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良問の風(河合出版)の使い方を習得し、物理の偏差値を10あげる方法

2022年06月30日 | 物理

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物理は他の科目と異なり、単なる暗記ではなかなか克服できない科目である。

そのため、物理の現象や頭の使い方を理解しやすい教材を使って学習するのが非常に重要だろう。

今回は、良問の風という教材を紹介しよう。

物理の学習が一通り終わり、これから本格的に演習していき、一気に成績を引き上げたいと考えている人は、ぜひこの記事を熟読していただき、物理の成績を引き伸ばすきっかけにしてもらえたらと思う。

良問の風の基本情報

まずは「良問の風」の基本情報についてまとめておこう。

  • ジャンル…物理の問題集
  • 目的…基礎レベルの入試問題を解けるようになる。
  • 対象者…私立一般入試や国公立二次試験といった大学の個別試験において物理が必要な人
  • 使用時期…基礎固めが完了し、共通テストレベルの問題集にてコンスタントに8割ほど得点できるようになってから。二次試験対策の最初の1冊として。
  • 問題数…148問
  • おすすめ度…★★★★☆

物理の学習が一通り終わり、これから演習を開始したいという人に適した1冊となっている。

正しく演習することができれば、これまで学習してきたことがつながり、一気に成績が伸びていくだろう。

一方で、この教材だけではいわゆる難関大レベルまでは到達しないと考えていいだろう。難関大レベルまで到達させる必要がある人は、類書の名門の森の着手まで検討しよう。

良問の風の特徴

それでは、より詳しく「良問の風」の特徴について説明していこう。

各章に重要事項のまとめ

まず1つ目の特徴は、各章に重要事項がまとめられているところだ。

この「良問の風」は、問題編と解答編で冊子が分かれている。

問題編については白黒印刷、解答編については赤色も使用した2色刷りとなっている。

単元ごとに分けて問題が収録されており、それぞれの冒頭に重要な公式やインプットすべき大事な内容がまとめられているため、そこで一度内容を整理して覚えられることもこの参考書の長所と言えるだろう。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

まず最初にこれまで学習してきた内容を簡単におさらいできるということですね。

そこに書かれている内容が怪しかったら、これまで使ってた教材に一度戻るようにしてください。

頻出問題のみを厳選

2つ目の特徴は、頻出問題のみを厳選しているところだ。

この「良問の風」は、問題数は148問ということでそれほど多くはない。

そのため、網羅できているのか不安に思う人もいるかもしれないが、各単元で頻出のものや重要な要素が詰め込まれており、本当に質の高い問題のみが厳選されている。

この1冊をしっかりと仕上げることで、入試の基礎レベルの問題には十分に対応できるようになるくらい、本当にすべての内容、重要なポイントが網羅されている。

このことが、この問題集の一番の長所と言えるだろう。

また、各問題に「※」が0~2個つけられており、これが多い問題ほど難易度が高くなっている。

問題の難易度が一目で分かるようになっているため、自分が今勉強したい難易度に合わせて学習できることも良いポイントだ。

ちなみに、この「良問の風」1冊を仕上げ切ると、私立であれば関関同立やMARCHレベルの合格を狙える実力が付けられる。

国公立で考えると、地方の国公立大学であれば、この1冊である程度の得点にはつなげられるだろう。

詳しくわかりやすい解説

3つ目の特徴は、詳しくわかりやすい解説が載っているところだ。

河合塾から出ている参考書は、やはり一問一問についての解説がとても詳しくなっている。

“入試の基礎レベル”といっても、大学個別試験の基礎レベルでは比較的思考力が問われる問題が多く出題される。

そうなると、ある程度解説がしっかりと書かれているものでなければ、なかなか自力で学習を進めていくのは難しいが、この「良問の風」にはかなり分かりやすく解説が書かれている。

2色刷りで見やすく、図やグラフ等もきちんと掲載されており、この解説を読んでも理解できないということはほとんどないだろう。

理数系の問題集については、やはり解説がどれだけ詳しく書かれているかが非常に大きなポイントとなるが、この「良問の風」についてはある程度詳しく解説が書かれているため、その点も含めて非常に良い1冊だと言えるだろう。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

