大きな法則1つで把握する、理論化学の覚え方・勉強法

理論化学は、独特な難しさを持っている。 細かい知識の一つ一つを暗記してもなかなか点数に結びつかないのだ。

そのため、知識のゴリ押しで済まそうとしている人は特に、理論化学で得点することができない。

苦手意識を持っている受験生は少なくない。 今回は、理論化学の勉強法・内容の覚え方について説明していく。

無機化学や有機化学とは異なる性質を持つこの分野を、効率良くかつ正確に学習していくにはどうすれば良いだろうか。

以下の内容を読んで実践すれば、理論化学の重要性、勉強方法が見えてくる。

理論化学とはどういう分野か

laboratory-1009178_960_720細かい勉強法に入る前に、そもそも理論化学がどういう分野なのか理解しておこう。

範囲はどこからどこまでなのか。 知識中心なのか、思考力中心なのか。 そうしたことをあらかじめ見極めておくのが大切だ。

化学の分野分け

大学受験の化学は、大きく分けて以下の3つに大別される。

  • 理論化学
  • 有機化学
  • 無機化学

理論化学は、元素についての知識や化学反応の基礎原理について学ぶ分野である。

無機化学では、無機化合物や金属の性質を扱う。 詳しい説明は省くが、金属やそのイオンの性質、各族元素の主な性質や反応を扱う。

有機化学は、文字どおり有機化合物の性質や反応が対象だ。

理論化学はどういう分野か

3つの分野のうち、今回扱うのは理論化学である。 では早速、理論化学で何を勉強しなければならないのか見ておこう。

具体的な範囲は概ね次の通りだ。

  • 周期表による元素の分類
  • 原子や分子、イオンなど物質の様々なあり方
  • 共有結合、イオン結合などの結合
  • 物質量の計算法
  • 酸化・還元、電池、電気分解
  • 熱化学方程式

特にこれを詳しく、というわけではなく化学反応の理解に必要な内容が盛り込まれている。

どれを取っても、後々化学を学んでいく上で欠かすことのできない内容であることがわかる。

高校化学は上のような別れ方をしており、理論化学は最初に学習することになる。

どういう反応を見るにしても理論化学の内容が関わってくるためである。

このように、理論化学では化学の正しい理解のための必須事項を学ぶ分野で、のちの勉強を考えると一番重要といってよい。

一目ではその大切さが見えないだろうが、我慢して勉強しよう。

大学入試ではどうか

学問的な内容として重要であることは説明した通りだ。

では、大学入試という観点で見るとどうか。 結論を言うと、結局大学入試でも確実に出題される分野なのである。

特にセンター試験では、全100点のうち半分弱(およそ45点)が理論化学に割かれているのだ。

新課程の配点、たとえば2016年のものを見てみよう。

2016年センター化学 配点

  • 物質の構造・状態  23点
  • 物質の変化と平衡  23点
  • 無機物質      23点
  • 有機化合物     19点
  • 高分子化合物の性質 6点
  • その他 選択問題  6点

東進ハイスクールのWebサイトより

初めの2つ、「物質の構造・状態」と「物質の変化と平衡」が理論化学の属する。

合計46点という大きな点数を占めていることがわかるだろう。

選択問題ではないし、必ず最初に配置されている。

センター化学の命運を分けるといっても過言ではない。

この傾向はここ数年変化しておらず、理論化学が重要な分野であることを示している。

その他、理系の大学入試でも理論化学の知識が不要なところはない。

そもそも化学とはこういうものだ、ということを学ぶのが理論化学であり、それ抜きには入試問題も解けない。

大学入試という観点でいっても避けることができないというのを理解してほしい。

理論化学は暗記だけで済むか?

