来てインプットが終わったら、次は実際に問題を解く過程になるが、この時必ず自力で解くよう心がけて欲しい。

エッセンスに収録されている問題は比較的基本的な問題が多いので、解説部分をきちんと理解出来ていれば自力で解ける問題がほとんどのはずだ。

必ず、いきなり答えを見たりせず、まずしっかり自分の頭で考えて答えを出してみて欲しい。この自力で問題を解く際に、頭の中の知識をいろいろ総動員して考え作業することで、アウトプット力が鍛えられるのだ。

ぜひ、この訓練で問題を解く力をしっかり鍛えて欲しい。自力で解く作業は労力と時間がかかるので非常に骨が折れるが、一番頭が鍛えられる過程なのだ。

この作業には、かかる時間分の価値が絶対にあるので、極力省かないようにしよう。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

重要事項を理解することができたら、実際に自力で問題を解くということは忘れないようにしてください。学習効果が大きく変わってきます。

解説で内容・解き方を理解する

問題を自力で解き終えられたら、次は解説でその内容と解き方を理解しよう。

繰り返しになるが、この「エッセンス」は1問ごとの解説が非常に詳しく、解き方の筋道や現象にプラスアルファとして理解すべき内容や別解なども載せてある。

単純な解答だけではなく、じつにいろいろな要素が多岐にわたって書かれているので、ここをしっかり読むことで、たった1問から非常に多くの要素を吸収できるのだ。

必ず、しっかり隅から隅まで読んで理解するようにしてほしい。読み込むことで、勉強の能率が非常に高くなるはずだ。

反復し、瞬時に解けるようにする。

各章一通り問題を解くことができたら、以降は問題に絞って、繰り返し問題を解いていき、どの問題も理屈を理解した状態で、一瞬で問題を解けるように仕上げていこう。

1,2周程度ではせっかく内容を理解することができたとしても、内容がすぐに抜けてしまう。

それでは全く勉強した意味がないし、あくまでも完全に使いこなせるようになるまで仕上げるべきだ。

そのためには、何度も反復することが最も重要であると言える。繰り返し問題を解いて、ここで紹介されている解き方は全て使えるようにしておこう。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

エッセンスは問題数も多くないので、反復しやすい教材だと思います。

物理のエッセンスの注意点

次に、本書を使う際の注意点について説明しておこう。

電磁気が難しい

毎年慶早進学塾の生徒にこの物理のエッセンスを使ってもらって、よく意見をもらうのが、電磁気の分野が難しい、分かりにくいという声だ。

他の分野と比較して、やや解説が高度で分かりにくい点があるように感じている。

電磁気分野に関して、エッセンスでいまいち理解できない人は、学校や塾の先生に質問するか、独学の人の場合は、漆原の面白いほどなど、先に講義系の教材を学習しておいた方がいいかもしれない。

ここは実際に中身を見て判断するようにしよう。

難しい問題も、すぐに解答を見ないこと

何よりも、難しい問題であってもすぐに解答を見ないように注意しよう。

「エッセンス」の基本問題はほとんどの人が自力で解けると思うが、米印2個の問題などは割と難しい問題になるので、これらを自力で解くのはもしかしたら少々ハードルが高いかもしれない。

しかし、そもそも本書に掲載されている問題の中に、そこまでとびぬけて難しい問題はなく、やってみれば出来る類のものだ。

最後の答えまで完璧に辿り着けなくても良いので、途中でも、この辺りまでは理解できるという部分まで良いから、答えを見ずにじっくり自分で考えてみて欲しい。

とにかく少しずつ、わかるところだけでも自分で解こうとするその姿勢が大切なのだ。このような練習をしていると、徐々に応用的な難しい問題も自力で解ける能力がつく。

少々難しめの問題でも、決してすぐに答えは見ず、可能な限り自力で解くことを心がけよう。

物理のエッセンスの類書との比較

次に類書との比較について述べておこう。

角川 漆原晃の物理が面白いほどわかる本

この本は問題集ではなく講義系教材になり、「エッセンス」と並行して学習するタイプの教材で、「エッセンス」とは少々タイプが違う。

具体的には、教科書や授業で物理の内容が理解できない人向けに、1つ1つの単元・現象・性質をイラストやグラフ・図を使ってわかりやすく解説してある本だ。

文章も非常にわかりやすいので、授業を聞くだけである程度内容がわかる人にとっては、「そこまで詳しくなくても…」という印象を持つかもしれないが、実は物理というのはある程度分かると思っていても、大切な理解が抜けていることが多くなりがちな教科だ。

この様にまだら的な理解しかできていない人は、ある程度の難易度の問題までは解けるのだが、応用問題になってくると全く歯が立たず解けなくなる。

基礎の理解を完璧に網羅することがその事態を避けるためには重要なのだが、この漆原の教材は、そういった部分への対策としてとても有用な一冊である。

正直なところ、この教材ほどわかりやすい講義系教材は他にないので、ぜひこの本を使ってポイント部分をしっかり理解して欲しい。

この教材は必ず持っておき、それと並行して他の問題集をやる…というスタンスがおすすめである。

特に電磁気の分野は、現象も非常に難しく、解いていく際のアプローチ法も迷いがちになるが、この漆原の参考書は電磁気の情報も非常に端的にうまくまとめていて、この本ならすんなり理解できる。

物理が得意な人にも苦手な人にも間違いなく役立つ教材なので、できればすべての人に購入して欲しい。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

この教材は生徒からも評判かなりいいですね。以下から漆原の面白いほどの記事載せてありますので、確認してください!