物理は暗記ではなく、考え方を理解することが最も重要な科目です。

そのため、良問の風くらい詳しく解説されてたら、理解しやすくて助かりますね。

論述問題も収録

4つ目の特徴は、論述問題も収録されていることだ。

先ほど述べた148問とは別に、プラスαとして論述問題だけが集められたページが用意されている。

最近では物理においても論述問題が出される大学もあるため、その傾向に合わせてこのような問題が収録されている。

論述とはいうもののそれほど長いものではなく、30字程度で物理現象等の内容について書かせ、その辺りをきちんと理解できているのかを問う問題だ。

それほど重くない内容であるため、このページもぜひ活用してもらいたい。

良問の風の使い方

では、「良問の風」の使い方について解説していこう。

自力で問題を解く

まずは、自力で問題を解くことを心掛けよう。

先ほど述べた各単元の冒頭にある重要事項のまとめについては、整理してインプットするのは当然だが、おそらくこの「良問の風」を使い始めた人は、もう基礎固めはしっかりできているはずで、公式についても知っているだろう。

そのため、冒頭の重要事項のまとめについては、抜けがないかの確認程度に使ってもらえたら十分だ。

そして、そのあとには自力で問題を解いていくことが重要だ。

基礎の部分については固まっていると思うが、この「良問の風」ではそれより少しハードルが高い問題が収録されている。

そのため、問題によっては少し難しく感じられるものもあるかもしれないが、基礎固めができた上で考えれば自力で解ける問題がそろっているため、まずは難易度の低い問題から手を付けていき、いきなり答えを見ずに可能な限り自分で考えて解くということを心掛けて学習を進めていこう。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

自分の頭で情報を読み取り、仮説を立てながら問題を解いていくことが何よりも重要です。最初から答えを見る勉強をすると学習効果が半減します。

解説で内容・解き方を理解する

自力で問題を解いてみたら、解説で内容・解き方を理解しよう。

理数系の問題については、最後の解答が合っているかどうかは正直二の次で、それまでの解き方・プロセスが合っているかどうかが一番重要となる。

入試では、全く知らない初見の問題でも自力で答えまでたどり着かなければならないため、そのプロセスをいかに組み立てられるかという力が得点につながってくる。

日頃から“どういうプロセスで解いていくのか”と考える力を養っておく必要があるため、もうとにかく解き方・プロセスというものにこだわって学習をしていってもらいたい。

解説を見てみると、自力で最後の答えまでたどり着いた場合でも、かなり遠回りな解き方をしていたり、途中のところで間違えて理解していた部分があったりするだろう。

そのため、答えが合っていた問題についてもしっかりと解説を読み込み、自分の考えがあっているかどうかという確認は必ず行っていこう。

この「良問の風」はかなり解説が詳しく、プラスαで得られる情報も多い。

ぜひ、1問解いて1つのことだけを吸収するのではなく、1問解いたらいろいろなことを吸収できるようにしてもらいたい。

そうすることで非常に効率的に学習を進められるため、解説の読み込みはしっかりと行っていこう。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

大事なのが、ただ解説を読むだけではなく、自分で考えた仮説とのズレがなかったかを検証することです。もしズレていたら、問題文からどこに着目し、どのように頭を使えばよかったのかを検証してください。

反復演習

次にぜひ行ってもらいたいのは、反復演習だ。

この問題集で学習を進めていくときに一番やってはいけないことは、1問解いてその解説を見たら、その後ほったらかしにしてしまうことだ。

一回解いただけ、一回解説を見ただけでは、人間の脳は忘れるようにできているため絶対に定着しない。

何回反復して問題を解くかということが学習をする上で肝となるため、絶対に一回では終わらないようにしよう。

特に、間違えた問題もしくはプロセスが違っていた問題、重要な問題についてはチェックマークを付けておき、必ず自分の手を使ってその日のうちに解き直そう。

また、その日だけでなく、次の日にもう一回、数週間後にももう一回というふうに、何回も反復して解くことによって、初めてしっかりと定着する。

この反復演習は本当に肝となるポイントであるため、絶対に落とさないようにしよう。

良問の風の注意点

ではここで、「良問の風」を使用する際の注意点について記しておこう。

学習する人は必ず確認するようにしてほしい。

難しい問題も10分は粘って考える

この問題集で学習を進めていくときには、難しい問題でも必ず10分は粘って考えてみよう。

先ほど述べた“自力で解く”ということを強調することになるが、「良問の風」には本当にちょうどいい難易度の問題がそろっているため、難しいと感じたとしても、基礎固めができていれば自力で考えて解ける問題がほとんどだ。