gahag-010572

理論化学の重要性を理解してもらえたところで、いよいよ勉強の話に入る。

無機化学や有機化学は暗記する内容が多いが、理論化学はどうなのかを見ていこう。

暗記と思考の配分により、受験生は勉強方法を変える必要がある。

暗記すべきこと

暗記が苦手・嫌いな受験生は少なくないが、何も暗記しないというのは流石に失敗する。

「理論」化学といえど、暗記しなければならない知識は存在するのだ。

たとえば、主要な元素の名前や原子番号、質量数はある程度覚えていないことには話にならない。

また、molという単位は知らないと問題を解けないし、状態方程式なども必須事項だ。

他にも、酸・塩基の定義やル・シャトリエの原理などは知っておくべきである。

理論化学で覚えなければならないのは次のような内容である。

  • 元素の名前や質量数など、元素についての最低限の知識
  • molという単位や酸・塩基などの「定義」
  • 状態方程式などの重要な「法則」

化学反応は元素という概念なしには語れないので、元素についての知識が要求されるのはいたって当然のこと。 また化学の理解に必要な用語の定義を知らないと、文章を読むことができない。 そして、化学の基礎原理・法則は問題を解く上で必要になる。 これらについては早期のうちに身につけたほうが勉強の見通しが良くなる。

暗記すべきではないもの

上に掲げた内容から大きく逸れるものについては暗記の必要がない。 暗記しなくても良いのはどういう内容なのか、次の問題を例として考えてみよう。


<例題> 酸化物イオン、フッ化物イオン、ネオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオンの中でイオン(原子)半径が最も小さいのはどれか。