河合塾 良問の風

この本は「物理のエッセンス」と同様、河合塾の物理学習のルート内に含まれている問題集だ。

河合塾の物理は、最初に今回のテーマ本である「エッセンス」を仕上げ、次に「良問の風」で入試の標準レベルまでの対応力をつける。

最後に「名門の森」という難易度の高い教材で、旧帝大レベル・早慶レベルまで仕上げるというような流れになっている。

この良問の風は、問題集の間的位置づけにあり、「エッセンス」が完璧に仕上がったタイミングで取り掛かってほしい教材である。

「良問の風」もまた「エッセンス」同様に、1問1問の解説が非常に詳しいことが特徴だ。

問題の難易度は、入試の基礎から標準レベルまでのレベルのものが掲載されている。

良問の風レベルの問題がきちんと解けるようになってくれば、ある程度の大学までは合格レベルに達するだろう。

こちらもその解説の多さから、収録されている問題数は他の参考書に比べると少ない。

ただ、非常に良い問題だけがうまく抽出されているので、数は少なくても能率の良い学習ができるだろう。

解答も、エッセンス同様2色刷りで印刷されていて見やすい。

また、物理の受験では近年論述問題が出される大学が増えてきているが、その対策も章末に掲載されているので対応ができる。

このように優れた点がたくさんある問題集だ。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

エッセンスで内容理解できたらスムーズに良問の風で演習することができます。以下から良問の風の内容も確認してください。

数研出版 リードα 物理基礎+物理

物理が授業である場合、このリードαかもしくはセミナー物理を持っている人が多いのではないだろうか?

この参考書は学校教材に当たり、学校で配られたり購入させられたりするケースが多いだろう。

それぞれの単元での重要事項が最初の数ページでまとめられているので、ここをしっかり整理し、理解してインプットすることによって、その単元の必要な事項を全網羅して習得できる。その後に基本問題から応用問題までが順番に掲載されている形式で、その部分をやることで基礎から応用レベルまで、物理の力を段階的に上げられる。

このリードαのような教材が、物理の問題集としては最もスタンダードな形式だろう。

どちらかというと基本問題に重点を置いて作られているので、基礎から物理を固める一冊目の教材として非常によい。

なおかつ、応用問題のバリエーションも豊富なので、この1冊をやりこむだけで旧帝大レベルまではきっちり実力を付けられるだろう。

ただ、解説の詳しさは万人向けの適度なレベルで、エッセンスや良問の風ほどの丁寧さはなく、解説が詳しい方がいい人には若干不向きかもしれない。

その分収録されている問題の数が多いので、問題をどんどん解いて力を付けたいというタイプの人には非常におすすめの本だ。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

リードαに関しても記事にしてあります。以下からご確認ください。

エッセンスで演習量が不足する場合に使えばいいと思います。

第一学習社 セミナー物理基礎+物理

この本も、前項のリードαと同様の形式で似たような内容の参考書である。

最近の高校は、だいたいリードαかセミナー物理のどちらかを購入させるところが多いようだ。

形式としてはリードαと全く同じで、それぞれの単元の最初の数ページに必要事項や公式、理解すべきポイントがまとめられて載っている。

この部分を理解して、整理しつつインプットすることが重要。その後に続く問題で、基本問題から応用まで順次学習していく形になる。

この本もリードα同様に基本問題に重点が置かれてはいるのだが、リードαよりも応用レベルの問題が多く載っていて、この1冊で基礎から応用レベルまでがきちんと対応できる本になっている。

ではリードαと違う点は何かというと、リードαは過去問が収録されていないが、セミナー物理にはいろいろな大学で出された過去問や、過去問を少々いじった問題が収録されている。

よって、この本では過去問演習も含めて対策ができる。過去問には、かなり難しい旧帝大レベルの受験問題も収録されているので、幅広いレベルの問題演習ができる。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

セミナーもリードα同様ですね。以下からご確認ください。

物理のエッセンスのまとめ

今回紹介した「物理のエッセンス」は、受験勉強の基礎固めの1冊として、非常に良い参考書だ。

一番の特徴は、きちんと重要な要素や重要な問題だけをピックアップしていて、その項目や問題については非常に詳しくかつわかりやすく解説されていることだ。

解説が詳しい本を好み、内容理解をしっかり深めたいという人にとっては本当におすすめの一冊になる。

また河合塾の教材なので、これを使い終わったら良問の風、次は名門の森と、ステップアップのルートもしっかり確立されている。

そのルートに則って学習できるといったメリットもあり、そのような面からぜひおすすめしたい。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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