そのため、すぐに解答を見るのではなく、10分は自力で考えることを心掛けてもらいたい。

“もう答えまでたどり着けないから、答え見よう”ではなく、分かる部分だけでも自分の頭で考えて解こうとすること、分かる部分だけでも書いていくことが非常に重要だ。

理数系の科目については、スマートな解き方ではないとしても、自分の持っている知識や考えを使っていかにプロセスを組み立てられるかということが重要で、その“自力で解く”ということを通じてのみ、アウトプット力は鍛えられていく。

絶対にこの過程は省かないでもらいたい。

一番悪い例は、すぐに答えを見て解き方を暗記してしまうやり方だ。

このような形で暗記に走ってしまうと、アウトプット力は一切鍛えられない。

このやり方によって定期テストでは点が取れたとしても、入試問題などの初見の問題となると一切解くことができないだろう。

また、どれだけ学習をしていたとしても、入試問題では本当に全く知らないような問題が出てくることもあるが、もし暗記という形で学習をしていた場合、“これは自分の知識じゃどうにもならないから”とすぐに諦めることにもつながってしまうだろう。

自分で考えて解いてみることで、“最初は分からないと思った問題も意外と解けるんだ”ということを知ることができる。

そうすることで、初見の難しい問題でもなんとか解こうとする力が生まれてくるため、必ず自力で解くことでアウトプット力を鍛えていってもらいたい。

この過程については時間も労力もかかるため、省きたくなる気持ちも非常に分かるが、ここの過程でしかアウトプット力は磨かれないため、絶対に省かないようにしよう。

ここにかける時間と労力は絶対に無駄にはならないため、それだけは認識しておいてもらいたい。

類書との比較

次に、「良問の風」の類書を4冊紹介する。

河合塾 物理のエッセンス

まず1冊目は、河合塾が出している「物理のエッセンス」だ。

河合塾が設定している学習ルートは、まずは「物理のエッセンス」で基礎固めを行い、次に「良問の風」という形になっている。

河合塾の参考書で物理を学習するのであれば、このルートで進めていったほうがいい。

今回の記事で紹介した「良問の風」についても、「物理のエッセンス」で学習した次のステップを想定して問題が構成されており、かぶっているところもなく効率的に学習を進めていけるだろう。

「物理のエッセンス」については、「良問の風」と同じようなレイアウトで作られており、一問一問の解説やポイントなどが非常に詳しく書かれている。

「良問の風」は問題メインであるが、「物理のエッセンス」は基礎固めの段階で使うため、各単元の重要な物理現象や本質的な性質についての解説、そのあたりの公式とその公式が成り立つ理由など、そういった説明が非常に詳しく載っている。

つまり、講義系の参考書に加えて問題が付いているような形だ。

この「物理のエッセンス」を活用するためには、しっかりと読み込んで内容を理解することが非常に重要である。

物理については、いかに問題をたくさん解くかということよりも、それぞれの現象や性質をどれだけ理解できているのかということが非常に大きなポイントだ。

これは基礎の部分にはなるが、物理ほど基礎の部分が重要な科目はないと言ってもいいくらい、物理の基礎は重要だ。

基礎の理解ができていれば、どんなに難しい問題だとしてもその応用であるため、きちんと対処することができる。

一方で、基礎の理解がおろそかだと、基礎的な問題はある程度機械的に解くことができるが、応用問題になると自分の頭で考えて解くことが全くできなくなってしまう。

学習の積み上げが全くできなくなってしまうため、本当に基礎の理解というものが肝要となる。

この「物理のエッセンス」を活用して、しっかりとそこの理解に努めてもらいたい。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

良問の風の前に先にエッセンスは潰しておきたいですね。良問の風を使う人は、必ずこちらの記事も確認するようにしましょう。

河合塾 名問の森

2冊目も河合塾が出している「名問の森」だ。

先ほども述べた河合塾が設定している学習ルートでは、「物理のエッセンス」で基礎固めをし、「良問の風」で入試の基礎レベルまで解けるようになったら、次はこの「名問の森」に入る形になっている。

この問題集は、早稲田・慶應や旧帝大レベルの内容となっており、こういった難関大学の対策のための1冊となっている。

「良問の風」のさらに上のレベルの問題が集められた問題集だと思ってもらえたらいいだろう。

「名問の森」は2冊に分かれており、合わせると問題数も「良問の風」より多い。

難関大を目指す人は、この「名問の森」さえしっかりとやりこんでおけば、ほとんどの問題に対応できる思考力が身に付くため、入試の直前までこの問題集をやりこむことになるだろう。

つまり、河合塾の参考書を使って物理を学習するルートは、「物理のエッセンス」→「良問の風」→「名問の森」で、「名問の森」までやりこんだらどんな大学入試にも対応できるため、自分の目指す大学に合わせて「良問の風」でやめるのか、「名問の森」までやりこむのかを決めてもらえたらいいだろう。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

名門の森を使うことを考えている人もいると思います。

名門の森は以下から内容を確認することができます。

旺文社 基礎問題精講

3冊目は、旺文社が出している「基礎問題精講」だ。

この「問題精講」シリーズは、他に数学や化学・生物もあり、全て同じような構成となっているのだが、「入門」→「基礎」→「標準」というふうにだんだんとステップアップができるよう、問題を分けて教材が作られている。

「入門」については、本当に基礎レベルでも理解できていない人向けとなっているため、「基礎」から始めていくのがベストだろう。

この「問題精講」シリーズについても、一問一問の方針立てや解説が非常に詳しく、プラスαの知識も充実している。

1問解いただけで非常に多くの内容を吸収できる非常に良い参考書となっているため、こちらもおすすめだ。

この「基礎問題精講」で学習する人は、次は「標準問題精講」というルートになる。自分の好みに合わせて学習ルートを選択して教材を使っていってもらいたい。

数研出版 実戦物理重要問題集

4冊目は、数研出版が出している「実戦物理重要問題集」だ。

これは「重問」と呼ばれているもので、非常に有名な参考書である。

このシリーズについても物理だけではなく、化学などの他の科目のものもあるが、この問題集のいいところは、国公立2次、私大入試レベルで、物理の学習上重要な問題が網羅的に収録されている点である。

もう一つの大きなポイントは、この「重問」シリーズは毎年更新されているため、最新の入試の問題傾向に合わせた良問だけがそろえられていることだ。

また、それだけではなく、最新の傾向を加味した上で、過去何十年という中でも重要な良問が掲載されている。

最新の傾向だけに偏りすぎたり、かなり古い良問だけに偏りすぎていたりする参考書もある中、この「実戦物理重要問題集」はどちらもバランス良く載っている。

「A問題」「B問題」という形で難易度も分けて掲載されているため、最初はA問題だけをしっかりとやりこみ、時間があればB問題もやりこむというふうに、難易度ごとに問題に手を付けられるところも非常に良いポイントと言えるだろう。

「良問の風」の問題より、「重問」の方がやや難しいレベルではあるが、自分の目指す大学に合わせて解く問題をセレクトできる点がとても良い。

もしB問題までやりこむことができたら、旧帝大などの本当に高いレベルまでしっかりと対応できるようになるため、この1冊でどんなレベルの大学にも対応できることが、この「重問」が有名で人気な理由と言えるだろう。

一方で重問は、良問の風や類書の名門の森よりも解説が簡素な点に気をつけたい。物理が得意な人であれば問題ないだろうが、物理に苦手意識を感じている人が重問をやろうとすると、内容を理解することができず、暗記一辺倒の学習に陥ってしまいがちである。

自分にはどちら合っているのか見極めて、良問の風を使うのか、重要問題集を使うのかを選択してもらえたらと思う。

鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

以下で重問の解説をしてあります!

良問の風のまとめ

今回紹介した河合塾の「良問の風」は、入試の基礎問題レベルまでしっかりと固められる非常に良い問題集だ。

良問が集められていることと解説が詳しいことが非常に大きなポイントと言える。

河合塾の参考書では学習ルートが決まっているため、自分の目指す大学レベルに合わせて、どの問題集までやりこむのかということを選択できるところも非常に大きなポイントだろう。

          

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鴨井 拓也(塾長)
鴨井 拓也(塾長)

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