まず具体的な考え方を示す。 上の5つはいずれも電子配置が同じである。

電子配置が同じということは、イオンや原子の半径は原子核にある陽子の個数で決定される。

すなわち、陽子が多いほうが引力が強くなるので、結果として半径は小さくなるのである。

5つのうち陽子が最も多いのは、原子番号が最大であるマグネシウムである。

以上の理由から、半径が最小なのはマグネシウムイオンとなる。

注意して欲しいのは問題の答えではなく、解答において用いた知識である。

各元素・イオンの半径をいちいち覚えるのは大変な作業であり、できれば避けたいところである。

上のような考え方をすれば、たとえ詳細な知識が頭に入っていなくても答えを導くことができるのだ。

使った知識といえば、電子配置についての初歩的な知識や原子番号が大きいほど陽子が多いという当たり前の内容だ。

このように、基本的な知識を駆使するだけで解ける問題はたくさんある。

それをいちいち覚えるのは大変だし、なによりキリがない。

勝手に苦しむのを避けるためにも、暗記する内容は可能な限り減らすよう努めるのだ。

理論化学の内容の覚え方

chemistry-740453_960_720ここまで、理論化学とはどういう分野なのか何を暗記して何を暗記しないべきかを説明してきた。

次は、理論化学の学習方針、内容の覚え方について説明していく。 先ほどまでとは異なり具体的な内容にも踏み込んでいく。

周期表、元素の性質

化学で最初のほうに学ぶのが周期表である。 そもそも世の中にはどのような元素が存在するのかを理解しよう。

したがって、元素の名前と周期表での位置を覚えるというのはどうしても必要な作業になる。

いきなり多数覚えるのは大変だろうから、とりあえずアルゴンあたりまで覚えれば良い。

ここまで覚えておけば、化学の基礎的な反応は概ねカバーできよう。

まず元素の名前と原子番号を覚え、次に周期表での位置を覚える。

何族にどの元素が来るのかというのは、その元素の性質を決定する重要な要素なのでおろそかにしないように。

また、原子量も化学の計算では欠かせないので、これも一緒に覚えてしまおう。 他分野の勉強よりも優先されるべき内容である。

それが終わったら、次は元素の性質を学んでいく。 化学的性質を決定する最大の要素は「族」だ。

元素は1族〜18族というふうに分けられている。

合計100種以上存在する元素だが、族によって大まかな反応性は共通しているのだ。

したがって、元素ごとの細かい反応をせっせと覚えるよりも前に、族ごとの性質を把握したほうが理解が進む。

後々の学習のためにも、このあたりの内容は早めに片付けておくことをお勧めする。

物質量やそれに関連する濃度

化学で初めて出会う単位にmolというものがある。 これは物質の量や濃度を扱ううえで欠かせないものだ。

この単位の計算になれないことには、大学受験で必ず苦労することとなる。

センター試験であろうと国公立であろうと、絶対に必要なスキルである。

そのため、先ほどの元素の分類・性質と同様に物質量関連の計算も早めに習熟しておいたほうが良い。 具体的には、まず原子量とmolの関係や、mol/Lといった濃度を知り、計算問題を実際に解くことである。

これを繰り返すことにより、単位や計算方法は次第に覚えてしまう。 学習・問題演習の際に心がけるべきことについては後述する。mushrooms-454172_960_720

酸・塩基や酸化・還元、電池

化学反応を理解する上で酸・塩基や酸化・還元というものを理解するのは重要だ。

なぜならこうした反応は、電子や水素原子核(プロトン)の授受により起こるものだからである。

言い換えれば、様々な反応の基礎になっているのだ。

たとえば水の電気分解では、生成物として酸素と水素が発生する。

しかし、単純にH2OがHとOに別れた、というだけの話ではないのだ。

細かいところで電子の移動や水素イオンの移動が起きており、それらを総合して巨視的に見て初めて「水が水素と酸素に分解する」という現象になっている。

他の反応も、電子や水素イオンなしには語れないものばかりだ。

よって、酸化・還元等の内容をマスターするのは理論化学のみならず化学全体で要求されることである。

元素の性質や単位の話が終わったら、次はこれを勉強しよう。

状態方程式、化学平衡等

ここまでの勉強が終わったら、少しずつ高度な内容に踏み込んでいく。

状態方程式は、気体の温度や圧力、体積の関係式である。

与えられた条件のもとで気体の体積はいくらなのか、気体が凝縮して液体になっているか否かなどを判定することができ、それは当然大学入試でも出題される。

状態方程式がらみの話題は、まず状態方程式そのものを(成立理由も含めて)頭に入れることが肝要だ。

状態方程式の形や意味を理解しないまま先へ進んでも、どういう議論をしているのか理解できない。

そのほか、気体に関連する話題として蒸気圧がある。蒸気圧は初めのうちは理解しにくいだろうが、要は液体が気体になろうとする働きだと思えば良い。

蒸気圧も試験問題として狙われやすい材料なのでマークしておこう。

そして、理論化学の重要テーマである反応速度・化学平衡を学ぶ。

反応速度は文字どおり化学反応の進行スピードのことで、単位時間あたりどれほど生成物が増加するかという量である。

反応速度はどういう条件化で増加・減少するのか。 温度や圧力、触媒の有無など様々な条件とともに変化する。

化学平衡とは、可逆な反応で双方向の反応速度が釣り合っていることをいう。

全体として巨視的に見れば定常な状態だが、実は内部で双方向の反応は続いており、それが釣り合っているという状況だ。

平衡定数やル・シャトリエの原理など、新しい概念がいくつも登場するので注意しよう。

化学平衡も、試験で頻出の内容である。 理論化学の最後には、このような難しい内容がどんどん登場する。

しかし、大切なのは細かいことを必死に覚えるのではなく最低限の原理でコンパクトにまとめるということだ。

ル・シャトリエの原理が良い例だ。 平衡状態にある系に外から変化を与えると、それを打ち消す方向に平衡が移動するという原理である。

たとえば反応温度を低下させると、それを打ち消す方向つまり発熱反応の方向に平衡が移動するのだ。

細かいケースに分けて「この場合はこれ、この場合はこれ…」という風に覚えていくよりも、こうした大きな法則・原理でまとめてしまったほうが暗記の負担が軽くなる。

勉強の際に気をつけること

apothecary-437743_960_720理論化学を学習するにあたり、勉強する際の注意点について付記しておく。 教科書やノートの使い方など、より方法論的な内容になる。

教科書の扱い方

化学で大切なのは、とにかくまず教科書を読むことである。

学校教科書は受験勉強の役に立たないという勝手な認識を抱く受験生がいるかもしれないが、それは誤りだ。

むしろ、学校教科書ほど丁寧に、かつバランスよくまとまっている教材は少ないと言える。

特に理論化学では暗記事項は少なく、むしろ原理やものの考え方が重要になってくる。

そういう分野で、教科書を読まずにいきなり問題演習に入っても、成果は全く上がらないのだ。

なんとなく問題を解いたが、どう解けば良いのかわからなかった。 それでは意味がない。

学習した内容を活用しつつ問題を解くのが問題演習の目的だ。

したがって、最低限の知識は取り入れた上で問題を解くよう心がけよう。

初めて勉強する人、あるいは一度勉強したが内容が抜けてしまっている人は、我慢して教科書を読むことから始めよう。

問題演習の際に:記号や単語の問題

次に、問題演習での注意点を述べておく。 化学は、理科の中でも記号や単語で答えるような問題が多い。

その時に、本当に「ア」とか「ヨウ化カリウムデンプン紙」とだけノートに書くのは良くない。

なぜその答えになったのか、その物質はどういう物質で代表的な反応は何か、ということも一緒に書いておくべきである。

化学の勉強で陥りやすい問題は、このように答えだけ書いて満足してしまう点である。 たとえばセンター試験では次のような問題がよく出題される。


<例題> 気体水素の性質として不適切なものを次のうちから1つ選べ。 ア:最も軽い気体である。 イ:アルミニウムに塩酸を反応させることで生成する。 ウ:石灰水に通すと白く濁る。 エ: …


こういう問題を、なんとなく考えて答えだけ書いてしまうと、自分が偶然正解したのかちゃんと理解して正解したのか判別がつかない。

正解できたからといって満足していると、のちに難しい問題と出会った時に行き詰まってしまう。

択一問題であれば、他の選択肢の何が不適切なのかを見つけて線を引くなどはすべきだ。

問題演習の際に:計算問題

化学では計算問題も多数こなすことになる。 その際気をつけるべきなのは、

  • いま何の計算をしているのか明確にする
  • 答えに単位を明記する

ということである。 たとえば状態方程式を用いて計算するならば、数式の前に「理想気体の状態方程式より、…」というふうに書き添えておくのだ。

こうするだけで、ノートや答案は一気に理解しやすいものになる。

自分が理解できていればよいわけではなく、それを形として残して他者が読んでも理解できる状態にする、ということだ。

また、単位を明記するというのも欠かせない。 単位を忘れないというのは、今求めたのは何の量なのかを明確にするうえで役立つ。

物理と異なり具体的な数値計算がメインになるので、数字を羅列するのみでは何の計算結果なのかわからなくなってしまうので注意しよう。

まとめ

lgi01a201408060700理論化学の学習内容や勉強の方針、勉強の際の注意点について述べた。

細かいことをいちいち暗記するのは非効率極まりない。 せっかくなら覚えることは最小限にしたいものだ。

個々のケースに対応するのではなく、多くの事象に適用できる法則・原理を覚えたほうが楽に決まっているし、そのほうが応用範囲が広い。

程よく、効率良く暗記することが大切なのだ。 効率の良い暗記と演習により、理論化学の内容を定着させてほしい。

関連記事

  1. 物理基礎を最短の勉強時間で100点を狙う超効果的な勉強法

  2. 全部覚えなきゃいけないの?有機化学の覚え方と勉強法

  3. 物理基礎の具体的な範囲の説明と超効率的な2つの勉強法

  4. 化学基礎を確実に理解するための7つの勉強法

  5. 知識の暗記に走らず100点!センター化学の賢い勉強法

  6. 10分でわかる化学基礎の範囲についての具体的な解説!

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA